授業運営と学級経営は学級づくりの両輪である
学級崩壊チェックで上げた40の項目に対する対処方法を考えて書き並べてみました。後半は、
学級崩壊の予兆?チェック項目とその対処2 | EDUPEDIA
をご参照ください。
どう対処するかといっても、荒れてしまってから「教室をきれいにしなさい」「私語をやめなさい」と言ってもそう簡単には聞き入れてもらえないばかりか、指導に対する反発を招く結果になる場合も少なくないと思います。
下の「対処」は4月のうちに「予防」としてやっておいた方がずっとすんなりと受け入れられるだろうし、効果もあると思います。できれば「予防」として使ってほしいです。
さて、一口に学級崩壊と言っても、教師と子供集団の個性や固有の事情が深く関係し合う中で、学級崩壊と言う状況が生まれているわけで、様々なレベル、様々な状況であるはずで、効果のある対処もまた様々な方法があると思います。
一気に変えてしまう勢いで指導するのか、地道に辛抱強く変えていこうという方法をとるのか?あせり過ぎて子供たちとの衝突を生んで悪化するケースもあれば、のんびり構えた結果、重症化を起こしてしまうケースもあります。・・・学級崩壊の状況や教師の力量によって、やり方は違ってくると思います。子供たちと自分との関係を見つめながら、やっていくほかはないでしょう。
いずれにしても、教師が「授業運営と学級経営は学級づくりの両輪である」ということを日々意識して自己研鑽に取り組んでいくことが第一条件だと思います。一人ひとりの子供と自分との信頼関係を築き上げていく努力が必要なことも言うまでもありません。下に示した対処が絶対に通用するわけでもないし、別のやり方の方が功を奏する場合もあると思います。
たくさんの事例を読んで見て聞いて、自分に合ったベストなやり方を見つけていくようにしてください。
1.教室にゴミが落ちていることが多い。
教室のごみは子供が拾うのがいいと思います。だからといって、子供が拾わないから教師も拾わないでは、教室はずっと汚れたままです。汚れた教室で過ごすことは間違いなく子供の心を荒れさせてしまいます。
意地でも教室を清潔に保つという気持ちで、教師はごみを拾いましょう。まず、教室を清潔に保つことが大事であり、子供が「落とさない」「拾う」ように指導するのはその後でかまいません。
まずは、子供が汚しにくい雰囲気を作り出すことです。
担任がごみを拾う気力さえないのであれば、支援の教師が拾ってあげましょう。担任以外がごみを拾うと、担任に対して越権行為であるように感じる人もいるようですが、そんなことはお構いなしでできるようにならないといけないです。
特に、放課後、子供たちが帰った後には必ずごみを拾っておくこと。朝、子供たちが来たときに、「気持ちがいい教室だ」と思わせるか、「あー、汚れているな、これなら僕も少しぐらいごみを捨ててもかまわないか」と思わせるか、大きな違いです。日番などの係が休み時間ごとにゴミを拾うようにするなどの決まり事を作っておくのもいいと思います。
2.休み時間や教室移動で子供たちがいなくなった後の教室で、椅子が出ていたり、机の上が散らかっていたりする。
4月からのしつけがうまくいっていないと、こうなってしまいます。1と同様、まず教師がやっていかねばなりません。特に1日の授業が終わって、教室を出る前には振り返って、机がきちんと並んでいるか、ゴミが落ちていないか、掲示物がはがれていないか、黒板はきれいに老けているか・・・等を教師がチェックし、教師が直すところから始めるべきです。直しながら、考えましょう。「どうしたら、子供たちの手で、教室がびかできるのだろうか・・・」
3.落書きが目立つ。
1と同様、まず教師が消していきましょう。ゴミ拾いや整理整頓ができていないと、落書きをする気持ちを起こさせてしまうので、整然とした美しい教室環境を作り出すことが、落書き帽子にも役に立つと思います。
落書きを許してしまうスキを与えないことも大事でしょう。あまり管理的になりたくはないものの、子供たちに悪さができない雰囲気、大人の目が行き届いている雰囲気を与えることも必要です。例えば、子供たちが教室・廊下・スペースなどに「たむろ」するような雰囲気がありませんか。子供たちがだらだらと「たむろ」しないように、休み時間や放課後に新しい居場所を確保していく必要もあるでしょう。
4.落書きに友達の悪口やいじめ的な要素、教師や学級運営への悪口・批判が加わる。
犯人探しをしても、なかなか見つかりはしないのが現実だと思います。子供たちの多くが落書きを目撃している場合は、「悲しいことに、・・・という事がありました」と、事実関係を報告し、「誰がやったかは恐らく分からないかもしれないけれど、たいへん卑怯なやり方」であることを強調しましょう。落書きの内容によっては問題提起や抗議などの意味もあるかもしれません。「落書きではなくまともな方法」でいい方向に持っていく姿勢が必要であることも話さねばならないでしょう。落書きされた本人がたいへん名誉を傷つけられている場合もあります。本人へのケアと同時に、家庭への連絡が必要であると思います。
5.教室や学校の備品、子供の持ち物など、物が隠される。
こちらもまた、犯人探しをしても、なかなか見つかりはしないのが現実だと思います。3・4と同様の対処をしていく必要があると思います。
6.物が壊される。
こちらもまた、犯人探しをしても、なかなか見つかりはしないのが現実だと思います。3・4と同様の対処をしていく必要があると思います。
7.授業が始まるまでの時間が長い。
状況によるのですが、授業は5分以内には始められるようにするべきです。一番行動が遅い子供に合わせて全員の集合を待っていると、「先生はいつまでも待ってくれている」と、だらけた雰囲気になってしまいますので、「遅れたらまずい」というムードを作り出しましょう。早く帰ってきたくなるような、充実した授業を準備することが第一条件です。
学校全体がルーズモードに入ってしまっている場合には、職員会などで提案して、時間を守らせるように各場所に教師が出向いて入室するように促す機会を作っていく必要があるでしょう。
8.指示が通りにくい。
一度に出す指示が多い、わかりにくい等の教師側の問題がないでしょうか。「怒鳴る」「支持を何度も繰り返す」「(指示が通ることを)あきらめる」になってしまっていませんか。
も、ご参照ください。
9.指示に対してわざと反応を遅らせている素振りが見られる。(消極的指導不服従)
表立っては反抗しないものの、すぐに指示に従わないことで、不平不満を申し立てている場合や、ゆっくり動くことが教師に甘えることであると勘違いをしてしまっている場合もあります。子供たちが何に不平不満を感じているのか、なぜ甘えたがっているのかを、教師は振り返って考える必要があると思います。ただ、指示に対して反応が遅いことが常態化してしまうと学級経営として苦しいので、相手のペースに乗ってしまうことも避けなくてはいけません。すぐに動くことが気持ちがよく、すぐに動くといいことがある状況を作り出す努力も必要でしょう。
教師にかまってほしいがためにわざと遅れて行動している場合もあります。そこでかまってしまうと余計に遅れることによって自分をアピールするようになってしまいます。冷たくする必要はありませんが、無駄なアピールであることを態度でもって伝えましょう。早く動けたときに十分にかまってあげる方に心血を注ぎましょう。
10.指示に対して「うっとうしい」「だるい」という態度を露骨に表す。(消極的指導不服従)
こうなってくると、日々の生活が成り立たなくなってしまいます。「どうしてそんな態度をとる!」と、正面衝突を繰り返しても、感情的な対立を生みだしてしまい、うまくいかない場合もあるでしょう。子供との距離をしっかりと測って、この指示は絶対に従わせる、この指示は今のところは従わなくても仕方がない。というラインを持ちましょう。
一人で抱え込んでいても悪化の一途をたどりそうであれば、早い時期に他の職員に支援を求めることも大切です。
11.普通に注意しても、怒鳴っても効き目がない。(積極的指導不服従)
善悪の判断がつかず、叱られることに麻痺してしまった子供たちには、「だめです」「やめなさい」といった普通の注意では効き目がありません。だからと言って、大声で怒鳴ったり、きつく叱ったりしても、それに慣れさせてしまっては普通の注意では余計に効かなくなってしまいます。注意の仕方にも、メリハリをつけて最低でも10パターンぐらいは身につけるようにしましょう。
数人の子供が荒れている場合と、クラス全体が騒乱状態であるときとでは対処の仕方も違ってくると思いますので、一概には言えないと思います。
給食時間がお祭り騒ぎになっているなら、いちいち注意をするより「10分間はしゃべらない」というルールを導入した方が分かりやすい場合もあるでしょう。掃除が全くできないなら、黙働をルールにした方がいいかもしれません。
も、ご参照ください。
12.叱っても、聞き流される。(積極的指導不服従)
一度聞き流されてしまうと、子供たちは味をしめて「聞き流してしまえばいいんだ」と思ってしまいます。これが常態化すると、たいへんまずいです。叱ったことに対しては、相手が受け入れるまで、教師側が引かない姿勢が肝心です。
叱ることは難しい ~子どもを叱る基準や叱り方 | EDUPEDIA
13.叱っているときにニヤけている。(消極的指導不服従)
「叱られているときにニヤニヤしているその態度はおかしい」ということを告げて、ニヤニヤしなくなるまで待ちましょう。教室で叱ると友達の目を気にしてニヤニヤしてしまうこともあるので、できれば誰もいない場所で叱るようにしましょう。
14.子供同士でアイコンタクトをとっている。
子供たちの中で同調圧力が強く働き始めると、不安な心理状況が広がり、何かをする時に目で合図を送って確認し合うようになります。認め合う学級集団を作って不安をなくし、一人で頑張れる状況を作ることが必要です。
15.テストなどのプリントを返す時にむしり取るようにして受け取る。
あなた、あるいは教師全般に対しての嫌悪感を持っている可能性があります。あなたを試している可能性もあります。
強く叱った場合、感情的な対立を生み出す危険もありますが、かといって何もせず見過ごしてしまえば、勝手で奔放な振る舞いを助長する恐れもあります。「○○さん、さっき、むしり取るみたいにしてプリントをとっていったけれど、ちゃんと丁寧に受け取れるよね。やり直せるか?」と、教師側が冷静な態度で対応するのも、方法だと思います。やり直して丁寧に受け取れば、「できるね。今度からはそうしてね。」と、念を押しておきましょう。全体指導として、「丁寧に、だまってものを受け取る」ということを徹底しておきましょう。
16.授業中に私語が多く、静かになっている時間が長続きしない。
隣同士でしゃべっているどころか、離れた席でも会話しているような状態であれば、特に危機的であると思ってください。静かだと落ち着かない子供がいるのかもしれません。静けさに慣れさせる必要もあるでしょう。教師側の話が長かったり、授業での活動が退屈だったりすることも、原因かもしれません。子供たちが集中してできる簡潔で楽しい活動を考えることも大事です。
話し合いの授業を引っ張るよりも、作業を確実に与えて各自が十分に活動できる形態を導入した方が良いかもしれません。小学校教師はついつい子供たちが話し合う授業を目指してしまいがちですが、下手にその形にこだわってしまうと、授業に集中できなくなる癖がついてしまう恐れがあるので、気をつけるべきだと思います。
「静かにする」ができるクラスにする方法 〜事前指導とその場対応〜
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17.奇声を発している子供が複数人いる。
とりあえず、やめさせましょう。奇声が常態化して、教師も周囲の子供もマヒしてしまうと、クラス全体が落ち着かない状況になります。何らかのストレスがあったり、自己顕示をしたかったりするのだと思います。十分に発散し、十分に個々を認め合う学級づくりをすることが大事です。
18.授業中にだれも発言しなくなる。発言を嫌がる子供が多い。
高学年になってくると特にこの傾向が増してくるケースがあります。「誰も発言しないのに発言する奴は馬鹿・KY」といった雰囲気ができてしまっては最悪です。
19.授業中にトイレに行く子供がやけに多い。
これに対する教師の出方を間違うと、「この先生、隙がある」と判断されてしまい、立ち歩きにつながりはじめますので要注意です。最初に授業中にトイレに行った子供が出たときに(あるいは、トイレに行く子供が目立ち始めた時点で)、その子供が帰って来てから、約束を確認しておくことです。
- トイレは授業が始まるまでにすませること。
- 授業が始まったなら、席を立ち歩くときは先生に許可を得ること。もちろん、トイレの場合も。
- 漏らしてしまいそう、戻してしまいそうなど、緊急の場合に、許可なく出て行くのは仕方がない。
20.授業中に保健室に行く子供がやけに多い。
いじめなどが原因で教室に不安感が漂い始めると、半ば授業エスケープの形で保健室に行ってしまい始めるケースがあります。教室の雰囲気が悪いことが体調不良の原因になっている事も少なくありません。教師はこの状態を危険信号であると捉えないといけません。
保健室の対応(受容的・拒否的)にもよると思います。養護教諭と十分に連絡を取り合っておきましょう。養護教諭がコミュニケーション上手であれば、子供たちの学級や担任への不満をうまく聞き出してくれることもあります。
この状態を放置すると、学級全体に「逃げ」の雰囲気・病的雰囲気が広がり、活力が失われていきます。
保健室に行った子供を心配して上げる姿勢はもちろん必要です。「大丈夫?」「元気になった?」の声かけを忘れずにしてあげましょう。
同時に、学級での人間関係を改善し、成長のある授業を心がけることによって、子供たちは「教室にいる理由」を取り戻します。
また、保健室に行く時のルールも確認する必要があるでしょう。
- 教師に連絡がいくように、友達や保健係に保健室に行くことを伝える。
- 付き添いは○人まで。(1人でいいと思います)
- 教室にいることは子供の仕事であることを確認する。
こういったルールも、養護教諭ときちんと共有しておくことが大事です。
項目21番以降は、下記↓リンク先へと続きます。是非ご参照ください。
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