やまなし ~カニの子供の気持ちと題名の意味を考える

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1 カニの子供の気持ちを考える

これまでの学習で、やまなしが落ちてきたことでカニの子どもの気持ちが変わったことを学んできた。ではカニの子どもはどのように気持ちが変わったのだろう。カニの子どもの気持ちの変化から、やまなしのテーマに迫った。

カニの子どもにとって世界はどう変わったのだろう。

  • 厳しい世界→楽しい世界
  • 暗い世界→明るい世界。
  • 自然の厳しさ→自然の優しさ
  • 殺される世界→殺されない世界
  • 自然の仕組み→自然の恵み
  • 死の世界→助け合う世界。
  • 恐ろしい世界→楽しい世界
  • 食べられる→カニが食べる。
  • 死→生きる
  • こわい世界→優しい世界
  • 弱肉強食→優しい世界

いくつも出し合って黒板に書いていき、その中から自分が一番気に入ったものを選び、どうしてそう思ったのか、自分の考えを書いた。

黒板に挙げられたものの中から一番気に入ったものを一つ選びましょう。どうしてそれがいいと思いましたか。周りの人と意見を交換してみよう。

考えを書いた後、自由に席を離れて周りの人と意見の交換をした。

〈死→助け合う〉

死と言うのは厳しい世界とか、ひとまとめに“死”と思って、誰かが犠牲になって死んでいくのが五月で、でも助け合いながら、みんなで生きていくのが十二月だと思った。死んで行きながらも、助け合っていくのがいいなと思った。

〈死→生きる〉

カワセミが来て殺されるまで(五月)十二月は、やまなしが落ちてきても殺されない。分かりやすいと思ったから。

〈死→生きる〉

カワセミが来て死の怖さを知った。やまなしが落ちてきて生きる楽しさを知った。

〈暗い世界→明るい世界〉

五月はカワセミが落ちてきて魚を食べる暗い世界だったけれど、十二月はやまなしが落ちてきて明るい感じになっていった。

個々に交流していくと、自分とは違った見方や考え方に触れることができる。

2 なぜ題名が「やまなし」なのか

さて、単元のまとめとして、この物語の題名について再び考えてみた。

宮沢賢治はこの物語の題名をカワセミでも、カニの子どもでもなく「やまなし」にしました。やまなしという題名にすることによって、宮沢さんは私たちに何を伝えたかったのだろう。

  • カワセミみたいな恐怖もあるが、やまなしみたいな助け合いもある。人間も同じで、一人ひとり助け合うということを伝えたくて、やまなしにしたんじゃないか。
  • 死もあるけれど、生きる喜びを伝えたかった。
  • やまなしのように、人を幸せにするような人になりたい。やまなしが落ちてきてからカニが幸せで、平和になったような気がするから、役立つ人になれと言っていると思う。
  • 楽しい世界に変わったきっかけは、やまなしが落ちてきてからで、やまなしで伝えたいのは、苦しいとかそういう生活の中でも、やまなしが落ちてきたように、突然楽しいことがあるよ、ということを言いたかったじゃないかと思いました。だから「みんな頑張れ」みたいな感じで。
  • 宮沢さんは読んでいる人に「生きろ」と言っているのかもしれない。このカニのように、どんなに辛いことや、こわいことがあっても、やまなしがやってきたように生きろと言っていると思う。
  • 自然にはやまなしのようないいものがあるから、自然の大切さ、美しさを知ってほしかった。生きる喜び、死んで行きながらも助け合って生きていく。自然は厳しいところもあるけれと楽しいところもある。
  • やまなしで、弱肉強食や暗いいやな思いを消し去り、人間もそういう思いはやめようということを伝えたかった。嫌なことはたくさんあるけれとすぐに忘れようという気持ち。
  • 私は昔海に行きました。その時、海に魚が飛び込んできて、魚を口にくわえて、その中から出てきました。その時こわいと思った。だから、宮沢さんは自然はこわいけれど、すごく楽しみもあるということを教えたかったと思う。
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