本単元で身に着けたい資質・能力
本単元では、『量の大きさを比べること』について具体的な操作から体験的に学び、身の回りにあるものの量的側面に関心をもって調べたり、比較したりする態度を育む。また、前単元にある「どちらがながい」と合わせて、直接比較や間接比較、任意単位による測定を適切に使い分け、表現できる能力を養う。
単元の評価基準
- 知識・技能:直接比較と間接比較、任意単位による測定の違いを理解している。
- 思考・判断・表現:
- 比較する際、どの比較方法が適切かを判断することができる。
- 任意単位による測定時、何を単位とするのか適切に判断することができる。
- 主体的に取り組む態度:「どちらがおおいか」だけでなく、「どれだけおおいか」まで、比較しようとしている。
単元の展開【1,2時間目/全4時間】
◆1時間目(目的:直接比較について学ぶ)
準備
大きさの異なる2種のプラスチックコップ(ペアやグループの数分)
導入
次回の授業で「水くみ競争:あさがおを救うヒーローは誰だ!?」を行うことを伝える。水くみ競争の概要は以下の通り。
1.チームでコップを使った水運びを行う。
2.決められた時間内に一番おおくの水を運べたチームの優勝
本時は、異なる大きさの2種類のコップのうち、どちらのコップを使って運ぶ方がお得(おおく運べる)かを一緒に考える。
本編
予想を聞いてから、大きさの異なる2つのコップを空の状態で配り、どのようにしたら比べられるのかを考えさせる。
コップを重ねてもはみ出てしまう等の試行錯誤をした後、どう考えたのか、なぜ(空のコップでは)比べられないのかを共有する。比べたかったのは運べる水の量であることに注目をし、教員が水の入ったコップを見せて、片方のコップにはどれだけ水が入るのかを理解させる。「もう片方のコップには、同じ量の水が入るのかな?」と疑問を投げかけ、再度考えさせる。
班ごとに考えを発表させる。答えにたどり着かない場合には、すでに水が入っているコップと同じ大きさのコップに水を入れ替えてみせ、同じ大きさのコップであれば水がピッタリはいることに気付かせる。これより大きいコップならどうか、小さいコップならどうかを再度考えさせ、共有する。
まとめ
片方のコップに入っていた水をうつして直接比較ができることを確認し、溢れた場合、ぴったりだった場合、足りなかった場合の3つの場合の結論を理解させる。
◆2時間目(目的:間接比較について学ぶ)
準備
① プラスチックコップ(人数分)
② 大きさの異なるバケツ(4個)
③ 2Lペットボトル(4個)、透明で大きなじょうろ等でも可
導入
今日は「比べる」をテーマに算数の勉強をするので、4チームに分かれての「チーム対抗戦」をすることを伝える。
【チーム作り】(「どちらがながいか」の復習)
席近くの4人で筆箱の大きさ比べをして、小さい人から順に1,2,3,4班と決める。
同じ大きさの人がいれば、入っている鉛筆の長さ等で比較をする。
本編
運動場へと移動し、競技の説明を行う。
チーム対抗戦1:「水くみ競争:あさがおを救うヒーローは誰だ!?」
【ルール】
1.制限時間は3分間。
2.蛇口から離れた位置に各グループのバケツをセットする。
3.児童には(大きさの同じ)コップを1人1個ずつ配布。
4.児童はコップに好きな量の水を入れて走る。
5.自分のグループのバケツに水を入れる。(4,5を制限時間まで繰り返す)
6.制限時間後、バケツの中の水が多いグループが勝ち。
(児童に伝えるのは4~6で、時間は教員が声をかけるまでと伝える)
説明終了後、「あさがおにたくさん水をあげて元気になってほしい人ー!」等、児童の意欲をあげつつ、最後はペットボトル(または大きなじょうろ)に移して水をあげることを伝え、2Lペットボトルの存在を知らせておく。
ゲーム終了後、結果発表をしたいが、バケツのサイズが違うため明確な差が分からないと困って見せる。前回の授業で学んだ直接比較が活用できないことを確認したのち、グループごとに考えさせる。グループの意見を拾いつつ、バケツの大きさが同じであれば比較できることに気付かせ、ペットボトルの活用へと目を向ける。
優勝チームへの賞賛だけでなく、水を運んだ回数や1度に多くの水を運んだ等を基準に様々なMVPを決め、盛り上げられるとよい。
まとめ
間接比較を活用すると、すべての容器に水が入っていても比較できることを理解させる。
指導のポイント
1.児童の意欲を引き出すための動機付け
ゲームを通じた学びというだけでなく、生活科で育てている「あさがおにお水をあげる」等、目的意識を持たせることで主体的な参加を促す。また、終わりに「MVPは誰だ!?」などと児童を褒める機会をつくり盛り上げることで、次回の活動への意欲も高めていきたい。
2.ゲームから学びへ(3時間目へのつながりを意識)
2時間目の終わりにMVPを決め、自分たちが運んだ水の量とバケツの中にある水の量とのつながりが意識できるとよい。
執筆者
まき先生
中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。
実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。
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