※本記事は、単元『昔から今へと続くまちづくり』で紹介した「知識の構造図」について、より具体的に解説した記事となっています。
本単元で身に付けたい資質・能力
県内の伝統的な文化を保護・活用している地域について、人々の生活との関連を踏まえて理解させる。調査活動、地図帳や各種の具体的資料を通して、必要な情報を調べまとめる技能を身に付けさせる。また、自分たちの住む地域と比較し、その地域の特色を考え、白地図などにまとめたことをもとに説明したり話し合ったりする力を養う。そして、主体的に学習の問題を解決しようとし、地域社会に対する誇りと愛情、地域社会の一員としての自覚を養う。
単元の評価規準
知識・技能
伝統的な文化を保護・活用している地域について、地図帳や各種の資料で調べ、白地図などにまとめている。
思考・判断・表現
伝統的な文化を保護・活用している地域の位置や自然環境などに着目して、地域の様子を捉え、それらの特色を考え、表現している。
主体的に学習に取り組む態度
伝統的な文化を保護・活用している地域について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
単元の展開【1~6時】
1時 昔のものが多く残る太宰府市
・太宰府市の様子を、地図や写真で使って、個人で調べる。
・太宰府市にある昔から残るものについて、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・調べて疑問に思ったことをもとに学習問題をつくり、学習計画を立てる。
・単元の学習問題(例:「太宰府には、なぜ、昔のものが多く残されているのだろう。」)を問いかけ、個人で予想をする。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
2時 昔からひらかれていた太宰府市
・太宰府市を代表する史跡について、班で役割分担をして調べる。
・役割分担して調べたことを班で共有する。
・昔の太宰府市はどのような所だったのか、個人で考える。
・個人で考えたことを班で共有する。
・調べたことや考えたことをもとに、太宰府市の特色を考える。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
3時 昔のものが守られるまでには
・太宰府市に史跡や文化財が多く残されているわけを、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・史跡や文化財の保存をめぐって、太宰府市でどのようなできごとがあったのか、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する
・史跡や文化財の保存に対する太宰府市の人々の意識がどのように変わったかを、班で話し合う。
・班で話し合ったことを全体で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
4時 太宰府の良さを守るために
・太宰府市のよさを守る地域の人々の取り組みを、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・太宰府市のよさを守るための市の取り組みを、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・調べたことをもとに、太宰府のよさを、人々はどのように守ってきたかを、班で考える。
・班で考えたことを全体で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
5時 未来に伝えたい太宰府のよさ
・外国から来た観光客に地域のよさを伝える取り組みを、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・地域にある様々なよさを、より多くの人に伝える取り組みについて、個人で調べる。
・個人で調べたことを班で共有する。
・取り組みに関わる人々がどのような思いや願いをもって活動しているかを、班で考える。
・班で考えたことを全体で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
6時 太宰府の発展を願って
・これまで調べた人々を、カードに書き出す。
・書き出したカードを班で共有する。
・カードに書いた人々の活動をふり返り、学習問題について自分の考えを個人でまとめる。
・個人でまとめたことを班で共有する。
・人に紹介したい太宰府市のよさを班で考える。
・班で考えたことを全体で共有する。
・個人で振り返りを行う。(振り返りシート)
知識の構造図で単元を見てみよう
前記事でも述べたように「知識の構造図」とは、単元において3つの「何を」指導するのかを明確にしていくものです。その3つとは、
「概念的知識(中心概念)」:単元の終末に、調べて取得した具体的知識を活用して獲得させる知識のこと
「具体的知識」:一時間毎に習得させる知識のこと
「用語や語句」:都道府県の名称や地図記号などのような一般的な知識のこと
本単元の「知識の構造図」を以下のようにまとめてみました。


以上のように、「知識の構造図」で単元を見てみると、単元の学習問題を前提として、単元の学習問題を解決していくために、毎時間の具体的知識や用語が明確になります。
「知識の構造図」は、「単元構造図」や「教材構造図」などと呼ばれ、多くの教師用指導書に掲載されています。指導を考える前に、一度目を通してみてはどうでしょう。
[参考出典]
・教育出版「令和6年度版『小学社会4』年間指導計画・評価計画」
・明治図書『社会科学力をつくる“知識の構造図”-“何が本質か”が見えてくる教材研究のヒント-』(北俊夫 著)
執筆者プロフィール
nanalalala
元小中学校教員。「思考を深める」(アクティブラーニング・思考回路図の活用など)、「安心して学ぶことができる」(ユニバーサルデザインを意識した授業計画・環境整備など)、「SST」「理解教育・インクルーシブ教育」などを意識し、教育活動・学習活動などに取り組んできた。現在は自身の経験を伝えるWebライターとして活動中。
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