凝固点でグラフが平らになるように【水のすがたと温度】 ~楽しい理科実験vol.16

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水を凍らせる

水が凍る様子を観察する実験は、1分ごとに温度が下がって凍っていく状態を観察します。子供たちは1分経過するごとにカウントダウンするのが楽しそうです。しかしただ氷ができればよいだけではありません。温度変化が0℃である程度とどまってからさらにマイナスへと移り変わる様子を観察させることが要求されます。平成29年告示の学習指導要領では、

2-A-ア-(ウ) 水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。また,水が氷になると体積が増えること。

となっています。0℃(凝固点)で5分ほど留まっていれば、後でグラフ化した際にわかりやすく平坦な部分を表せます。今回の実験では12分ほど留まって下のグラフのようになりました。この実験のポイントは、水が0℃に留まる時間を長すぎor短すぎにならないように分量を調整することです。・・・その調整がけっこう難しいので、私が予備実験を繰り返して得た知見を共有しておきます。

凝固点に留まる時間がほどほどに長くなる分量

① 0℃の状態が5~10分続く・・・グラフの平らな部分がはっきりと分かるには5分ぐらいは0度の状態が続いてほしいところです。逆に、20分以上になってくると子供が飽きてくるし、1時間の授業で終わることが難しくなります。

② 試験管の中に大きめのアイスバーができる。(下写真)

今回の実験においては、この2つの条件は満たしたいです。それには、「分量」が大切になります。実験結果には試験管の中の水の量とビーカーの中の氷の温度のバランスが影響します。分量調節を繰り返して①②がそこそこ上手くいったのが、

氷200g・食塩水(水100g+食塩100g)・水10g・試験管内径15mm・300mLビーカー

という組み合わせでした。試験管の中の温度は12分間0℃近くに留まり、きれいなグラフができました。0℃ちょうどになる班もありましたが、1~2℃は理論値に比べて誤差が出ます。16分ぐらい経過した時点でビーカーの中の氷の温度が-7℃~-9℃になっていました。5分経ったあたりで氷100gを追加してあげました。追加してあげると子供がとても喜びます(笑)。

※ 教科書(東書)では氷300gを500mLのビーカーに入れるように記されていました。しかし、2人1実験を目指したため、500mLのビーカーの数が足りなくて300mLで代用しました。300mLでも上手くいきました。

教科書にも指導書にも試験管に入れる水の量や試験管の内径は書かれていませんでした。教科書会社としてはあまり分量を細かく書くと実験がうまくいかなかった時に教師から不満が出るからそこは「ぼかしている」のかも知れません。上記に示した分量で、試験管の中の水面は、ビーカーの中の氷よりも下の位置にあります(下の位置にないといけません)。

またある程度の量の水を冷やせば、凍り切った後に試験管を水で濡らして取り出してみると氷が温度計の先に凍り付いています。これが市販のアイスバーのミニ版のようで、何だか楽しいのです。アイスバーの長さも、上の写真ぐらいあれば子供たちも満足できると思います。

ベストかどうかは分からないですが、まずまず満足ができるベターな分量で実験をすることができたと思います。予備実験にはかなりの時間を要しました。理科専科でなければなかなかこれだけの結果は出せません。

氷(寒剤)の準備

氷を準備するのは大変です。製氷機が氷を作るスピードはそれほど速くありませんので、大規模校で1日に4クラスが実験をするとなると最後のクラスは氷が足らなくなる場合も出てきます。

上に示した分量にも教科書・指導書にも「氷の温度」については書かれていません。氷の温度も実験を左右する大きな要素なのです。勤務校にある製氷機は温度設定ができないため、-1℃ぐらいの氷しか作れません。機能が高い冷蔵庫の冷凍室であれば-18℃ぐらいの氷を作ることもできます。

氷が足りなくなる学校は、製氷皿をたくさん買っておいて、冷蔵庫も活用して準備をする必要があります。この時、あまり冷凍庫の温度を下げなくても、大丈夫です。私の勤務校の製氷機では-1℃程度で少し薄い直方体の氷ができます。それに食塩水を足せば16分前後で温度になりました。ビーカーの中の温度は-7~10℃で安定していました。食塩水は飽和して溶け切らない食塩が残っている状態(水100g+食塩100g)がちょうどよかったです。

食塩を1つのビーカーにつき100gも入れるのは勿体ないような気もしますが、理科で使う薬品の中で食塩はかなり安価なので、大量に購入しておけばよいと思います。

食塩を入れる量を減らすために食塩水を作らず、氷に直接食塩を混ぜるという方法もあります。それをやるとビーカーの中の温度が下がりすぎて(-14℃~-18℃)、試験管の中の温度が0℃に留まる時間が短くなってしまいます。また氷だけでは試験管に氷が当たっている部分と当たっていない部分ができてしまうので、冷え方にむらがあるようにも思えました。食塩水を入れた方が、試験管内の水をむらなく冷やせるのではないかと思います。

その他の留意点

  • 水(液体)の状態からの水温の低下は速いので、試験管に入れる水の最初の温度は25℃から始めました。冬の単元なので水道水の温度が5℃前後でした。そのため一旦水をビーカーに入れた後で取り置きしておきました。室温を高めに設定しておくと少し温めておきました。水温が0℃に向けて下がっていく様子も観察・記録・グラフ化できて良かったです。
  • ビーカーの中の氷がとけて食塩水の濃度が薄くなるので、5分おきぐらいで時々混ぜるとよいと思います。そうするととけ切らずにビーカーの底に溜まっていた食塩がとけて、濃度が上がるとともに温度が均一になります。子供は試験管で混ぜようとするので、試験管を一時的に出して、割りばし等で手早くかき混ぜるといいと思います。
  • 試験管からアイスバーを取り出す際には、ビーカーから出して5分程度外気に触れさせた後に、水道水をチョロチョロと少しだけ出してゆっくり氷の表面をとかします。すぐに水をかけたり、無理に力を入れたりすると試験官が割れることがあります。ゆっくり温め、ゆっくり温度計を回すようにして抜くとよいです。
  • 水が氷る時に、ゆっくりと冷やすと「過冷却」という状態になって-4℃ぐらいまで下がる現象が見られます。その状態で少し水に揺さぶりをかけると一気に凍って面白いです。ただ、この現象は「水が氷になる温度は0℃」という小学生が学習するべき内容をやや混乱させることになります。過冷却を避けるためには、時々水に揺さぶりをかけるのがよいです。1分毎に温度計を3回、トントントンと上下させるように指導(温度計が割れないように軽く)しておきましょう。温度計の先には短く切ったストローをつけて保護しておくとよいです。
  • この実験では、最初の「試験管に水と温度計を入れた状態」で水の一番上にマジックで印をつけて、氷の膨張を観察させます。それでも十分ですが、後で冷凍庫と冷蔵庫で冷やしたペットボトルを見せて比べてみるのもよいかと思います。ペットボトルが膨らんでいるのがよく分かります。ガラス瓶に入れて冷やすのは破裂して後始末がたいへんです。ネットでガラス瓶が破裂した様子が見られますので、検索して見せてあげるとよいと思います。

しずくのぼうけん (世界傑作絵本シリーズ) [ マリア・テルリコフスカ ]

↑↑↑上の絵本は水の三態を描いていて、水の沸騰・水の凝固の実験が一通り終わった後に読み聞かせをしてあげました。

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