子どもの主体を起こし、文章で行う【読み優先の漢字教育】③ 「漢字音読名人」 (教材)

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目次

はじめに

本記事は【読み優先の漢字教育】シリーズ全4記事の「③番目の記事」になります。関連記事も是非ご参照ください。

子どもの主体を起こし、文章で行う【読み優先の漢字教育】① 「総論」(教材) | EDUPEDIA

子どもの主体を起こし、文章で行う【読み優先の漢字教育】② 「一日一漢字」(教材)  | EDUPEDIA

子どもの主体を起こし、文章で行う【読み優先の漢字教育】③ 「漢字音読名人」 (教材) | EDUPEDIA (本記事)

子どもの主体を起こし、文章で行う【読み優先の漢字教育】④ 「漢字書き名人」(教材) | EDUPEDIA

本記事(③漢字音読名人)は単独で読み、教材をご利用いただいても十分に役に立つ内容だと思います。下記の教材提供サイトを是非ご利用ください。

「楽しく学べる漢字の部屋」 flat-ohita-5712.thick.jp/index.html こちらに教材があります

①の記事には4つの記事の「総論」にあたる部分が書かれています。「②③④」を利用しながら漢字学習をいかに充実させ、子供たち・学級集団の力を伸ばしてゆくのかについて記述されております。是非「①総論」をお読みになり、「②③④」をセットとしてお使いください。子供たちの語彙力や文章力を大きく伸ばすことができます。ひいては主体を起こして子供たちが認め合いながら学習を進めてゆくことができます。

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現在、【読み優先の漢字教育】の実戦は滋賀県下の20校以上の小学校で広がり、さらには京都府の小学校にも広がりつつあります。漢字の学びを通してクラスの学力不振や荒れの改善にもつながっています。

「漢字音読名人」の活用

「一日一漢字」を学習した後、その漢字を使った短い文を音読し、漢字を読むことに習熟させる教材です。単漢字(熟語)だけを音読させるのでなく、文を音読させることで文脈の中でどのように漢字が用いられているのかを学びます。

各文にはイラストがついているので親しみやすく、子供たちが漢字のイメージを膨らませながら学ぶことができます。

1.ルビを見なくても読めるようになるまで音読練習を繰り返します。(練習を宿題としておいてよい。)

2.聞き合い・・・確実に読めるようになったら、裏面の「チャレンジ」ページを使い、子ども同士で聞き合います。2人組になって聞き合いをし、正しく読めたら合格サインを書いてもらいます。

3.異なる友達3人にチェックをもらえたら、次の漢字のチャレンジに進みます。

4.聞き合いで漢字が10字程度進んだら、最後に先生のチェックを受け、それが合格できたらOKです。

★ 進度は自由です。自分のペースで進めばよいということを子どもたちに伝えましょう。

「音読名人」の特徴

◎ 本来漢字で表記すべき言葉は未習漢字も隠さず全て漢字表記にしています。その方が読みやすく、言葉の意味も正確に捉えられるからです。未習漢字も音読練習する中で自然に読めるようになっていきます。

◎ 例文の中にある未知の言葉も、言葉音読を繰り返す中で言葉として取り込まれ、子どもたちの語彙が豊かになります。

◎ 子ども同士の聞き合い活動は、全文の漢字のルビを打った状態で練習するため、学力の差に関係なく、誰とでもできます。学級のいろんな友達と自由に聞き合う中で子ども同士の関係が開かれ、学級が「共同体」として感じられるようになっていきます。

◎文が読めることは、全ての学習の土台です。

◎漢字音読名人に取り組むことで、国語科だけでなく、算数などの他教科の学力も向上したという事例が多数出ています。

◎ 漢字音読名人は、漢字が苦手な子も無理なく取り組めます。教師がチェックする時間は短くて済みます。毎日、子どものがんばりを認めてあげる機会を持つことができます。

実際に「音読名人」を取り入れた学級、学校では大きな成果が出ています。実践校からは、「文を読む力が向上した。」という事例はもちろんのこと、荒れていた子どもたちが聞き合い活動を通して、自分の存在を認められ、自己肯定感を得ることができ、学級全体が落ち着いていったという事例もたくさん出てきています。

学力保障にも有用

なお、「漢字音読名人」は学力不振の子供に対しての補習用教材としても有用性が高いです。タブレットで簡単に提示することができ、個別学習にも向いています。一人一人に対してあまり時間がさけないのが学校の現状ですが、「漢字音読名人」を利用すればそれほど手間がかかりません。補習時に読めた漢字に関しては、チェック表にスタンプや花丸をつけてあげましょう。

学力保障の時間は絶対に、読めなくても責めません。読めない時には「おしい」「もう少し」あるいはヒントを出して答えたら「そう!OK!」と褒めます。それでもできなければ、教師の読みに続いて復唱させ、「次は合格しようね!」と励まします。「子供を責める時間」にせず、子供が「できたこと」の方にフォーカスできるように持って行きます。ほめることが目的だと思ってください。

FAQ(漢字音読名人に関して、よくある質問)

Q:自由にやらせると、進む子と進めない子ができてしまい、やる気をなくす子が出てきてしまいます。

A:「競争ではない。自分のペースで進めばそれでいいんだよ」と伝え、「君は、この一週間でどこまで読めるようになりたい?」とその子なりの目標を設定して取り組ませましょう。目標は全ての子どもがその学年の教科書を無理なく読めるようにすることです。

Q:一旦読めるようになっても、すぐ忘れてしまいます。

A:一度に3人のサインを集めるのではなく、10漢字くらいをセットにして、ゴールまで行ったら2回目、更に3回目に挑戦、というふうに、3巡方式で進めると記憶の定着が良くなります。

Q:漢字音読名人に取り組む時間的余裕がありません。

A:「5分間だけやろう。」と時間を制限して、隙間時間で行いましょう。登校してから始業までの時間を使って聞き合い活動をしたという実践例もあります。

Q:「漢字音読名人」 を活用する際にとても声の小さい子供が複数人います。大きな声を出せるようにする手立てはないですか。

A:声が小さい、というのは不安から生じます。無理に声を出させようとせず、その子なりに読めているところをうんと評価してやれば、不安は小さくなり、自然に声は出るようになります。また、誰とでも聞き合える開かれた関係になっていけば、周囲への不安も消え、その子本来の声が出るようになるでしょう。

プロフィール

井上知子

臨床心理士

大津少年センター心理相談員

上野芳樹

滋賀県の小学校元校長。

~子どもの主体を起こし、文章で行う~読み優先の漢字教育研究会のメンバーが「白川漢字教育賞」最優秀賞  「弘済会しが教育賞」県教育長賞等、受賞 

滋賀県下20校以上で実践中・京都府でも実践校が生まれています。

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