「海の命」国語の授業案 ~海に伝わる命と生き方~

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作成者:大和 信治 (Edupedia編集部)さん

小学6年国語『海の命』(立松和平)の授業案です。
 記事の内容は「読解」の例ですが、授業では、感じたことのちがいを楽しむこと、作品の描写や人物の生き方を味わうなど、頭だけでなく心も動く時間になったらと思います。

1 単元計画

1、本文を読み、感想を書く。

2、登場人物を確認する。

3、各場面で印象的な言葉と、そこから感じたことを書く。

4、巨大クエと出会う場面から、太一の変化を考える。

5、本文の学習や並行読書を通して、考えたことを書く。

2 学習の様子

1、本文を読み、感想を書く。

・教師が言葉の説明をしながら読む。
・読後に簡単にあらすじを確認する。
・自分で読む。
・初読の感想を書く。

◆場面分けと簡単なあらすじ

太一の少年期とおとうの死:漁師になっておとうと一緒に海に出るのが夢だった太一。

与吉じいさへ弟子入り:無理やり弟子入りする。はじめは糸を握らせてもらえず、じいさの教えを聞く。

太一の成長と与吉じいさの死:太一は村一番の漁師へ成長した。

瀬の主との出会い:父を破ったかもしれない瀬の主を殺さずに済んだ。

太一と家族:村一番の漁師であり続けた。

◆初読の感想

・感想を分類したり、一覧にして配布したりすることも考えられる

〈漁師の仕事〉

漁師の生活が新鮮だった。身近にいないから。
これから魚を食べる時に、少し違った気持ちになりそう。
テレビで素潜りで魚を捕って喜んでる人を見たことあるけど、太一たちはもっと静かに漁をしてると思う。
釣った魚を逃がす人がいるけど、与吉じいさの考えと似てると思った。

〈太一の変化〉

太一はおとうの敵討ちをしないでよかった。よく我慢した。
クエを殺さずにすんで、太一は一人前の漁師になれた。
おとうが生きてたら、太一の成長を喜んだと思う。
太一は、自分が教わった海との生き方を、子どもたちに伝えていくと思う。

〈死と海の命〉

太一の家族が死んでしまって悲しかった。
太一はおとうとじいさの意志を継ごうとしたと思う。ずっと一人前の漁師でいること。
おとうの死を乗り越える物語で深かった。
普段は考えないけど、命について考えるきっかけになった。
題名が海の命だし、途中で「大魚はこの海の命だと思えた」とあるから、海の命に込められたものが何か気になった。

2 、登場人物の人物像を考える

・「言動」と「性格」を分けて書くこともあるが、今回は文章で書かせる。

登場人物はどんな人?(こうだから、こんな性格と思う)

与吉じいさ
・太一の弟子入りを受けいれ、いろいろと教えてあげたところから、面倒見の良い人だと思う
・太一に釣りを教えるときに、ひとつひとつ言葉で教えるのではなく、自分の姿を見せて教えたところや、独り言のように話すところから、口下手な性格な人だと思う。

おとう
・大物の魚をしとめても、じまんしないところから、真面目で目立ちたがらない生き方だと思う。おだやかな性格。
・不漁の日が十日間続いても何も変わらないところから、我慢強い性格の人だと思う。

太一
・自分のしたい事を迷う事なくするところから、怖いもの知らずで、勇気のある性格の人だと思う。
・船に乗らなくなった与吉じいさに、毎日魚を届けに行ったところから、恩を忘れない、真面目な性格だと思う。

「海の命」は、どんな物語?

・太一がクエを許して成長する物語
・太一が海の教えを守る物語
・海の命が太一を変えた物語

3、各場面で印象的な言葉と、そこから感じたことを書く。

・ノートの見開き1ページに時系列で書くと、物語の全体から考えられる。
(模造紙に記録し、毎時間提示することで、読みの変化を捉えられる)

・交流しながら、視点を分類していく。
 例:太一の変化、海の命、自然との共生、人物の生き方など

「海のめぐみだからなあ。」

→おとうは自慢しない。感謝。漁がうまくいっても、自分の実力と思ってない?

太一は、無理やり与吉じいさの弟子になった。

→どうしても仇を討ちたかったのかもしれない。海の王に、俺はなる!

「千びきにーぴきでいいんだ。千びきいるうちーぴきをつれば、ずっとこの海で生きていけるよ。」

→おとうと似ている。命を無駄にしない。おとうの海で生きていきたい。

 「自分では気づかないだろうが、おまえは村一番の漁師だよ。太一、ここはおまえの海だ。」

→初めは糸を握らせてもらえなかったけど、太一が成長した。じいさの教えを聞いていたから。

「海に帰リましたか。与吉じいさ、心から感謝しております。おかげ様でぼくも海で生きられます。」

→太一は、おとうとじいさと同じように、海で生きようと思っている。

「おまえが、おとうの死んだ瀬にもぐると、いつ言いだすかと思うと、わたしはおそろしくて夜もねむれないよ。おまえの心の中が見えるようで。」

→心配している。母の言葉はここだけ。

海は、いつしか太一にとって自由な世界になっていた。

→どんな魚でも捕ることができる。絶対におとうの仇をうつぞ!

とうとう、父の海にやって来た。

→おとうたちが育って死んだ海。命がつまっている。

 「おとう、ここにおられたのですか。また会いに来ますから。」

→命を無駄遣いしてはいけない。じいさとおとうの教えを思い出した。

大魚はこの海の命だと思えた。

→クエとおとうの命は海でつながっている。海にいれば、いつでも思い出せる。海で生きていれば、海の命になったおとうに会える。

4,巨大クエと出会う場面から、太一の変化を考える。

・おだやかな目を見る前の太一について考える。

・発問に対する考えをノートに書き、交流する。

なぜ太一は、瀬の主にもりをうたなかった?

・クエが海の命だと思ったから
・海の命である大魚に、殺されたがってると思うほどおだやかな目で見られたから
・クエの姿に父親の姿を重ねたから
・泣きそうになっているから、本当は殺したくない
・「千びきに一ぴきでいいんだ」というじいさの教えが浮かんだ。
・いま必要じゃないのにクエを殺すと、教えに反することになるから。
・穏やかな目を見て、おとうのことを謝られている気がして、自分もクエを許せた。
・憎しみをこらえて、じいさの教えを守ろうとしたから。おとうもじいさの教えを守っていたと思う。

「大魚はこの海の命だと思えた」とは、どういうこと?

・おとうの命はなくなったが、このクエに会うたびにおとうを思い出し、未だに自分と繋がってるように思えること。
・じいさが言っていた命の大切さや繋がりを、クエが教えてくれた。
・おとうを破ったクエも同じ海の命といえる。人間も魚の命を頂いて生きている。海で生きるとは、その連鎖の中で生きるということ。

◆太一の変化

変化前(悲しみ、憎しみ)

悲しみ、残された孤独、焦り、いらだち、憎しみ、怒り、やるせなさ
太一は、無理やり与吉じいさの弟子になった
クエを仕留めて父の仇をうちたい
父にも仕留められなかったクエを討つことで、一人前の漁師になりたい
泣きそうになりながら思う

変化後(受け入れる、海で生きる)

許し、受容、心が洗われる、落ち着き
ほほえむ
大魚を海の命と思えた
瀬の主を殺さないで済んだ

5,本文の学習や並行読書を通して考えたことを書く。

作品から読み取れるテーマ例

誰かにから言われた大切なこと
悲しみや怒りを受け入れる・乗り越えること
誰かのお陰で生きていること
自然に対する畏怖、共生

感想文例

「海で生きるということー命のバトンー」

太一は、おとうの敵討ちをするために漁の練習を一生懸命して、じいさに村一番の漁師と認められた。そして、おとうを死に追いやったクエと会い、仇討ちをしようとする。

しかし、やっと出会えたクエのおだやかな目を見て、殺したくないと思ってしまう。大魚をおとうと重ねることで、殺さずに済んだ。「むやみに命を殺してはいけない」というじいさの教えが、太一をそうさせたのだと思う。

自分の感情のままに生き物を殺すことは、決して許されない。きっと、おとうも同じ立場だったら、大魚を殺さなかっただろう。(息子の太一がクエに向かい、死んでしまったとしても)

太一は、人間も自然の一部として共に生きる生き方を、おとうやじいさ、そして瀬の主に教わった。そして、村一番の漁師であり続け、きっと子どもたちにも、海での生き方=人も魚も海の命でいること、を伝えていくだろう。


  (感想画:絵の中心では、魚が命を食べていると同時に命が生まれている)

「海のいのち」を読んで

私は海のいのちを読んで、心に残った事が3つあります。

1つめは、太一の父親が死んでしまった事です。太一の父親は、もぐり漁師で潮の流れが速くて、だれにももぐれない瀬に、たった一人でもぐっては、岩かげにひそむクエをついていたそうです。そんな腕の良い漁師だった太一の父親が、ある日大きなクエを捕まえようとして、失敗し海の中で死んでしまいました。その時、太一の父親のもりはその大きなクエの身体に突き刺さっていましたが、何人がかりで引っ張っても全く動かなかったようです。そんな大きな魚を目の前に、太一の父親は自分の命をかけて戦ったのがすごいなと思いました。

そして2つめは、与吉じいさが、太一に向かって「自分では気づかないだろうが、お前は村一番の漁師だよ。太一、ここはおまえの海だ。」と言った事です。太一は、漁師になるために、与吉じいさという漁師に弟子にしてほしいと頼みました。そして、毎日一緒に海に漁について行きました。最初は、つり糸さえ触らしてもらえなかった太一ですが、何年も一緒に漁に出るうちに作業のほとんどを太一がするようになっていきました。そんなある日、与吉じいさが太一に言った言葉です。
 たとえ初めは上手に出来ないことでも、毎日コツコツと努力すれば、ちゃんと自分の身についてくるのだなと思いました。私も、バスケットボールを習っていますが、毎日シュートやドリブルの練習をして、上手になれるように努力しようと思いました。

最後に3つめは、太一が海で、父親が捕まえようとした大きなクエを見つけたことです。太一は、漁師になってしばらくすると、父親が死んだ辺りの海にもぐるようになり、一年以上もぐることを続けました。そしてついに、探し続けていた、まぼろしの魚を見つけることが出来たのです。太一は、もりで刺そうとしましたが、魚は全く動こうとせず、おだやかな目で太一を見ていました。その時、太一はその魚と父親を重ね合わせました。一年以上探し続け、やっと見つけた魚を目の前にした太一には、私には想像出来ないくらい色々な感情が湧き出てきたんじゃないかと思います。
 そして、最後には、何かが吹っ切れたようにその魚にふっと微笑みかけたのでした。太一は父親が死んでからずっと、その魚を恨み続けていたのではないかと思います。そして、魚のおだやかな瞳を見た時、その憎しみから解き放たれたのではないかと感じました。

私は「海のいのち」を読み終わった後、とても穏やかな気持ちになりました。そして、太一のように優しく、素直な人間になりたいと思いました。

「海のいのち」と共に生きる

私は海のない県で育った為か、海にはとても強い憧れを抱いている。車で高速道路を走る時も、遠くの方に見える小さな海にだって目を輝かせ、心躍らせてしまう。それは、「海の命」を読んだ時も例外ではなく、冒頭から私は太一の住む村を頭の中で思い描き、キラキラと輝く水面を眺めながら深呼吸をしていた。

太一も海が好きだった。太一の父親は、とても腕の良いもぐり漁師だったが、ある日海で溺れ死んでしまった。そんな経験をすると、海を見るたびに父親の事を思い出し、悲しくなるはずだ。太一は父親の命を奪った海を憎み、嫌いになるはず、私はそんな事を思った。
 しかし、太一は自分も海へ出る道を選んだ。太一は与吉じいさという漁師の弟子になり、来る日も来る日も海に出た。やがて太一は、たくましく、屈強な村一番の漁師へと成長していった。

私は、漁師といえばテレビでよく見かける大きな網で一気に大量の魚を釣り上げる姿が浮かぶ。だが、太一はそれとは違った。毎日20匹の魚をとるだけだった。それが、海のいのちを守るための、与吉じいさの教えだったからである。

海の恵みのお陰で生きていける。自分たちが生きるのに最低限の命をもらうだけでいい。

与吉じいさの伝えたかったことは、そういう事だったのではないかと感じた。私たちの生活は、毎日食べる物に溢れている。必要以上に命を奪ってはいないか、与吉じいさの言葉から改めて自らの生活を振り返り、自然の恵みに感謝して暮らすべきだと反省することが出来た。

物語の最後で、太一は父親の死んだ海に潜り、父親の命を感じる。太一は思う、全ての命はやがて海へ帰っていくのだと。
 海は時として、人間には到底及ばない大自然の力を突き付けてくる。それでも人々は海を愛し、海と共に生きていく。

作品を読んで私は更に海が好きになった。だが、もう一つ今までには感じなかった感謝の思いが強く湧き上がってきた。今度海を眺めるときは手を合わせて「ありがとうございます」とお礼を言おうと思う。

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「海の命」(挿絵) 伊勢 英子(画家・絵本作家) | 作者・筆者インタビュー | 小学校 国語 | 光村図書出版

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