教育法規一覧① 教員採用試験(教職教養)を受ける方へ!「教育基本法」「学校教育法」など、教育・学校・先生に関する法律

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はじめに

教員採用試験の教育法規は、「教育基本法」や「学校教育法」など、教職教養の中でもお堅いイメージですが、法律は先生や学校、子どもたちを守る大切なものです。
本記事では、特に教育や学校の理念、先生の身分に関するものを紹介します。法律の内容だけでなく、関連する教育情報も掲載していますので、法律の意義や問題点を多角的に考えることで、理解が深まることと思います。

(参考)子ども・学習に関する記事はこちら
教育法規一覧② 教員採用試験(教職教養)を受ける方へ!「子どもの権利条約」「学校図書館法」など、子ども・学習に関する法律

目次

  • 日本国憲法
  • 教育基本法
  • 学校教育法
  • 地方公務員法
  • 教育公務員特例法
  • 教育職員免許法
  • 地方教育行政法
  • 私立学校法

(見出しの法律名から本文へリンク)

目次

1 日本国憲法(国立国会図書館)

日本国憲法は、大日本帝国憲法に代わり、1946年(昭和21年)11月3日に公布、1947年(昭和22年)5月3日に施行されました。前文および11章103条。
国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を基本原則とし、象徴天皇制、戦争の放棄、三権分立、国権の最高機関としての国会、地方自治の保障などを規定しています。

教育に関しては、26条で「教育を受ける権利」を保障しています。1947年の学校教育法制定までは、教育勅語により教育の理念が示されていました。また、第23条では「学問の自由」も保障しています。

第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

日本国憲法はこのようにして誕生した – キッズコーポレーションのハイスクールタイムス

小6社会 日本国憲法はどのような憲法か? – YouTube

2 教育基本法について(文部科学省)

*リンク先には、法律や改正前後の比較、新しい教育基本法と教育再生について資料もあります。

日本国憲法の精神に基づいて、新しい教育の目的とその基本方針を示した法律です。1947年(昭和22)制定。教育勅語に代わるものとして、教育憲法とも呼ばれます。
2006年(平成18)には、子どもの学力・体力の低下、規範意識の希薄化などの教育課題を受けて、社会全体で教育再生を進め、新しい時代の教育の基本理念を明確にするため、約60年ぶりに改正されました。
改正では、次のようなキーワードが改正のポイントとなりました。
教育の目的(第1条)
「人格の完成」
「国家・社会の形成者として心身ともに健康な国民の育成」

教育の目標(第2条)
「豊かな情操と道徳心」
「自律の精神」
「職業・生活との関連の重視」
「公共の精神」
「生命や自然の尊重」
「伝統と文化の尊重・それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」

また、以下の項目が新設されました。
・生涯学習の理念(第3条)
・大学(第7条)
・私立学校(第8条)
・家庭教育(第10条)
・幼児期の教育(第11条)
・学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力(第13条)
・教育振興基本計画(第17条)

(教員)

第9条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

各国における「教育基本法」に相当する法律について:文部科学省

3 学校教育法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

教育基本法にもとづいて、憲法26条の国民の教育を受ける権利を学校教育で保証するため、学校制度の基本を定めた法律です。1947年3月31日公布、同年4月1日施行。

2007年(平成19)の改正では、義務教育について、新たに章を設けるとともに、学校教育法に規定する学校種の順序について、教育を受ける者の発達段階等を踏まえ、幼稚園から規定されました。
2015年(平成27)の改正では、小中一貫の義務教育学校が新設されました。
2017年(平成29)の改正では、産業構造や社会の変化を背景に、実践的な職業教育に重点を置いた「専門職大学」および「専門職短期大学」の創設が決まり、2019年4月1日から施行されます。

(目次)
第1章 総則(第一条—第十五条)
第2章 義務教育(第十六条—第二十一条)
第3章 幼稚園(第二十二条—第二十八条)
第4章 小学校(第二十九条—第四十四条)
第5章 中学校(第四十五条—第四十九条)
第5章の2 義務教育学校(第四十九条の二—第四十九条の八)
第6章 高等学校(第五十条—第六十二条)
第7章 中等教育学校(第六十三条—第七十一条)
第8章 特別支援教育(第七十二条—第八十二条)
第9章 大学(第八十三条—第百十四条)
第10章 高等専門学校(第百十五条—第百二十三条)
第11章 専修学校(第百二十四条—第百三十三条)
第12章 雑則(第百三十四条—第百四十二条)
第13章 罰則(第百四十三条—第百四十六条)
附則

学校教育法と教育基本法の違い☆見分け方のポイント | 保育士試験対策クイズ ~半年独学で一発合格!を応援ブログ~

実は大きな大改革 「専門職大学」の構想の迷走ぶり – ライブドアニュース

4 地方公務員法(総務省)

公立学校の教員は、「地方公務員」という身分であり「地方公務員法」が適用されることになります。また、「教育公務員」という身分でもあり、職業的性格の特殊性から「地方公務員法」と「教育公務員特例法」の二つの法律で服務等が規定されています。

公立学校の教員の服務義務として、地方公務員法30条には以下のように定められています。

(服務の根本基準)(地方公務員法30条)すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

全体の奉仕者とは、全国民の利益のために奉仕する者のことを指し、一部の国民の利益のために奉仕してはならないことを意味します。

5 教育公務員特例法

公務員のうち教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基づき、教育公務員の任免、給与、分限、懲戒、服務及び研修等について規定した法律です。

大量退職・大量採用の影響により経験の浅い教員が増加する中、教育課程・授業方法の改革への対応を図るため、校長及び教員の資質の向上に関する指標の全国的整備と十年経験者研修を見直し、平成28年11月に改正されました。

(定義)

第二条 この法律において「教育公務員」とは、地方公務員のうち、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園(以下「幼保連携型認定こども園」という。)をいう。以下同じ。)であつて地方公共団体が設置するもの(以下「公立学校」という。)の学長、校長(園長を含む。以下同じ。)、教員及び部局長並びに教育委員会の専門的教育職員をいう。

2 この法律において「教員」とは、公立学校の教授、准教授、助教、副校長(副園長を含む。以下同じ。)、教頭、主幹教諭(幼保連携型認定こども園の主幹養護教諭及び主幹栄養教諭を含む。以下同じ。)、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭及び講師(常時勤務の者及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を占める者に限る。第二十三条第二項を除き、以下同し。)をいう。

教員の教育公務員としての身分とは?|公務員ですが、特殊な部分があるのです。(学校管理職試験研修所)

6 教育職員免許法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

教育職員の免許状に関する基準を定め、教員の資質の保持と向上を図ることを目的とする法律です。

平成19年(2007年)の改正で、教員免許更新制が導入されました。教員免許更新制は、これまで一度取得したら無期限で有効だった教員免許に原則10年の有効期限を設け、期限がくる前に大学などが開設する30時間の免許状更新講習を受講し、修了しなければ免許が失効するという制度です。

平成28年11月には、普通免許状の授与における大学において修得を必要とする単位数に係る科目区分を統合し、外国語の小学校特別免許状を創設するため、改正されました。

教員免許更新制:文部科学省

教員免許更新制は今どうなっているのか 失効は0.1%のみ‐斎藤剛史‐|ベネッセ教育情報サイト

特別免許状等の活用に関する事例集~多様な教員が活躍する学校をめざして~(平成28年度):文部科学省

7 地方教育行政法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

教育委員会の設置、市町村立学校の教職員の身分、学校運営協議会の設置など、自治体におけるの教育行政の組織と運営に関する基本について定めた法律です。1956年(昭和31年)施行。

平成29年の改正では、これからの教育課程の理念である「社会に開かれた教育課程」を目指し、各教育委員会に対して、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の設置の努力義務化やその役割の充実などが定められました(47条の6)。平成29年4月1日より施行。
*コミュニティ・スクールとは、「学校運営協議会」を設置している学校のことです。

地教行法の改正及びコミュニティ・スクールの推進について:文部科学省

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度):文部科学省

いま注目の「コミュニティ・スクール」とは? ——地域とともにある学校が、「少子化・日本」の明日を元気にする | Mugendai(無限大)

8 私立学校法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

私立学校法はその目的を「私立学校の特性にかんがみ、この自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ること」(同法第1条)と定めています。
ただし、私立学校といえども公教育の一翼を担っている点においては国公立の学校とかわりなく、「公の性質」(教育基本法第6条第1項)を有するものとされ、この観点から私立学校にも「公共性」が求められます。

平成26年に、私立学校の自主性を尊重しつつ、私学全体に対する不信感につながるような異例な事態に所轄庁が適切に対応するための仕組みを整備するため、一部改正されました。改正の概要は、以下の3点です。

1、所轄庁による必要な措置命令等の規定の整備
2、報告及び検査の規定の整備
3、忠実義務規定の明確化

一般財団法人 日本私学教育研究所

私立学校研究 (c) ホンマノオト

私立学校の振興:文部科学省

【シリーズ 先を生きる】 対談 膨張する公教育(1) | 教育新聞 電子版

その他参考

学校管理職試験研修所|教育法規超基礎講座


(写真はサイトTOP画面)

学校管理職試験を初めて受験しようとする方向けの研修講座ですが、教育法規の基礎的なポイントが分かりやすく解説されています。

「教セミ.com」

教員養成セミナー公式サイト「教セミ.com」の講義映像です。
下のリンク先のHPでは、教職教養や一般教養、面接など多様な対策映像がご覧になれます。
Training動画 | 教セミ.com

教育法規一覧② 教員採用試験(教職教養)を受ける方へ!「子どもの権利条約」「学校図書館法」など、子ども・学習に関する法律

(2022年7月25日 タイトルを『教育法規まとめ① 採用試験(教職教養)を受ける方へ!「教育基本法」「学校教育法」など、教育・学校・先生に関する法律』より変更)

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