この記事は、子どもたちへの文章表現指導についてのサイト、「えのさんの綴方日記」より、許可を頂き転載しております。この記事では、卒業文集の書き方のポイントをまとめています。
えのさんの綴方日記はこちらから http://www.yunochika.net/
1 卒業文集をどう書くか
(1)書く枚数……400字原稿用紙4枚
(2)題材……十二年間の生活を振り返って、特に自分とのかかわりの強かった事。
- お世話になった人との事
友達・家族・先生・知り合いの人など
- 小学校入学以前の思い出
幼稚園・保育園時代の出来事など
- 小学校入学から今までの暮らしの中で、心の中に強く残っていること。
低学年時代、中学年時代、高学年時代
- 学校生活の中での行事の中から
運動会・展覧会・遠足・水泳・学芸会・移動教室・社会科見学・連合音楽会・オーケストラ教室
- 誕生から今までの生活の中で、一番関わりの深い事
ぜんそくで苦しんだ・走る事に燃えた・楽しい我が家・少年野球に熱中・サッカーとぼく・本を読む楽しさ・ぼくの親友A君
- お世話になった先生
1、2年でお世話になったK先生・歌を歌う楽しさを教えてくれたE先生・僕の心を変えたS先生
(3)どんな書き方になるか。(記述)
- ある日ある時の一回限りの出来事で、心の中に強く残った事を書く。
- やや長い間の日の中で、自分が積極的に関わった事を思い出して書く。
「…でした。」「…ました。」「…した。」「…だった。」と言う過ぎ去った書き方。
- やや長い間の出来事を、良く分かるように説明するように書く。
「…です。」「…ます。」「…だ。」「…である。」と言う説明する書き方。
(4)常体(ふつう体)・敬体(ていねい体)のどちらか、好きな書き方で書く。
- 混ぜては、絶対に書かない。
(5)生き生きとした文章(日記)を書くためのキーポイント
- 身のまわりの出来事で、心が動いたこと(ある日のこと)を選ぶ。
- したことの順によく思い出して「・・でした。」「・・・ した。」と書く。
- いつ、どこで、だれが、何をしたのかがはっきりわかる文章に する。
- そのとき、自分が話したり、相手が話したり言葉は「 。」を 使って文にする。
- そのとき、思ったり考えたりしたことは、(・・・・。)を使って文にする。
- ものの形や色、大きさ、手ざわり、においなど五感(官)を働かせたことをよく思い出して書く。
- そのときの自分のうごきや、周りの様子も書くようにする。
- 自分がわかっていることでも、読む人が分かるように説明も入れて書く。
(6)文の中に「小見出し」を二つか三つ入れて書くと、文が書きやすく、読み易くなる。
(7)題名は、読みたくなる題にする。
不思議な体験・ぜんそくに負けるな・生き物の世話は大変な飼育委員会・わたしのあこがれの人・私達はいつも二人っ子・怖かったけど尊敬できる先生
(8)原稿用紙の書き方
- 題名三マスあけて書く。会話「……。」や心の中の事は(……。)行を変えて書く。
- 文の書き出しは、一マスあけて書く。ならった漢字は、あとから辞書をひく。
(9)書く題材を考えて、何を書くか考えておく。
- なぜそれが書きたいのか、理由を書いておく。
- 書くことが決まったら、書きたい順に印を書いておく。
(10)卒業文集は、一生残る大切な「自分の存在」を残しておくもの。読み終わった後に、なるほどと思いたくなるような自分の個性を文章の中に出し切るように、力を入れる。
そのためには、『何を』(題材)で決まる。あとは、どう書いていくか(記述)は、どんどん書いていきながら、書き加えたり、削ったりしていく。
2 プロフィール
榎本豊(えのもと・ゆたか)
1969年から2011年まで、42年間教壇に立つ。
「日本作文の会」や「綴方理論研究会」に所属し、作文教育を柱とした学級経営を行ってきた。
榎本先生の運営する「えのさんの綴方日記」はこちらから http://www.yunochika.net/
3 編集後記
この記事を読み、自分が卒業文集を作ったときのことを思い出しました。小学校の卒業文集は、長い間残るものであり、心の中にも何らかの形でとどまるものだと思います。そんな大切な作文を、子どもたちがのびのび書けると良いなと思いました。
(編集・文責:EUPEDIA編集部 安井愛弓美)
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