1年を見通した学級経営 ~戦略的学級経営

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忙しくても、

 4月は過度に忙しい・・・と思っていたら年中忙しいのが今の学校現場です。毎日毎日、降りかかってくるタスクを「こなす」だけで精いっぱい・・・。しかし忙しいからと言って、日々に流されていると、いつの間にかクラスの中に不協和音が生じ、上手くいかなくなってきます。多くのクラスが何らかの問題を抱えています。
学級経営がうまい同僚の様子を真似てみたりしても、うまくいかなかったという経験はありませんか。書籍やネットで読んだ実践のあれこれを取り入れようと焦ってみても、消化不良に陥ることもあるでしょう。学級経営にはそれぞれの教師にマッチしたやり方があります。また、受け持ったクラスが前年に学級崩壊していたり、同調圧力的な教師によって心を閉ざしている子供がたくさんいたりする場合もあります。

学級崩壊の予兆?チェック項目とその対処1 | EDUPEDIA

同調圧力的学級経営はいかがなものか | EDUPEDIA

クラスは1年をかけて、子供たちと教師との化学反応で変化をしていくものです。だから、状況に応じて、1年間を見通して、戦略的に子供たちへの指導を組み立てておく必要があります。今の時代、丸腰でクラスが「何とかなる」わけがなく、しっかりした武器を持ち、戦術の工夫をしなくてはなりません。「何で成長させるのか」「どうやってつながりを作っていくのか」を考え、意識的に戦略を組み立てていきましょう。「戦力の逐次投入」は本当の戦争での戦略として愚策と言われます。一年間を見通せるぐらいに「引き出し」を増やしておいて(戦力と戦術をため込んでおいて)、状況に応じて使えるようになれるといいですね。

何度もすることに関しては特に、積み重ねて大きな力(プラス方向にもマイナス方向にも)を生み出すことになります。

少しずつ地固めを

 年度当初(4月~5月)にやっておくとよいことに関しては、前編に当たる

新年度準備、4月~5月の学級経営 | EDUPEDIA

にいくつかの「例」を挙げていますので、あわせてお読みください。また、行事に関しても、EDUPEDIAのサイト内検索をかけてみてください。いろいろな記事が収められています。行事も年間の戦略にしっかりと位置付けてください。EDUPEDIAにはたくさんの学級経営に関する記事があります。

学級経営 ~授業規則・生活規則(年度当初のきまりごと) | EDUPEDIA

さらに、年間を通してやっておくとよいことを以下、付け加えます。あくまで筆者がやってきたことの「例」であって、下記の指導を(どのタイミングで)投入するのか、しないのかは自身でしっかり考えてみる必要があります。一気呵成にクラスを変えるというのは難しいかもしれませんが、少しずつ地固めをしていくイメージで取り組むことは大切です。

難しい子供・保護者への対応

近年はクラスに一人は何らかの事情を抱えた子供がいて、場合によってはその子供や保護者への対応に追われ、学級経営が難しくなっていくこともあります。指導が難しい子供にどう対応するかは一概には言えませんが、「あなたの事を大切に思っているよ」「あなたのことを諦めていないよ」というメッセージをずっと送り続けることは大切だと思います。その言葉そのものでなくてもいいので、態度でそれを示してあげられるといいですね。
また、保護者対応も学期末の個別懇談を待たずに、機会を設けて事情を聞いた方が良い場合もあります。ファーストコンタクトがトラブル対応になってしまうのは避けたいです。

学力保障

学力保障 ~学校の荒れを防ぐための最優先事項 | EDUPEDIA

学校は勉強をするところですから、子供たちの学力を伸ばすことができれば、学級の中に上昇気流を生み出すことができます。指導が難しい子供は学力の問題を抱えていることが多いです。「授業と学級経営は学級の両輪である」と言われます。切り離して考えることはできません。力を伸ばし、伸びたら児童・保護者・教師で喜びを共有するというサイクルができるといいですね。

慌てず、着実に 

筆者が年間を通して取り入れている諸々です。年度当初の例に比べれば急いで取り入れなくてもいいと思います。筆者も毎年全てを実行しているわけではないです。クラスの状況を見て、タイミングを見計らって取り入れてください。特に毎日すること、何回もすることに関しては、取り組み方次第で年度後半あたりからじわじわと効果が出てくることもあります。

小学校での学級会の進め方 | EDUPEDIA

学級会は5月スタートでもよいでしょう。一年間、やってみると随分司会も上手になってきます。特に高学年は様々な場で児童会活動の中心になって行くので、それまでに育てておく必要があります。

百ます計算で成果をあげる方法Ⅱ ~誰にでもできるユルめの百ます計算の方法と成果 | EDUPEDIA

特に低学年には、百ます計算と百割計算をやらせてみてください。タイムを計って記録をつけることで子供たちのモチベーションや集中力がアップします。特に4年生以下の子供に計算力をつけておくことは、繰り返される四則計算の単元の準備に適しています。

【新学期に使える】小学生向けアイスブレイクネタ特集 | EDUPEDIA

クラスが盛り上がってゆくためには、時々楽しいゲームをしてあげるのも大切です。【新学期】と書いていますが、いつやってもコンパクトに楽しめるネタです。

話を聞かせる ~「何度言ったらわかるの?!」と、怒り、嘆いてしまう前に | EDUPEDIA

原則として話も指示も短い方がいいです。また、「誰かが話し始めたらおしゃべりをやめて手を止め。その人の方を向く」という習慣もつけさせておきましょう。が、何かと説明責任を求められる昨今、様々な話をする必要が生じます。年間を通しての教師の情報発信はものすごい量であると思います。話をする機会に、上記リンクに書いてあることを意識して話を聞く子供を育てる必要があります。

「クラス全員成功」という金字塔 | EDUPEDIA

何かに向かって粘り強く取り組む機会は必要です。全員成功でなくてもかまわないので、「チャレンジして、自分は、自分たちはよく頑張った。」と子供が思えるような時間帯を作ってあげてください。

機能的な班作り ~曜日ごとにリーダーを変える | EDUPEDIA

全員がリーダを経験でき、子供たちを動かすときにとても便利です。

教師の語り(学期はじめver) | EDUPEDIA

子供たちの印象に残る鉄板ネタを用意して、学期に1度ぐらいは投入しましょう。上記リンクの「ノミの話」は私も何度か話しました。
伝えたいことを黒板に大きな字で書くのもいいかもしれません。「大大大好き」「折れ合う」「自分のケツは自分でふけ」・・・さて、何を話したのでしょう。

誰にでも、簡単にでき、効果のある教育実践 ~教師の資質や負担に依存しない「点数を稼げる実践」を | EDUPEDIA

じっくりと取り組みを続ける一方で、限られた時間の中で成果を上げてゆくことも大事です。負担感の少ない取り組みを記事にしています。

学級目標を設定する

こうなってほしい、こうであってほしいという担任の願いを込めて、印象に残る学級目標を立てましょう。焦って4月当初に発表しなくても、5月ぐらいに子供の様子を観察してから発表すればいいと思います。シンプルでいいと思います。

「やる気・元気・根気」「人にやさしく」「一つ上を目指そう」「当たり前を当たり前にできるクラス」「少ししんどいことを毎日続ける」「情けは人のためならず」「トライ!!」「チャレンジ!」

など、担任の想いも語りながら、提示しましょう。

隙間時間に何をさせるのか

休み時間に外に出ていかない子供や雨の日に、どのように過ごすことを推奨するかも大切な事です。あるいは、授業中に課題が早く終わった子供が、何をしたらいいかを理解させておくことも大事です。
休み時間の過ごし方は各校のルールがあるのでそれを踏まえる必要はありますが、トランプやオセロ、塗り絵など、比較的早く終わる遊びならやらせていいのではないかと思います。
授業中に早く課題が終わった子供がいちいち「先生、次は終わったから何をしたらいいですか」と聞きに来るのは避けたいですね。本を読む、塗り絵をする、数独(ナンプレ)をする、GIGA端末のアプリをする、宿題をする・・・などの課題をあらかじめ子供たちに話しておくとよいでしょう。ただ、それらをしたいために、本当の課題(テストや書写や図工)を適当に済ませてしまう場合もありますので、本当の課題に応じて「次の課題」を与えましょう。

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