教育法規一覧② 教員採用試験(教職教養)を受ける方へ!「子どもの権利条約」「学校図書館法」など、子ども・学習に関する法律

はじめに

教員採用試験の教育法規は、「教育基本法」や「学校教育法」など、教職教養の中でもお堅いイメージですが、法律は先生や学校、子どもたちを守る大切なものです。
本記事では、特に子どもや学習に関する法律を紹介します。法律の内容だけでなく、関連する教育実践も掲載していますので、実際の教育活動をイメージすることで、理解が深まることと思います。

(参考)教育・学校・先生に関する法律はこちら
教育法規一覧① 教員採用試験(教職教養)を受ける方へ!「教育基本法」「学校教育法」など、教育・学校・先生に関する法律

目次

  • 生涯学習振興法
  • 社会教育法
  • 学校図書館法
  • 学校保健安全法
  • 教育機会確保法
  • 児童福祉法
  • 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)
  • 児童虐待防止法

(見出しの法律名から本文へリンク)

1 生涯学習振興法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

平成2年6月成立、7月1日施行。
生涯学習は、ユネスコのポール・ラングラン(Paul Lengrand)が1965年に提唱しました。日本では昭和56年の中央教育審議会答申『生涯教育について』において、自らの意思で、自分にあった手段・方法で生涯を通じて学習するという「生涯学習」の考え方が取り上げられました。

(生涯学習)

今日、変化の激しい社会にあって、人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。この意味では、これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい。

「平成28年度文部科学白書」第3章 生涯学習社会の実現

日本ユネスコ国内委員会 :文部科学省

UIL | UNESCO Institute for Lifelong Learning

『生涯学習研究e事典』

2 リカレント教育

生涯学習と関連して、OECDが1970年代に提唱した生涯教育の一種で、学校教育を終えて社会に出てからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働,余暇など)を交互に行なう「リカレント教育」も注目されています。回帰教育や循環教育とも呼ばれ、社会人になってからの「学び直し」

2017年には、科学技術やITなどで技術革新、国際化・情報化いった社会の変化が進む中で、一度社会に出た後も新しい分野の専門的な学習が必要になり、政府は「人づくり革命」政策の一環として「人生100年時代構想会議」を設置しました。

日本の成人の「生涯学習」率は先進国で最低 |ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「人生100年時代構想会議 中間報告 参考資料」 平成29年12月

我が国産業における人材力強化に向けた研究会(政策について<審議会・研究会<経済産業:経済産業省)

人生100年時代の「学び・育てる」を考える~学校の先生と企業の人事に何ができるか~(先生の学校×One HR) | EDUPEDIA for STUDENT

3 社会教育法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

社会教育法は、学校教育法で定める学校の教育課程として行われる教育活動を除いた組織的な教育活動を法律上の社会教育として定義し、各種の事項を規定しています。

(社会教育の定義)

第二条 この法律において「社会教育」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に基づき、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーシヨンの活動を含む。)をいう。

社会教育は、図書館、博物館、公民館をはじめ、スポーツ・文化施設、コミュニティセンター、学校の施設など生涯学習施設を拠点としながら、生涯にわたる市民の学びと活動の支援を目指します。

平成29年の改正では、社会総掛かりでの教育を実現や学校運営の改善を目指し地域と学校がパートナーとして連携・協力を図る「地域学校協働活動推進員」が創設されました。

地域全体で学びあい支えあう仕組みづくりの推進(文部科学省)

社会教育:文部科学省

4 学校図書館法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

学校図書館法の目的は、「学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ、その健全な発達を図り、もって学校教育を充実すること」とされています。(第1条)

学校図書館は、確かな学力や豊かな人間性を育むため、①読書活動の拠点となること(「読書センター」)、②言語活動の充実等、授業の狙いに沿った資料の整備や学習支援を行うこと(「学習センター」)、③情報活用能力の育成の支援を行うこと(「情報センター」)の役割を果たすことが期待されています。
他にも、教員の授業改善や資質向上のための支援機能(教員のサポート機能)や、悩みを抱える子どもの「心の居場所」となることも考えられます。

近年では、音声・動画教材などのデジタルコンテンツが教材として活用されることも増え、これからは図書館の情報化・ICT活用が求められるでしょう。

2014年、改正学校図書館法が成立し、学校司書がはじめて法律上に位置づけられることになりました。(第6条)

(定義)

第二条 この法律において「学校図書館」とは、小学校、中学校及び高等学校において、図書、視覚聴覚教育の資料その他学校教育に必要な資料を収集し、整理し、及び保存し、これを児童又は生徒及び教員の利用に供することによつて、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられる学校の設備をいう。

(学校司書)

第六条 学校には、前条第一項の司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(次項において「学校司書」という。)を置くよう努めなければならない。

2 国及び地方公共団体は、学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。(設置者の任務)

「学校図書館の手引」(1948年、文部省)、国立国会図書館デジタルコレクション

[読書] 学校図書館の課題の源流がここに。今井福司『日本占領期の学校図書館』 | あすこまっ!

「読書」というキーワードの一覧 | EDUPEDIA(エデュペディア)

学校図書館:文部科学省

子どもの読書活動推進ホームページ、リンク集(文部科学省)

りぶしる 図書館をつなげる情報共有サイト −全国の図書館の現場から−

(「シリーズ学校図書館活用1図書館はワンダーランド!?国東市立富来小学校」大分県教育庁チャンネル、12 Sep 2012)
大分県の学校図書館活用推進事業の模様を1年にわたりお届けする『シリーズ 学校図書館活用』です。シリーズの続きはこちら(youtubeサイトへ)

5 学校保健安全法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るための法律です。2009年(平成21年)4月1日、学校保健と学校安全の一層の充実を図るために、法律の一部改正、学校保健法から「学校保健安全法」に改題されました。

改正では、学校保健に関する内容では、「学校保健計画」の策定を義務化や学校環境衛生基準の法制化、組織的な保健指導の充実、地域の医療機関等との連携が求められるようになりました。
学校安全に関する内容では、災害や不審者の侵入事件等への危機管理マニュアル、保護者、警察署その他の関係機関、地域の安全を確保するための活動を行う団体、地域住民との連携による学校安全体制の強化などが新たに加わりました。

平成26年の改正では、子どもの健康上の問題の変化や地域における保健医療の状況の変化などを踏まえ、児童生徒等の健康診断の検査項目等の見直しを行うとともに、職員の健康診断、就学時健康診断の様式等について改正されました。平成28年4月1日から施行。

健康診断:文部科学省

1.今後の健康診断のあり方等に関する検討会をふまえて|第16回「今後の健康診断」|養護教諭のお仕事|特集|学校保健ポータルサイト

6 教育機会確保法:文部科学省

不登校の子やフリースクール・夜間学校などで学ぶ子どもの教育の機会を確保するための法律です。2016年12月に成立。「多様で適切な学習活動」の重要性と「休養の必要性」を認め、個々の子どもの状況にあった学習権を保障します。

(基本理念)

第三条 教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること。

二 不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。

三 不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること。

四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。

五 国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること。

「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説) | NHK 解説委員室

公開資料 | フリースクール全国ネットワーク

フリースクール・不登校に対する取組|『3月のライオン』×文部科学省 コラボレーションページ

日本語学校化する「夜間中学」の残念な実情 | 東洋経済オンライン

7 児童福祉法(電子政府の総合窓口「e-Gov」)

「児童福祉法」は、児童の心身の健全な成長・生活の保障・愛護を理念として、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定めた日本の法律です。昭和22年制定。

平成28年、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援まで一連の対策のさらなる強化等を図るため、大きく以下の4つに焦点を当てて改正されました。
(平成28年6月3日制定・施行。一部は平成28年10月1日、平成29年4月1日施行)

1、児童福祉法の理念の明確化等
(1)児童の福祉を保障するための原理の明確化
(2)家庭と同様の環境における養育の推進
(3)国・地方公共団体の役割・責務の明確化
(4)しつけを名目とした児童虐待の防止

2、児童虐待の発生予防
(1)子育て世代包括支援センターの法定化
(2)支援を要する妊婦等に関する情報提供
(3)母子保健施策を通じた虐待予防等

3、児童虐待発生時の迅速・的確な対応
(1)市町村における支援拠点の整備
(2)市町村の要保護児童対策地域協議会の機能強化
(3)児童相談所設置自治体の拡大
(4)児童相談所の体制強化
(5)児童相談所の権限強化等
(6)通告・相談窓口等

4、被虐待児童の自立支援
(1)親子関係再構築支援
(2)里親委託等の推進
(3)18歳以上の者に対する支援の継続

また、第1条において、「児童の権利条約の精神にのっとり」と明記され、すべての子どもが、福祉が等しく保障される権利の主体であることが基本理念とされました。

第一章 総則

第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

第二条 全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

○2 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。

○3 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。

「児童福祉法等の一部を改正する法律」の概要(厚生労働省)

子どもの福祉|全国社会福祉協議会

子どものための法律、児童福祉法って?目的や支援、法改正についてをわかりやすくご紹介します。【LITALICO発達ナビ】

8 「児童の権利に関する条約」全文(外務省)

子どもの権利条約:日本ユニセフ協会(高学年にも分かるように訳されています)

「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。前文と本文54条からなり、18歳未満を「児童(子ども)」と定義し、子どもの生存、発達、保護、参加という包括的な権利を実現・確保するために必要となる具体的な事項を規定しています。
批准国は子どもの最善の利益のために行動しなければならず(第3条)、大きく次の4つの権利を守るように定めています。(引用文は、子どもの権利条約:日本ユニセフ協会

「生きる権利」

第6条 生きる権利・育つ権利

すべての子どもは、生きる権利をもっています。国はその権利を守るために、できるかぎりのことをしなければなりません。

第24条 健康・医療への権利

国は、子どもがいつも健康でいられるように、できるかぎりのことをしなければなりません。子どもは、病気になったときや、けがをしたときには、治療を受けることができます。

「守られる権利」

第9条 親と引き離されない権利

子どもは、親といっしょにくらす権利をもっています。ただし、それが子どもにとってよくない場合は、はなれてくらすことも認められます。はなれてくらすときにも、会ったり連絡したりすることができます。

第20条 家庭を奪われた子どもの保護

子どもは、家族といっしょにくらせなくなったときや、家族からはなれた方がその子どもにとってよいときには、かわりの保護者や家庭を用意してもらうなど、国から守ってもらうことができます。

「育つ権利」

第28条 教育を受ける権利

子どもには教育を受ける権利があります。国はすべての子どもが小学校に行けるようにしなければなりません。さらに上の学校に進みたいときには、みんなにそのチャンスが与えられなければなりません。学校のきまりは、人はだれでも人間として大切にされるという考え方からはずれるものであってはなりません。

「参加する権利」

第12条 意見を表す権利

子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません。

子どもの権利条約 特設サイト | 日本ユニセフ協会

ユニセフは、「子どもの権利条約」が、条約の内容の実施に関する助言や検討などの専門的な役割を与えている国際機関です(第45条)。

ARC 平野裕二の子どもの権利・国際情報サイト

9 児童虐待の防止等に関する法律|厚生労働省

児童虐待が社会問題化したことや、子どもの権利条約が94年に批准されたのを背景に、2000年11月に施行されました。
幼少期の虐待は、感情や行動のコントロールができないなど、脳の発達に影響するということが研究で分かってきているようです。
法律では、児童虐待を、保護者による18歳未満の子どもへの(1)身体的虐待、(2)性的虐待、(3)ネグレクト、(4)心理的虐待の4種類と定義し、禁止しています。

(児童虐待の定義)

第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

虐待から子どもを守る教師の対応~サインに気付く想像力とチーム対応~(教育技術×EDUPEDIA スペシャル・インタビュー第10回 加藤尚子先生)

オレンジリボン運動 – 子ども虐待防止

「オレンジリボン運動」は、子ども虐待防止のシンボルマークとしてオレンジリボンを広めることで、子ども虐待をなくすことを呼びかける市民運動です。

目的は、児童虐待を減らすこと。2016年(平成28年)の児童福祉法改正内容まとめ(1) – スゴいい保育

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