抜け落ちがちな引き算の初期指導 2桁-1桁=1桁 ~減減法か減加法か【教材】

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1年生時の引き算の習熟不足

2年生・3年生の子供を担任すると、1年生時に習う引き算の習熟が十分でない場合が多いことに気が付きます。なにやら指を折りながら計算をしていますが、ちっともスピードが上がらない様子。1桁-1桁はまだしも、2桁-1桁の計算は指を使うのに苦労をしているようです。指が足りません。

2桁-1桁=1桁」の計算は、後の四則計算を素早く正確に解くためにとても大切です。それなのに、1年生時は教師も子供も保護者も、たし算の習熟で力尽き、時間切れとなって、「2桁-1桁=1桁」の習熟は放置されたままになりがちです。

例えば12689の筆算に時間がかかり、躓いてしまう2年生の子供はこの「1年生時の引き算の習熟不足」が少なからず影響しています。その後の算数の学習からこぼれ落ちていきます。

例えば32÷73228が余りのあるわり算。これがすぐにできずに躓いてしまう3年生の子供もこの「1年生時の引き算の習熟不足」が少なからず影響しています。その後の算数の学習からこぼれ落ちていきます。

一度落ちこぼしてしまった子供をどう支援するのかという問題は、教育界の中で見過ごされがちです。とても残念です。

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「減減法」と「減加法」

1年生の2桁-1桁の計算は、「減減法」か「減加法」を使います。

  • 「減減法」は、例えば、13-7の場合、7を3と4に分けて、13-3-4で答えを導き出します。
  • 「減加法」は、例えば、137の場合、13103に分けて、1073で答えを導き出します。

 教科書は例えば137を減減法で解くのか、減加法で解くのかを明記していません。今この記事を読んで下さっているみなさんはどちらで解いていますか?2年生・3年生の子供にこれを聞いても、子供たちは首を傾げて困っています。計算が得意な子供は「どっちで解くなんて考えたことがない、意識をしていない」「覚えているからどうしているのかわからない」と言います。得意でない子供は2つの解き方の何が違うのかがよく分からないようです。大人にも聞いてみましたが、私の周りの大人は「意識をしていない」ばかりでした。

何人か(十何人か)の1年生を担任したことのある教師に「減減法・減加法」をどう教えているのか、聞いたところ、ほとんどの教師からかなり曖昧な回答が返ってきます。「結局のところ慣れてゆかないと仕方ない」という感じです。筆者自身は、1年生に算数を教えたのは若い頃に1度だけしかありません。・・・酷い話ですが、どんなふうに教えたのか、何も覚えていません。

指を使ってひき算をしている子供を観察していると、どうやら「減減法派」も「減加法派」もいるようです。

137ならどちらでもいいような気がしますが、134であれば、431に分解するのは容易ですから、断然、減減法で、13-3-1をチョイスする(させる)ことをお勧めします。しかし、145なら、どうでしょう。「2桁-1桁=1桁」の計算をするときに、11-5、12-5、13-5、14-5がありますが、これらは減加法の方がビジュアル的に良いような気がします。例えば、12-5であれば、下のように左から5を取れば、7が残るのが目に見えて分かります。

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←下図は、筆者が思う「減減法で解いた方が良いか減加法で解いた方が良いか」を全パターン色分けしたものです。ちょっと迷う部分もありますが・・・


  

『減減法か減加法か』をビジュアル的に示す

 では、上図を参考にしながら、子供に減減法と減加法の切り替えをどうやって教えるのかという事について書きます。前述したように、「2桁-1桁=1桁」の計算を目の前にした時に、減減法と減加法のどちらを使うのかをどう選択するのかについて、教科書は何も語っていません。

そこでビジュアル的にわかりやすいエクセルファイルを示しながら考えさせます。
エクセルファイルはこちら↓↓↓からダウンロードしてください。

ひきざん18まで ●表示2024

一直線の20マスに赤玉を並べ、減減法と減加法が何をしているかを考えさせます。おはじきを使っていたのではもたもたしてしまって遅いので、エクセルを使って減減法と減加法を表すことができるようにしました。是非、添付ファイルを開いてみてください。「減減法は左から引いて、引く」「減加法は、右から引いて足す」ということを理解させます。10マスを2段にするより明快です。

これで、125を考えれば、左から5を払えばすぐに7が見えます。ビジュアル的な分かりやすさは重要です。100玉算盤はあるのですが、20玉算盤(珠が横一列に並んでいるもの)を見かけたことがないので、自分で作ってみました。下に添付ファイルで貼り付けていますので、ご利用ください(著作権フリーです)。

2桁-1桁=1桁」の計算は1つ目の図のように、それほど多くのパターンがあるわけではないのです。子供たちが指を使うことなく、素早く、合理的に「減減法と減加法を使い分けることができる」ようになればよいなあと願っています。

授業時のデモ用で使えば、減減法・減加法の理解を促すのにたいへん役立ちます。また、子供のGIGA端末にエクセルが入っているなら、実際に子供に触らせて考えさせるのもよいと思います。何度でも問題をやり続けることができるので、習熟させるツールとして有用だと思います。

できればエクセルが入っていない端末でもこれが使えるようにWEB上(ブラウザ上)で動くものを作りたかったのですが、手間がかかるので断念しました。どなたか、作ってくださるとうれしいです。 

算数GOGO・百ます計算も使って

算数GOGOは、Windows上でサクサクと動く無料アプリです。四則計算問題が充実していて、何度も何度も練習ができます。

算数GOGO(GIGAスクール用フリーソフト)~個人個人に確実に計算力を! | EDUPEDIA

減減法・減加法について理解ができてきた子供には、このアプリを使ってどんどんと引き算の習熟に取り組ませてあげるといいと思います。スモールステップでスピードや難易度をだんだん上げるように作られているので、子供たちはどんどん自分でレベルアップを図ることができます。また、このアプリと並行して百ます計算のひき算に取り組むめばよいと思います。ICTと紙ベースの教材を並行して使うことによって、子供たちの力はどんどんと伸びてゆきます。

百ます計算で成果をあげる方法Ⅰ ~少しユルめの百ます計算指導の実際【教材】 | EDUPEDIA 

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