乱暴な言葉を防ぎ、優しい言葉を増やす授業 ~指導の具体

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乱暴な言葉でクラスの雰囲気が悪い

 乱暴な言葉がどうしていけないのか、クラスを蝕むのかについては、関連記事をお読みください。

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乱暴な言葉がはびこりだしたと感じたら、あるいは45月の様子を見て、どうもこの学年は乱暴な言葉が流通していると見取ったら、学級指導や道徳の時間を使ってしっかりと言語環境を整えるための授業をしましょう。自分の学級だけでは止めきれない場合も多いと思うので、学年全体、あるいは学校全体で指導るべき状況もあると思います。 

具体的に授業例を示してみます

 乱暴な言葉を調査する

 これは、授業前に行っておく事前準備です。

T:先生さあ、みんなが使っている言葉が少し気になっているんだ。いわれて嫌だった言葉がないかなあ。耳を澄ましていると、『馬鹿』とか、『消えろ』とか、聞こえてくるんだけれど。」「一度、みんなで話し合いたいと思うので、書いてみてね。

  • 6かB7程度の大きさの紙を配って半分に折らせます。
  • 上に名前を書かせ、上半分に「言われて嫌だった言葉」を書きます。下半分には「言われてうれしかった言葉」を書きます。
  • 誰に言われたか、固有名詞を書くと「言った、言っていない」「そっちが先に言った」等、嫌なムードになるので、固有名詞は書かないように指示します。
  • 教師は書かれたものを授業に備えて読んでおきます。

授業場面1 ~集めた乱暴な言葉を提示する

T:前に、乱暴な言葉を紙に書いてもらったけれど、けっこう不味い言葉が出てきているよ。紹介してみるね。

  • 紙は半分に折って、上半分(乱暴な言葉)だけ見せる。全部は見せません。酷いものもあるので。
  • 書いた子供にどんな場面でその言葉を言われたのかを聞きます。
  • 紙に書いてもらった時と同様、誰に言われたのかを言うと授業中にもめるので、「○○さん」と伏せて話すように指示します。
  • 「死ね」が出たところで、

T:もしこれを言って相手が本当に死んだときには相手の親から弁償をしてくれと言われても仕方ありません。君が『死ね』と言ったから死んだと言われるよ。弁償って、命の弁償って、お金でいくら払えば済むと思う?

  • 「殺す」が出たところで、

T:もしこれを言って相手や相手の周りの人が警察に訴えたら逮捕されます。殺害予告ですから警察に逮捕されても仕方ないです。

T:「死ね」や「殺す」などの命にかかわることはそれぐらい重要なのです。(実際はそんなに簡単に賠償や逮捕には至らないようですが、それは子供に話さなくてもいいと思います。)

  • 最後に書画カメラをルーズにして並べられた乱暴な言葉全体を表示する。「うざい」「きしょい」「イラつく」「ばか」「消えろ」「死ね」「殺す」・・・悪い意味で見事です。

授業場面2 ~乱暴な言葉の何が悪いかを話し合う

 乱暴な言葉を表示または板書しながら考えます。

T:こんなにたくさんの、いろいろな乱暴な言葉が飛び交っているみたいだけれど、こんな言葉が飛び交っている教室でいいクラスになれるかな。

ここで、カッターかハサミを複数用意しておいて、それを両手に持ちます。あるいは、安全そうな子供を一人(興奮して変な動きをすることがあるので人選に注意)、前に出して、カッターかハサミを渡して、

T:みんなさあ、刃物を持っている二人で、仲良くなれるかな?先生と、□△さん、仲良くなれるかな?

C:無理、無理(子供たちの質によって様々な声が出ます)

□△さんに、席に戻ってもらいます。□△さんが教師に刃物を返す時に自分側に刃物を向けて返したらほめます。

T:乱暴な言葉を使っているのは、みんなが刃物を持って教室をうろうろしているのと同じだよ。

T:今、全員が刃物を持っているのを想像してみて。

と、少しの間、考えさせます。

T:先生は、これらの言葉の事を『言葉のナイフ』と呼んでいます。(黒板に大きく板書する)

同時にここで、乱暴な言葉について「チクチク言葉」「ギザギザ言葉」「マイナスの言葉」などと、学年に合わせて命名しておきましょう。

T:教室で、街で、ネットで、ナイフを振り回さないでください。おかしいでしょ、そんなの。

C:おかしい、怖い、やめてほしい


T:じゃあ、どうするの?


C:言わないようにする。言う人がいたら「それ、やめようよ」と言う。

授業場面3 ~乱暴な言葉の何が悪いかを話し合う

T:乱暴な言葉を使うと何がいけないの。

C:ストレスがたまる。仲が悪くなる。けんかになる。クラスの雰囲気が悪くなる。伝染する。言われた人がつらい。

T:言われた人がつらいという意見が出ましたが、乱暴な言葉が聞こえるのは言われた人だけかな?

C:周りの人にも聞こえる。

T:そうだよね。周りの人も嫌な気分になるよね。さっき、●△さんが言ってくれたみたいに、伝染する、マネをする人も増えるよね。

T:言われた人と、周りの人だけ?他には?

C:先生?T:うーん、先生もつらいよ。心がギザギザになるよ。他には?

C:自分自身?

T:そうだよね、言っている本人の心だって傷つけていると思うよ。

授業場面4 ~封印

 T:じゃあ、今日、みんなが出してくれた乱暴な言葉は、この封筒に入れて封印しておくね。

 と言って、「封印」と書かれた袋の中に入れて、テープを貼って翌日、みんなに見せましょう。どこかあまり目立たないところに置いておきます。空き教室なんかがあったらそこの壁に封筒を画鋲で止めておいてもいいかも知れません。トラブル指導が空き教室であったときに、トラブルに絡んで乱暴な言葉が使われていたことが分かった封筒を際に指さして・・・

T:(翌日封筒を見せて)ここに封印した言葉だけではなく、たくさんの言葉のナイフがあります。これだけではありません。もし、言い過ぎた時には、後でもいいから、「ごめん、言い過ぎた。」と謝る勇気も必要ですね。

授業場面5 ~プラスの言葉

C:ちょっと、待って!「言われてうれしかった言葉」も封印しちゃうの?

T:そうそう、こっちは切り離しておくね。こっちもみんなに見せるよ。

と、言いつつ、並べた乱暴な言葉を回収して「言われてうれしかった言葉」を紹介していきます。誰に、どんな場面で言われたかも子供に発言してもらいましょう。書画カメラがあれば拡大表示して、どんどん並べていきます。誰に、どんな場面で言われたかも子供に発言してもらいましょう。今度は「誰」に言われたかも是非言ってもらいましょう。「言われてうれしかった言葉」では長いので「ふわふわ言葉」「プラスの言葉」などと命名しておきましょう。
「すてき」「だいすき」「ごめんね」「だいじょうぶ?」「がんばれ」「あそぼ」「お先にどうぞ」「ありがとう」etc・・・
全部並べて書画カメラをルーズにしたら、とてもいい「絵」になります。

 

授業場面6 ~ワークシート

ワークシートを配布します。ダウンロード↓↓↓してお使いください。

乱暴な言葉 ワークシート(エクセル)

ワークシートに北原白秋「ひとつのことば」を刷っておいて、みんなで音読します。教師が「ひとつのことばで」を読んだ後、子供にその下の句を読ませるといいですよ。

ひとつのことば     北原 白秋

  ひとつのことばで けんかして   
  ひとつのことばで なかなおり
  ひとつのことばで 頭が下がり
  ひとつのことばで 心が痛む
  ひとつのことばで 楽しく笑い   
  ひとつのことばで 泣かされる
  ひとつのことばは それぞれに   
  ひとつの心を   もっている
  きれいなことばは きれいな心   
  やさしいことばは やさしい心
  ひとつのことばを 大切に     
  ひとつのことばを 美しく

読んだ後、ワークシートに振り返りと、みんなで集めた言葉の中から一番いいのを選ばせて、大きく書かせておきます。できれば太マジックで。これを切り取って模造紙に貼って教室内に掲示しておきます。

ギガ端末でパワーポイントできれいに装飾してプリントアウトしてもいいですね。 

指導にあたって

 この授業をしたからと言って、子供たちがすぐに言葉を改めるわけではありません。荒れているクラスですぐに成果が出るわけではありません。言葉との戦いは長期戦です。「言葉狩りをする勢いで」ではなく、不味い言葉が出た時には、やんわりと正しましょう。

良い言葉が出た時には、さっと取り上げてほめてあげましょう。

どちらも伝染します。どちらがどれだけ伝染していくか。折に触れては改善を進めてください。上記のような指導が1時間で収まらないなら、「プラスの言葉」の下りを2時間目に持ってきてもよいかと思います。学級経営は1年を見通して戦略的に行っていく必要があります。年度当初に先手を打ってこの授業をするのもいいし、年度途中で乱暴な言葉が蔓延し始めたころに投入するのもよいかと思います。学級崩壊や重篤ないじめに陥らないための布石です。後手には回らないようにした方がいいです。

1年を見通した学級経営 ~戦略的学級経営 | EDUPEDIA

こうして言葉の学習をすることも、後半になってクラスの雰囲気が良くなってきてプラスがプラスを生み出していく結果につながっていきます。焦らず、着実に。

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