本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、物語を書く活動を通して、文章全体の構成や展開を考える力を身に付ける。また、「物語のかたちクイズ」などの活動を通して、話や文章の構成や展開、話や文章の種類とその特徴について理解できる力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 話や文章の構成や展開、話や文章の種類とその特徴について理解している。
思考・判断・表現
- 「書くこと」において、筋道の通った文章となるように、文章全体の構成や展開を考えている。
主体的に学習に取り組む態度
- 文章全体の構成や展開を粘り強く考え、学習の見通しをもって物語を書こうとしている。
単元の展開【全3次(5時間)】
第1次(1時)学習の見通しをもつ
① 「物語のかたちクイズ」をする。
教師:「みなさんは、『おおきなかぶ』の物語を知っていますね。この物語の構成は、次のうち、どれでしょうか。」
選択肢:
(ア)回想が入る
(イ)出来事がくりかえされる
(ウ)なぞが最後に解き明かされる
答え:(イ)
教師:「『おおきなかぶ』は、出来事がくりかえされる形で、物語が進んでいきましたね。それでは、ミステリーだとどうでしょうか。」
選択肢:
(ア)同じ場面がくりかえされる
(イ)ストーリーの始まりと終わりが同じになる
(ウ)なぞが最後に解ける
答え:(ウ)
教師:「ミステリーは、なぞが最後に解ける形でしたね。このように、物語の作者は、どのような構成にすると読む人が楽しめるか、意識して物語を作っています。」
② 単元の目標を確かめる。
教師:「読んだことのある物語から一つ選んで、構成を工夫して書きかえ、もう一つの物語を作りましょう。」
③ 書きたい物語を選ぶ。
教師:「これまでにどんな物語を読んできましたか。」
児童:「『ももたろう』や『うらしまたろう』のような昔話。」
児童:「4年生のときに読んだ『ごんぎつね』。」
児童:「『ヘンゼルとグレーテル』や『白雪姫』のような世界の物語も読んできました。」
教師:「たくさん物語を読んできましたね。みんなが知っていそうなものや、自分が好きなものの中から、書きかえてみたい物語を一つ選びましょう。」
④ 物語の変える部分を考え、プリントにまとめる。
教師:「主な設定などを書き出してみましょう。書き出したら、変える部分を考えてみましょう。」
⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、物語の構成を考えましょう。」
【プリント例】

第2次(2時)物語の構成を考える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「読む人を意識して、構成を考えましょう。」
② 物語の基本的な構成を確認する。
教師:「『うさぎとかめ』の構成を参考にしてみましょう。『うさぎとかめ』では、始まりに登場人物について説明されていますね。……」
③ 塩谷さんの構成メモを見て、工夫されていることを見つける。
教師:「塩谷さんの構成メモを見て、『工夫されているな。』と思うところはどこですか。」
児童:「前書きで、読者に『うさぎとかめ』を題材にしていることを伝えているところです。」
④ 構成を考え、プリントにメモをする。
⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、今日考えた構成に沿って、物語を書きましょう。」
【プリント例】


第2次(3時)表現を工夫して、物語を書く①
① 学習の見通しをもつ。
教師:「前回考えた構成に沿って、物語を書きましょう。」
② 表現の工夫の仕方を復習する。
- 人物の行動や会話、場面の様子(においや色、音など)を想像して、言葉を書き出す。
- たとえや、音のひびきで様子を表す言葉を使う。
③ 塩谷さんが書いた物語を読み、表現の工夫がされているところを見つける。
教師:「塩谷さんが書いた物語を読んで、『表現の工夫がされているな。』と思うところはどこですか。」
児童:「『うさぎの足が、グキッと変な音を立てました。』の文章で、音のひびきを使うことで様子がよく伝わると感じました。」
④ 物語を書く。
⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、物語の続きを書きましょう。」
第2次(4時)表現を工夫して、物語を書く②
① 学習の見通しをもつ。
教師:「物語の続きを書いていきましょう。」
② 表現の工夫の仕方について確認する。
教師:「表現の工夫には、どんなポイントがありましたか。」
児童:「音のひびきで様子を表す言葉を使うことです。」
児童:「『~のような』と、たとえを使うことです。」
③ 物語を書く。
④ 自分で読み返して、書き間違いがないか確かめる。
⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、物語を友だちと読み合って、感想を伝え合いましょう。」
第3次(5時)物語を読み合い、感想を伝え合う
① 学習の見通しをもつ。
教師:「書いた物語を友だちと読み合いましょう。読み終えたら、付箋に感想を書いて伝え合いましょう。感想には、物語の内容のおもしろかったところや、構成の効果について書けるといいですね。」
② 書いたものを読み合い、付箋に感想を書く。
③ 感想を読み、単元の振り返りをする。
教師:「物語の構成には、どのようなものがありましたか。」
児童:「『おおきなかぶ』のように、出来事が繰り返されるものがありました。」
児童:「『スーホの白い馬』のように、前書きや後書きが付くものもありました。」
教師:「物語を書くとき、どんなことを意識して、どのような構成の工夫をしましたか。」
児童:「物語を読み終わった時に、すっきりしてほしいと思ったので、最後に種明かしをする構成にしました。」
授業をふりかえって
本授業では、単元に「物語のかたちクイズ」を導入している。本単元では、物語の構成を考えて、それに沿って文章を組み立てていくことが重要であり、児童に意識付けたいというねらいがある。実践の際は、これまでに児童らが読んできたであろう物語を選択してほしい。
参考・引用図書
光村図書『国語 五』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/9417/1031/3731/06s_k_nenkei5_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。

コメント