「学級崩壊」って何? ~様々な「型」

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学級崩壊の定義は?

学級崩壊という言葉は1997年あたりから広く使われるようになっているのですが、どういう状態が学級崩壊なのか、公式な(文科省関連機関による)定義はありません。「学級崩壊」というセンセーショナルな言い方は公式には避けられており、「学級がうまく機能しない状況」と表現されているからです。確かに、あまりセンセーショナルな言葉で表現してしまうと冷静さを欠く議論となってしまい、事態をあおってしまうのはよくないでしょう。
では、「学級がうまく機能しない状況」が公式にはどう定義されているかと言うと、

「子供たちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状況が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」(国立教育研究所の「学級経営研究会」による)

だそうです。

あまり具体的ではない定義で、何が「勝手な行動」であり、どこからが「学級がうまく機能しない状況」であるのか、これだけでは判断ができません。

センセーショナルな表現は良くないにしても、これでは対処のための話を進めることができなってしまいます。

では、学級崩壊であると、誰がどう判断するのか?

と言っても、定義がないのですから、判断のしようはありません。公式基準がないので、ローカル基準を作って、判断している自治体、研究はあるようです。たいていは、だいたいのムードで周囲が言い始めて、「まあ、これは学級崩壊と言えるでしょう」と判断されるのが現状です。

1.管理職や同僚に、「○年○組、学級崩壊じゃない?」と言われる。
2.保護者に「これって学級崩壊ではないですか?」と言われる。
3.子供が「もう学級崩壊だ!」と言い始める。

人に言われる前に担任が自分で気付いている場合もあるし、言われても担任は学級崩壊だと思っていない場合もあります。周囲から「学級崩壊」だと言われても、「そこまで言われる状態なのか」と思ってしまうケースもあります。定義がないわけですから、そういうケースも出てくるわけです。

つまり学級崩壊は、誰がどう判断するでも認定するでもなく、「多くの人がそう認める状況」でしかありません。

学級崩壊のイメージ

ですから、「学級崩壊」であっても、「うまく機能しない状況」であっても、「危機的状況」「非常事態」「かなりまずい状況」「大ピンチ」「苦しい状態」etc・・・であっても、どう表現するかはとりあえず横に置いておかないといけません。学級が「非常事態」であることを共通認識しないことには話が進みません。どういう状態が「学級崩壊」なのかを、各々で定義するほかありません。

とりあえず筆者がイメージする「学級崩壊」(学級の非常事態)を示しておきます。
大きく分けて、4つの型があると思います。

「反抗型」

この型はわかりやすく、教師に対して反抗的、不服従、コミュニケーションが成立しません。面と向かって暴言、罵声を浴びせかける子供がいる。黒板に字を書こうと子供に背を向けると物が飛んでくる。勝手に立ち歩く、寝転ぶ、無断で教室を出ていく、奇声を上げる。授業は形だけ進行すればいいところで、子供たちは好き勝手をしています。

「非反抗型」

表立った反抗はないものの、教師の指示にわざとすぐに従わない児童がいる場合があります。いちいちダルそうにする、注意をしてもすぐにやめない、やめてもまたすぐにやりはじめる。最終的に教師の指示には従いながらも、それは形式的であり、教師の指導や指示が機能していないに等しい状況です。
指示を通そうと強くしかると「うざい」という雰囲気を出し、教師との間に絶えず境界線を引こうとします。

「内部進行型」

とりあえず教師の指示や指導に従ってはいるものの、いじめや問題行動が目立たないまま深く進行します。外から見るとうまくいくように見えても、子供が良い子を演じているだけで、内部の人間関係が冷え切ってしまっている場合があります。こういう学級は、担任が変わると問題が噴出し始めるパターンも多いです。

「馴れ合い型」

担任がとてもフレンドリーで子供と馴れ馴れしく接していて、特に教師に対する表立った反抗は見られません。しかし、教師の指示は一部しか通らず、子供たちは意見を押し通してしまい、概してわがままな行動をとります。一部の勢力の大きいグループが幅を利かせクラスを牛耳っており、なんとか担任は体面を保ちますが主導権は失ってしまっています。

特徴を知って、チェックを!

4つの型それぞれに特徴があります。そして共通して、以下のような現象が著しく見られます。

・学力低下。
・親や子供からの苦情が頻繁になる。
・いじめの蔓延。
・授業中の私語が多い。
・教室のよごれや器物破損が目立つ
・物がなくなる、隠される。
・欠席・遅刻や体調不良で保健室に行く児童が増える。

こうした型やパターンに対して、担任自身はもちろんのこと、周囲の職員が危機を察知し、早い時点で手を打っていくことが大切です。下記リンクの「学級崩壊チェック」も是非ご参照ください。担任と子供たちの心が離れてしまえばしまうほど、回復が困難になってしまいます。担任の責任だなんて言っていないで、学校全体でカバーできる職員体制を作っていきましょう。

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