1 好きなシリーズ作品を見付け,楽しんだり想像を広げたりして読む事例
この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。
添付ファイル
単元の目標
- 物語に描かれている世界に浸りながら,大好きな作品や場面を見付けようとすることができる。(国語への関心・意欲・態度)
- シリーズの物語を選んで読んだり,登場人物の行動や会話に着目したりして,想像を広げながら楽しんで読むことができる。 (読むこと)
- 文の中における主語と述語との関係に注意して読むことができる。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項)
教材
『ふたりはともだち』他,同シリーズ作品(アーノルド・ローベル作・絵)
主な学習活動(単元の指導計画全7時間)
【言語活動の充実の工夫】
「シリーズの物語」を読むことの特徴を生かした言語活動
本事例では,指導のねらいを実現するために,シリーズの物語を読むという言語活動を 位置付けている。「シリーズ」を読むことは,例えば,次のような読む能力を育成する上で効果的である。
1. 「想像を広げながら読む」こと
シリーズ作品は,相互に関連付けて作られている場合が多い。シリーズを通して描かれ る主人公の行動や,ストーリーのつながりに気付くことによって,解釈の手掛かりが多様に得られるため,一つの作品だけを精読する以上に,場面の様子を想像を広げて読むことが可能となる。本事例では,次のような解釈が見られた。
- 「おてがみ」でかえるくんが用事を思い出して一度家に帰ったのは,がまくんにお手紙を書くためだと思う。「ぼうし」でも,かえるくんはがまくんのために内緒で親切にしてあげているから。
- 「おてがみ」の最初のシーンでかえるくんががまくんに会いに来たのは,シリーズの前の作品「すいえい」で,がまくんを怒らせてしまったので,心配になって様子を見に来たからだと思う。
- 「おてがみ」で「しんあいなるがまがえるくんへ」と手紙を書いたのは,仲直りしたかったからだと思う。
2. 「登場人物の行動」に注意して読むこと
シリーズでは,主人公をはじめとして共通の登場人物が各作品に描かれている場合が多 い。シリーズを通して読むことで,同一人物の行動に着目しやすくなる。また,低学年でシリーズに親しむことによって,中学年では,シリーズを通して描かれる「登場人物の性格」に着目して読むことができるようになる。さらに高学年では,シリーズを通して密接に描かれる人物の相互関係に注意して読むことができるようになる。
3. 「本や文章を選んで読む」こと
本や文章を選んで読む場合の観点の一つとして,同一シリーズの作品を選んで読むことが挙げられる。同一シリーズの作品は,相互に結び付きが強いため,選んで読む際の対象としやすい。また,シリーズで読むという行為を言語活動として組織化して取り上げることは,児童の日常の読書生活につながる,読む能力を育成する上でも有効である。
シリーズ作品を読むことを位置付けた言語活動を行う場合の留意点
シリーズ作品を読むことを言語活動として位置付ける場合は,シリーズ作品の本を確保することが課題となる。その際,学校図書館や地域の図書館との連携を図り,同一シリーズの本を複数冊準備するなどの工夫が必要となる。
引用元
文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm
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