続・かさこじぞう:じぞう川 ~創作民話読み聞かせ

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はじめに

平成4年度(1992年度)に、初めて2年生を担任しました。12月に国語の教科書(光村図書)の物語文教材「かさこじぞう」で、子どもたちといっしょに、音読や読み取りの学習をしました。終わりの感想で、

お正月が終わってしまったら、じいさまたちはまた貧乏になるのかな

と心配する子が何人もいたので、冬休みに続きのお話を創作して、3学期に子どもたちと読んでみました。

それで、やっと、子どもたちも安心してくれました。そんなピュアな子どもたちの、じいさまとばあさまへの優しさには、私も感動させられました。その「続・かさこじぞう」を推敲・手直ししたのが、この『じぞう川』です。少子高齢化社会に生きる、子どもたちや高齢者のみなさんへの、ほんのささやかなプレゼント、とさせてください。8月23日は、地域の子どもたちのための「地蔵盆」の日ですし、9月16日は、人生の大先輩のみなさんに感謝する「敬老の日」ですから。

続・かさこじぞう(じぞう川)

(滋賀のタカブー・作)

あれは ゆめだったのか と思うほどに、
ほんとうに フシギで、
ほんとうに ステキな、
大みそかの 夜の できごとでした。

しんせつで 人のよい じいさまと ばあさまは、
あの 大みそかの 真夜中の
ありがたい いただきものを、
お正月には 村の人たちにも わけてあげました。
だから、春が やってくるまでには、
いつもの 二人の くらしに もどっていました。

半年がすぎて 夏に なりました。
その年は 日でりつづきで、町でも 村でも
水がなくて、みんな こまりはてていました。

じいさまと ばあさまの うちも、
なんともいえないぐらい まずしかったので、
その日 その日を なんとか かんとか
くらしていました。

そんな 二人の家の うら山には、
ずっと前から 大岩がありました。
ところが、あの夜の よく日の、お正月から、
なぜか 大岩に ひとすじの ひびが入って、
わき水が ちょろちょろ 出るようになったのです。
それは それは つめたい わき水でした。

二人は、あいかわらず どうにか こうにか
くらしていましたが、
ばあさまが、夏かぜを こじらせて ねこんでいました。
じいさまは まい日 まい日 ばあさまのために
大岩の ところまで えっちら おっちら のぼりました。
そして、水を くむと、ゆっくり ゆっくりと
山から おりました。

ばあさまは、その水を だいじそうに のみました。
それでも、夏かぜは しつこくて
なかなか なおりません。じいさまは、
「はあはあ。」
と いきをする ばあさまの くるしそうな顔を、
じいっと 見つめて 言いました。
「ああ、なんぞ ええ考えは ないかのう。そうじゃ、
町で 水が 売れたら、くすりが 買えるかもしれん。」

じいさまは、きのうまで まいにち 水をすこしずつ
ためておいた、おもい 水だるを せおって、
ひしゃくを もちました。
「ばあさま、まっていておくれ。
もうすこしの しんぼうやでな。」
じいさまは 水を売って、そのお金で よいくすりを
買うため、町へ 行くことに したのです。
ばあさまは、
「じいさま、気をつけてな。」
と、じいさまの からだのほうが しんぱいで
なりませんでした。じいさまは、
「なんの なんの、だいじょうぶじゃ。」
と、にっこり わらいながら 出かけて 行きました。

かんかんでりの お日さまに てらされ、
じいさまは あせを ふきふき、
ようやく じぞうさまの ところまで 来ました。

風もなし、雲のかげ 一つなし、
かさこと 手ぬぐいだけの 六人の じぞうさまは、
ひびわれた 野っぱらに、
ただ じっと 立っているのでした。
「これは これは、お気のどくなことじゃ。
あつくて たまらんじゃろう。
じぞうさまが ほこりまみれに なっていなさる。
せめて、水でも かけて さしあげよう。」

じいさまは、水だるを せなかから おろして、
りょう手で しっかり かかえると、
じぞうさまの そばへ はこぼうと しました。
ところが、どうしたことか、じいさまは
足もとの 小石に つまずいて しまったのです。
たいせつな水は、水だるから こぼれて、
じめんに すいこまれてしまいました。
「ああ、たいへんじゃ。
おら、じぞうさまに もうしわけないこと してしもうた。」
じいさまは、じぞうさまの ほこりを、
ひとりずつ ていねいに はらいました。
しかし、ばあさまのために、
町まで 売りに 行くはずだった 水は、
もう 一てきも のこっていませんでした。

それで、このまま 町へ行っても しかたがないので、
じぞうさまに りょう手をあわせて、
とぼりとぼり うちへ 帰りました。
「ばあさま、帰ったぞ。それがのう、
くすりは 買えんかったんじゃ。
すまんのう、じつは とちゅうで・・・。」

ばあさまは、もうしわけなさそうな じいさまの顔を、
じいっと 見つめて 言いました。
「じいさま、それは すまなかったのう。
じいさまが ぶじで 帰ってくれたのが、なによりじゃ。」

その時です。
ばあさまの ねつが すうっと さがりました。
そして、ばあさまは
みるみるうちに らくそうな顔になりました。

その夜のことです。
大岩の わき水は さらさらと ながれ出し、
じいさまと ばあさまの 家の前まで、
いつまでも ながれつづける
一本の 小川に なりましたと。
今でも「じぞう川」とよばれているそうな・・・・

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