【著書紹介】『本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業力向上 42のこと』(大前暁政先生)

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目次

はじめに

本記事は、2024年1月発売の『本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業力向上 42のこと』(明治図書出版社)について、著者の大前暁政が皆さまに紹介する記事となっております。


書籍について

◎概要

本書は、子どもにとって価値ある学習を生み出すために、授業をどうデザインしていけばよいのかを、具体的な授業を例に解説した書になります。そして、授業に必要とされる力の中で、本当は大切だけど、誰も教えてくれない「教師の知恵」をまとめ、紹介させていただきました。

◎類書との違い

最大の違いは、日々の授業をどうデザインすればよいのかを、「不易」と「流行」の両方の観点から、解説したことです。さらに、具体的な授業例を取り上げ、その授業をどう改善していけばよいのかを示しています。

本書が類書と決定的に違うのは、「重要な知識」に絞り、かつ、体系的に示したところです。

◎こんな先生に読んでほしい

授業論に関して、網羅的に、全て学びたいという人には、必読の1冊となります。2030年に向けて、新しい授業デザインだけでなく、先人が築き上げてきた不易の視点も学び、日々の授業を充実させてほしいと思います。

特に重要なのは、授業の「ゴール」と、そこに向かうための「具体的な方法論」を知ることです。「最高の授業のつくり方を知らないまま、教師を続けますか?」本書は、「教える」という仕事に就く全ての人に読んでほしいと願っています。

一部を紹介!

本書の骨格部分を紹介します。

①これからの授業デザインをしていく上で、大切にしたい視点とはどのようなものでしょうか?

授業を一からデザインする上で大切なことは、「新しい時代の授業の方法(流行)」と、「いつの時代でも変わらず大切にしたい授業の方法(不易)」を両方知ることです。

不易と流行の両方の視点を得ることで、自然と、日々の授業がよりよいものに改善されるからです。本書のタイトルは、「授業力向上」となっています。具体的な授業デザインのやり方を知ることで、日々の授業を見直すことができるのです。

②具体的に、授業デザインに関してどのような内容を学ぶ必要があるのでしょうか?

本書では、例えば、次のような内容を紹介しています。

〇個別最適な学びと、協働的な学びの一体的な充実
〇「個別最適な学び」に必要な自己調整を促す力・姿勢の育成
〇「深い学び」を実現する条件と、具体的な授業デザイン
〇「学び方」を教える授業
〇 子ども主体の学びと、教師の指導とのバランスを考える「動的平衡」理論
〇学級経営と授業の相乗効果を生み出す方法
〇授業でもっとも大切な「認識の飛躍」の場面を生み出す方法

例えば最近では、学級に「心理的安全性」を確保しないと、子どもの学習も深まりや広がりを見せないことが、研究でわかってきています。学級経営において心理的安全性を集団に確保しないと、授業も上手くいかないのです。

このように、一口に「授業デザインの方法を学ぶ」といっても、それは授業の進め方に関する内容、学級経営との連動のさせ方や、個別に対応する方法などがあります。このように、現代の教師は、授業デザインの方法に関して、網羅的に、幅広く学ぶ必要が生じてきています。

③なぜ重要な知識であるほどに、教わらないことが起きるのでしょうか。

今回も、テーマは「授業デザイン」となります。前回と違うのは、さらに深掘りをして、「本当は大切だけど、誰も教えてくれない内容」を紹介している点です。

つまり、より重要な知識に絞って、系統的に、網羅的に紹介しているのです。上に示したような知識を、私たち教師がみんな知っていたら何の問題もありません。ところが、上の内容に代表されるような授業デザインのやり方を、私たち教師は、実は教わってきていません。

なぜ、「重要な知識」なのに、誰も教えてくれないのでしょうか?
深掘りした知識は、「重要であればあるほど」、伝達が難しくなるからです。そこで、本書では、次のような工夫をしています。

「具体的な授業場面をまず挙げ、そしてその授業場面の改善策を示す」

つまり、このように授業を改善すればよいということを、具体的な授業場面を用いて説明しているのです。難しい知識であればあるほど、具体的な場面を通して理解することが大切になるからです。

特に、失敗事例を多く挙げ、その失敗事例から学ぶことができる内容になっています。この失敗例を知るだけでも、相当な学びになるはずです。

是非、若手教師だけでなく、ベテラン教師や管理職にこそご一読いただきたいと思っております。

④教師が授業に対してもっておきたい考え方や姿勢はありますか?

一番は、子どもの学びにつながっているかを考えることです。教師がやりたい授業をするという姿勢ではなく、子どもの学びが最大限になるように、子どもに合わせて授業をデザインする姿勢が大切になります。

つまり、学校や教師の都合に子どもを合わせるのではなく、まず子どもの学びにつながるかどうかを重視する。このように考えると、授業デザインは上手くいくはずです。

もう一つ、大切にしたい姿勢があります。それは、子どもの学びが最適になるよう、臨機応変に授業をよりよいものに改善していくことです。

つまり、個々の子どもにとって最適な学びになっているかどうかを、常に見取り、子どもの様子によって授業を変化させていくわけです。例えば、子どもの実態や、学習の様子、個々の学習ペース、興味・関心、学習内容などによって、より学べる環境を教師が考えていくのです。

しかし、ここで気を付けたいことがあります。それは、子どもに合った授業をデザインする際に、教師の側に「授業デザインに関する様々な知識」がないと、結局は臨機応変に対応できないということです。

つまり、本書に示されているような、様々な授業デザインのやり方をこそ、学ぶ必要があるのです。学んだ教師だけが、子どもに合わせて、学習者ファーストで、最高の授業をデザインできるのです。

 本シリーズは、本書で4作目となりました。既刊書も、教師の本当に大切な知恵に絞って紹介しています。是非、既刊書にも触れてほしいと思います。

既刊書についてのご紹介はこちら

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プロフィール

大前暁政(おおまえあきまさ)京都文教大学

京都文教大学こども教育学部こども教育学科 教授
岡山大学大学院教育学研究科(理科教育)修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月より京都文教大学に着任。教員養成課程において、教育方法や理科教育に関する教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、学校現場と連携し新しい教育を生み出す研究を進めている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」や「日本初等理科教育研究会優秀論文賞」に入賞。研究分野は、教育方法、理科教育、学級経営、生徒指導、特別支援教育、科学教材、教授法開発、教師教育など多岐に渡る。

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読者へのメッセージ

学習者ファーストで、最高の授業をデザインしたいと思っている全ての人に、是非本書を贈りたいと思っています。

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この記事を書いた人

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