百ます計算で成果をあげる方法Ⅱ ~誰にでもできるユルめの百ます計算の方法と成果

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目次

ここ数年の取り組み

この記事は、

百ます計算で成果をあげる方法Ⅰ ~少しユル目の百ます計算指導の実際【教材】 | EDUPEDIA

の、後編です。是非、前編↑↑↑もご参照ください。

前編は「週1回で計5回」の百ます実施の記録を記事にしました。非常にユルめ、軽めの実戦で「5回目で4分17秒」という成果が出たところまでです。5回目を実施するまでの5週間で、様々な補助的な指導をしたことを上記リンクに書いています。

前編から数年を経て、2年生や3年生で百ます計算を実践してみました。前編よりはずいぶん気合を入れた指導をしましたが、陰山先生の実践(陰山メソッド)に比べるとずいぶんユルめでしょう。それでもなかなか良い成果が出ています。準備と設定さえすれば、誰にでもできる取り組みです。

百ます計算のルールと方法

百ます計算がうまくいくようにするには、いくつかのルールを示し、守らせていく必要があります。
改善を加えながら下記のような方法で何度か取り組んでみました。前述の「週1回で計5回」の結果が4分17秒でしたが、もう少し頑張らせることで、ずいぶん良い結果を

  1. 百ます計算を行うときには机の上を整理し、姿勢を正しくするように指導する。集中が大事なので、「スタート」の声をかける前にしっかりと心の準備をさせておき、始まったら教室に鉛筆の音だけが聞こえる状態を作っておきます。
  2. 5分(4分・3分)で切る。・・・最初は百マスをすると長時間かかる子供がいます。やり方が理解ができずに30分以上かかる子供も少なくありません。その子供に合わせて数十分もやらせる必要はありません。早くできて待っている子供が退屈して面倒です。前述したように、十ますから徐々に始めることによって、5分で切ってもやり残しが出る子供が少なくなります。児童の実態に合わせて、制限時間を設定しましょう。
  3. やり直しをさせないで集める。返却せずに捨てる。・・・集めるだけでも手間がかかるのに、それを返却するとなるとさらに手間がかかります。また、できていない所を自分でやり直しをさせて、提出させることもまた手間がかかります。計算が苦手な子供はやり直しが好きではないし、再提出するという行為が苦手な子供も多いと思います。十マス計算で力をつけておけば、百ます計算はほとんどの子供が5分以内にできるようになっているので、やり直しをさせる必要もなくなります。データを採ればあとは紙ごみとして処理すればよいと思います。私は裏紙(印刷失敗した用紙)に印刷して配っています。そして、紙ごみに直行させています。特別回(5回目や10回目、合否判定して居残りメンバーを決める回)だけ新しい紙に印刷してゴージャスな感じを演出して、その回は保護者にも見てもらうようにノートに貼って保管させます。
  4. 集めてデータを採る。毎回のデータを採る必要なないと思います。1週間に1回か10日に1回ぐらいのペースでデータを採ってエクセルに打ち込んでおくと子供たちの伸びを観察できるため、個々の児童や全体に対してプラスの声掛けができるようになります。上↑に添付したエクセルファイルを使てみて下さい。個別データを見て伸びている子供への声掛けをし、クラス全体のデータを見てクラス全体の伸びをアナウンスしましょう。ベスト10を公表するのもいいでしょう。
  5. 毎回毎回、集中をさせることは難しいので、「今日はパソコンにデータを入れるよ」と言って特別感を出す日を作りましょう。その日には1分間の「黙想」を取り入れるのもいいです。それだけでもぐんとスピードが上がります。
  6. 消しゴムを使わせるとそこで大きく時間のロスが発生してしまうので、間違えた場合は2本線で消す
  7. 毎回プリントを用意するのは大変なので、同じプリントでよい。10回に1回や、5回に1回ぐらい替えれば十分。そんなに効果は変わりません。4種類ぐらいのプリントを作って、ローテーションでやっていくという方法でもいいと思います。
  8. 答え合わせも高速で。隣同士で交換させて答え合わせ。「12、8、14、10、7」と、5個区切りで読みます。間違いだけに×を入れる。満点には花丸、95点以上には「OK」、それ以下には「ファイト!」と採点者に書き込ませます。
  9. 高速で答え合わせをやったとしても、時間がかかってしまうことには変わりありません。そこで、慣れてきたら答え合わせは数回に1度でいいと思います。1桁の計算レベルの問題の間違いを毎日チェックするのはコスパが悪いです。データをとる日だけにしておくとよいと思います。
  10. 必ず集めてチェックを入れる。滅茶苦茶な答え合わせをしている場合や、8のように答え合わせをしないと滅茶苦茶な答えを書いている場合がありますので、見ておく必要があります。必死になって点検しなくてもいいので、ざっと見てアウトな答案を見付けましょう。滅茶苦茶防止の抑止力になります。
  11. 「何回させればいいのか」についてはは、正直なところ、分かりません。すぐにタイムが上昇するクラスもあれば、ひき算を35回ほど実施してやっとタイムが上がってきたケースもあります。私がざっくりと考えていた目途は、データを眺めていて「クラス平均がもうこれ以上は伸びないかな」と思った時にやようというところです。
  12. 陰山先生はストップウォッチを片手に、できた子供に挙手させてタイムを教えるのが緊張感を持って取り組ませるコツだとおっしゃられています。しかしこの方法は30人以上の児童を抱える教室では僅差で挙手されるとタイムを教えるのが難しいので、大型のタイマーを設置すればよいと思います。プロジェクター投影ができる環境であれば、画面にタイマーを大写しするといいですね。タイムは自分で見て記録させます。私はタイマーの横に立っておいて、計算を終えてタイマーを見ようとする子供にガッツポーズやアイコンタクトを送ってあげるています。いい顔していますよ。
  13. 0・1・5から始めるのは禁止。・・・確かにこれらの計算は楽ですが、それでスピードが上がるわけではありません。「0・1・9・5から始めるのはよくないのでやめましょう。時々簡単な行を挟むことで一息つけるので、順番にやった方がスピードが上がります。」と説明すればよいと思います。
  14. 宿題に百ます計算を出すことについては賛否が分かれると思います。家庭でガッツリと集中してやる環境がある子供が大半であるのなら良いのですが、そうでなければやめておいた方が良いかもしれません。
  15. 保護者にはたし算・ひき算・かけ算の最終的な結果を知らせます。エクセルのデータを利用して個人とクラス平均の最初のデータと最終的なデータを載せて、渡します。図

どれくらいの強度で何をやればいいのか

百ますを取り入れる時に、どれくらいの強度で何をやればいいのかは、なかなかわかりません。次に示すデータも私がどんな子供たちにどれくらい一生懸命に取り組んで得られた結果なのかは正確には分かりにくいと思います。何回やったのかも分からないですよね。何回やったかについては都度記録をしてきたわけではないので分かりません(すみません)。もっと精度を上げてやり続ければ、さらに子供たちが覚醒して、陰山先生の実践のようなタイムが出たかもしれないですが、そこが「少しユルめ」な私の実践です。

学年やクラスの子供たちの質が違いますので、データを単純に比較することはできません。年度によって様々な事情がありました。後で述べるような百ます計算を極端に苦手とする子供が在籍していたクラスや、前の学年での指導がかなり不十分であったクラスもありました。十分に百ます計算を練習する時間(回数)が取れなかった年度もあります。3年生ではあまりのあるわり算に取り組みたいため、たし算・ひき算の百ます計算をする時間がどうしても少なくなります。ここ20年で5・6年の担任や算数専科の担当になった際に百ます計算を実施したことはありません。5・6年を受け持った時は、どの年も様々な問題を抱えていて、百ます計算よりも3・4年の内容を補ってあげる必要があったからです。是非、5・6年でも実施してみたいですし、中学生に実施した場合にどんな成果が出るのかも知りたいと思います。

年度によって微妙にルール・方法を変えてきましたが、おおよそ上記のように進めました。

成果

陰山先生が掲げられている「2年生2分以内」「3年生1分30秒以内」という驚異的な記録をマークする子供は年によって違いますが、10%から30%程度でした。陰山メソッドほどではない結果ではそう簡単には出ないようです。しかし、ユルめの取り組みで淡々と続けても、下の表のようにクラスび平均タイムが下の様のように2分台になってきます。(わり算は「余りが出るわり算50問」)

  1. 倍以上にスピードが上がった子供がたいていの年で70%程度います。1.5倍以上を含めると80%程度です。算数の時間の最初の10分程度の取り組みで、これだけの成果が出るのに、やらないのはもったいないです。
  2. 大きくタイムを縮めたことは子供の自身や自己肯定感につながります。
  3. 何よりも、難しくなってゆく筆算の機序を覚える前に1桁・2桁程度の演算ができないせいで躓く子供が激減します。
  4. 教室の中に「乗り越えればどうってことない」という空気が出来上がるために、少々の負荷を与えても拗ねたり挫けたりする子供がいなくなります。
  5. クラスの中に百ます計算以外の場面でも集中して学習に取り組もうとする姿が生まれます。
  6. 個々の保護者にデータを伝えることで、信頼関係を築くことができます。

下の表はある年のかけ算のデータです(個人情報保護のためデータはデフォルメしており、全員分は掲載していません)。1回目、2回目・・・と書いているのは「記録をした回数」で、5~7枚の百ますをするごとに記録したものです。回を追うごとに黄緑色(1分台)と赤色(2分台)が増えていく様子を見ていると、取り組んでよかったと思います。是非、記録を取りながら進めてください。
記録用のエクセルファイル↓↓↓を添付しているので、是非ご利用ください。

100マス計算等簡単データ分析

少し、時間のやり繰りをする必要がありますが、それほど負担感はありませんでした。準備と設定をきちんとしただけなので、教員側の資質や努力に依存することなく、誰にでもできる実践です。

誰にでも、簡単にでき、効果のある教育実践 ~教師の資質や負担に依存しない「点数を稼げる実践」を | EDUPEDIA

極端に苦手な児童について

では、万事うまくいったのかと言われると、そうではありません。百ます計算のスピードが極端に上がらない子供が毎年います。その様子をいくつか挙げてみます。

  1.  1年生時(かけ算は2年生時)の習熟が十分でない・・・集中するも何も、1年生時のたし算・ひき算の習熟ができていない子供、2年生時に九九の暗唱が十分にできないままに3年生になった子供は見ていて痛々しいものがあります。足し引き、かけ算の初期指導に遡って基本的な習熟練習をしてあげると改善する場合もありました。救いきれなかった子供もおり、百ます計算の時間がその子供の負担になっていたケースもありました。この「1」のケースは以下「2・3・4」と深い関連があります。
  2.  気力を失っている・5分間の集中が続かない・・・5分間が長すぎて、課題に向かう気力を途中で、あるいは最初から失ってしまう子供がいました。回を重ねるごとに改善してゆくケースもあれば、最後まで集中が続かないままのケースもありました。10ますや50ますに戻って頑張らせてみることも必要なのかもしれません。
  3.  計算が無茶苦茶になる・・・スピードを上げようと意気込みすぎて、無茶苦茶な答えを書いてしまう子供がいます。とにかく、落ち着かせて、時間をかけて正解を書くことを優先するよう伝えました。
  4.  キレる・落ち込む・・・周りがとても高い集中力を発揮できるようになり、しんと静まり返った中で鉛筆の音だけが響くと、キレたり(叫ぶ・紙を丸めてしまう)、落ち込んだり(わなわなと震える・暗い顔をして何もしない)する子供が何人かいました。百ます計算をしている場面だけではなく、個別の支援が必要な子供たちです。少しタイムが上がった時を見逃さずに、励ましの声掛けをしてあげることはとても大事です。

こうした子供たちには、個別の対応が必要だと思います。時間を設定して放課後などにフォローしてあげるのが良いと思います。次に記述する「算数GOGO」や「繰り下がりを習熟させるエクセルファイル」を用いて十分に習熟を促します。百ます引き算を5分以内で100点をとることを目標として、目標が達成されれば放課後学習から「卒業」として取り組みました。

抜け落ちがちな引き算の初期指導 2桁-1桁=1桁 ~減減法か減加法か【教材】 | EDUPEDIA

算数GOGOとの相性

ひき算のタイムがなかなか上がらない年度もありました。算数全般が苦手で自身もなく、百ますをやっていても集中ができずに呆然としている子供も見受けられます。全体的にタイムが伸び悩み、特に下位の30%程度の子供のタイムが7分より早くならない様子の時期がありました。クラス平均は5分35秒。この時点で20回は実施しています。そこで、「算数GOGO」というGIGA端末で動くアプリを全員にさせることにしました。そこからクラス平均が

5分35秒→5分1秒→4分28秒→4分9秒→3分46秒

と、ガッツリと上昇していきました。どうやら、百ます計算と算数GOGOは相性が良いようです。スモールステップで個に応じた難易度・スピードで問題が提供されるため、停滞していたスピードの上昇が一気に加速され始めました。下位の子供たちもほとんどが5分以内にできるようになり、「目標達成」を喜んでいました。

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