1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
もんしろちょうは何を手がかりにして花に止まっているのでしょうか。色でしょうか、形でしょうか、においでしょうか。「花を見つける手がかり」はそんな疑問をわかりやすく書いた説明文です。まずは課題提示の文を探してもらいました。
発問1 「~か」のつく文を探しましょう。いくつあるでしょうか?
文末に「~か」のつく文を探していくのですが、こんな探しっこを子どもたちは好みます。
「7段落にあるよ」「あった」「次は11段落です」「見つけた」「最後は十何段落でしょうか?難しいよ」「あったよ」
このように、探しっこをしました。見つけた疑問文は
〈2段落〉
いったいもんしろちょうは、何を手がかりにして花を見つけるのでしょう。
花の色でしょうか。形でしょうか。それとも、においでしょうか。
〈7段落〉
もんしろちょうは、色で花を見分けできるのでしょうか。
〈11段落〉
もんしろちょうは、色紙を花だと思ってくれるでしょうか。
〈14段落〉
赤い花の真ん中に、黄色のおしべ・めしべがありませんでしたか?
4つの疑問文が見つかったところで、いちばん大切な文を探しました。
発問2 この4つの疑問文の中で、いちばん大切な文はどれでしょう。
2段落と7段落という2つの考えが出された。
子どもたちの考えは、
〈7段落〉
- 「色で花を見分けているのでしょうか」となっていて、ここから読めば、文章の全体がわかる中心のところで考えた方がいい。
〈2段落〉
- 最初に聞いているから。
- 問題文の最初だから。
- 最初は疑問で大事なところだから。
- 2段落は初めに聞いている。
- 7段落から2段落に変えます。
- 最初の文だから。
こうして7段落より2段落の方が優勢になってきました。ここで私から、
課題提示文について説明をしました。
「正解は、2段落です。確かに7段落がこの文章で一番中心になって書かれている部分ですが、2段落はこの文章全体の書き始めになる疑問となっています。このような疑問の文を、課題提示文と言います。」
発問2 もんしろちょうは赤い花が見えるでしょうか?(見える・見えない・ちょっとだけ見える)
この問いで難しいのが“ちょっとだけ”という部分です。やはりここの部分が問題になりました。
〈見えない〉18人→10人
- 14段落:落赤い花は見えないらしい、と書いてあるから。
- 14段落:もんしろちょうはその黄色めあてにやってきたのでしょう、と書いてあるから。
- 13段落:赤い花にはほとんど来ませんでしたか、とある。
〈ちょっとだけ見える〉18人→25人
- 7段落:赤い花にはあまり来ていないようです、とある。“あまり”だから、ちょっとくらいは見えていると思う。
- 10段落:赤い花にはあまりやってきませんでした、とある。“あまり”だから少しはきている。
- 13段落:赤い花にはほとんど来ませんでした。“ほとんど”だから、少しはきている。
- 〈見えない〉から〈ちょっとだけ〉に変えます。2~3匹は来ているから、少しは見えている。
- P41のもんしろちょうのよく集まる花に、赤い色のダリアがある。だからちょっとくらいは見えていると思う。
- 14段落:赤い花は見えないらしい、と書いてあるから、ちょっとは見えると思う。
“あまり”“らしい”をどう解釈するかで違ってきますが、私は次のように説明しました。
「もし赤い色が、完全に見えないとしたら、14段落はなんと書く思いますか?はっきり"赤い花は見えない"と書くのではないでしょうか?でもここでは“らしい”とはっきり言っていないので、先生は〈ちょっとだけは見える〉のではないかと考えます。」
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
一方的に先生がしゃべるだけではなく、子どもたちが考えて、話し合っている授業です。意見を言っているうちに、様々なことに気付き、意見を変える子どももいるようです。説明文の教材を題材に、話し合いなどを取り入れてみてはいかがでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮嶋隼司)
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