学校行事としてのキッザニア【キッザニアインタビュー後編】

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目次

はじめに

本記事は、キッザニアが「生きる力」を育む上でされている取り組みと、学校行事としてのキッザニアの意義について、担当者の方にお話を伺ったインタビュー記事です。

学校行事によってキッザニアに訪れることでこども達が得られる学びや、学年や教科に応じたキッザニアでの学び、事前・事後学習のサポート体制についてのお話をご紹介します。
(取材は2026年6月30日に、キッザニア東京にて行いました)

前編では、こども達の「生きる力」を中心に、全国での取り組みや日本上陸20周年を迎えて変化した点について伺いましたので、併せてご覧ください。

学校行事としてキッザニアを訪れる「教育的意義」

Q. 学校行事(学校団体)としてキッザニアに訪れることで、得られる学びはあるのでしょうか。

一般で訪れるキッザニアと、学校行事で訪れるキッザニアには、それぞれ異なる魅力があります。

一般でお越しになる際は、体験の選択や出来た喜びを身近な保護者の方と共有できる安心感と楽しさにあふれています。一方で、学校団体でお越しいただく際は、どの体験を優先して予約を取るか、空いた時間や集合時間までにどう過ごすかといったところを、こども達自身で考えて動かなければなりません。

そのため、学校行事では仲間と話し合いながら主体的に行動する場面が多くなり、課題解決力や自発的な行動が促されます。一般来場で深める「楽しさ」と、学校団体で育む「自立心」、双方の体験がキッザニアのお仕事体験以外の場所でもこども達の大きな成長につながると感じています。
実際に、横浜のある小学校4年生の児童のみなさんが、キッザニアに訪れる際の金額や何を学ぶかを自分たちで提案・プレゼンし、保護者や先生たちを納得させて来園を実現させたことがありました。その際には、そこで終わりではなく、「今度は自分たちの学校の近くのお仕事はどうだろう」と、事後学習の振り返りまで含めたキャリア教育を実際に体験されていました。

一般来場で育まれる安心感や自己表現の楽しさに加えて、学校団体では「仲間と話し合い、自分たちで決定して行動する」という協働力が引き出されます。どちらもこども達にとって、異なる角度から成長を感じていただける貴重な機会となっています。

Q. 地元の商店街や、実際の企業で行われるリアルな職場体験もあるかと思いますが、それらとキッザニアでの体験における違いや、得られる学びの違いについて教えてください。

地域での職場体験は、一つの企業や現場にじっくり向き合い、働く方の思いに直接触れられる貴重な学びだと考えております。  その上でキッザニアの強みは、施設が一つの「街」になっており、多種多様な職業が集結している点です。自分で体験を選んで挑戦する中で、自分の好き嫌いや得意・不得意などの適性に気づくことができます。  また、普段の生活でよく目にするお店やサービスのお仕事だけでなく、企業や社会の仕組みを支えるような「日常ではなかなか出会えないお仕事」も数多く体験できます。こども達がまだ知らないさまざまな職業の存在を知り、社会の広がりを感じられることこそが、キッザニアでの大きな学びです。

幅広い学年・教科に対応する「多様な」学び

Q. キッザニアには未就学児から中学生まで幅広い年齢のこども達が来場しますが、年齢や学年によって得られる学びや気づきに違いはあるのでしょうか?

はい、学年によって思いや感じるところが違うので、それぞれの学年に応じた多様な学びや気づきがあると感じております。

例えば、小学校の低学年や中学年にとっては、「働くこと」自体が未知の世界です。そのため、キッザニアで実際にいろいろなこども達と一緒に仕事体験をすることで、みんなで協力することや、責任を持って一つの仕事をこなすことを学びます。さらに、「お金って何?」「どうやってお金を使うの?」というところから、自分でコツコツ貯めてそれをまた使うといった、経済の仕組みを実体験として学んでいきます。

一方で中学生になると、学校でも職場体験や社会人講話など、キャリア教育に非常に力を入れている学校が多くなります。  そうした学校内でのプログラムがある中で、キッザニアでは、実社会さながらのリアルな環境でユニフォームを着て体験することで、さらに一歩踏み込んだ深い探究が可能です。  数多くのパビリオンでの体験を通して、一見ひとつのように見える仕事でも「実はその裏側に様々な職種や役割が存在する」という気づきを得ることができます。表に見える業務だけでなく、仕事の背景にある多様な職種や、企業が仕事に込める想い・やりがいまで深く掘り下げて探求できる点こそが、中学生ならではの大きな学びだと感じています。

このように、学年によって感じるところや切り口は異なりますが、どの学年であってもそれぞれのタイミングで確かな学びや気づきが得られるよう、現場でもサポートをしています。

Q.学校行事としてキッザニアを訪れる際、キャリア教育以外にも学びや、活用の広がりなどはありますか?

キャリア教育というところにフォーカスしがちですが、実は教科教育との繋がりもあり、様々な教科に結びつけて、キッザニアの体験を学びとする学校様もいらっしゃいます。

例えば、「石けん工場」、「ぽん酢工場」といったパビリオンでは、科学の楽しさに触れていただけます。また、「おもちゃ工場」や、車のデザインをする「カーデザインスタジオ」といった体験では、ものづくりの工程やデザインの工夫を肌で学ぶことができます。体験をした後の事後学習として、自分の仕事体験についてプレゼンテーションや新聞で発表するといった活動を、国語の授業に取り入れていただくこともありますので、ぜひ教科横断的な学習という形でキッザニアの体験を捉えていただければと思っています。

 さらに、「Out of KidZania」において、Japan Mobility Showと連携して自動車業界にまつわる仕事体験ができるブースを設けた際には、社会科の学習の中で「自動車」について学んでいるタイミングに合わせて学校団体様に活用していただきました。また、「コスモポリタンキャンパス」という中学生・高校生向けのワークショップで、昨年は大阪大学やiPS細胞研究所と「iPSに関する知識をもっと伝えたい」ということで、最先端科学をゲームにして発表するなど、理科に関する学びを深めることもできます。

このように、キャリア教育だけでなく、日々の教科学習を深める機会としてもご活用いただけたら嬉しいです。

深い学びをもたらす事前・事後学習

Q. キッザニアで「楽しい」という感覚は得られる一方で、学校行事としてそれを確かな「学び」に繋げることへの難しさもあるかと思います。そこに対してキッザニアがされている工夫はありますか?

キッザニアでは体験を楽しんでいるうちにこども達自身が自然と気づきや学びを得るような設計となるよう工夫しておりますが、団体で来場される学校さまに関しては、学びの効果を一層高める、キッザニアでの体験と連動した教育プログラムを無償で提供しています。

小中学校向けには「キャリア教育実践プログラム」というワークシートをご提供しており、事前の学習や事後の振り返りとして授業に取り入れていただけます。これをご活用いただくことで、こども達の中にある「働くこと」への曖昧なイメージを具体的にしたり、キャリアへの気づきを高めたりすることができます。

実際に、このプログラムを使って確かな学びへと繋げている学校さまは非常に多く、その中でも「働くって何」というページでは、マスの中に「働く」という言葉から思いつくことを書き出していただくのですが、これをキッザニア来場前と、キッザニアで体験した後に、同じシートを使って学習していただきます。来場前は「働く」イメージが湧かずマス目が埋まらなかったこどもが、来場後にはすべてのマスを埋められたり、「大変」「辛い」「残業」といったネガティブなイメージが、お仕事体験を通して「協調性」「協力」「責任感」というポジティブなワードへと変わる効果が得られています。このような意識の変化がしっかりと効果測定・可視化できるワークシートを活用した上で、それを用いて「なぜネガティブなワードからポジティブに変わったと思う?」というように先生方が事後学習においてフィードバックや対話をすることで、楽しいだけでなく、確かな学びに繋げることができます。

また、未就学児向けにも、遊びが学びに変わるような、楽しみながら使えるツールを同じく団体様の特典として無料提供しています。こちらは、キッザニアの体験を思い出として、来場後の園での創作活動に活かしていただける内容になっています。

ただ楽しかったという風に終わるだけではなく、キッザニアへ来場した後も楽しめる、そして学びにつながる内容を提供することで、より深い学びに変えるためのサポートをしております。

校外学習の事前準備を支えるサポート体制

Q. 初めてキッザニアを訪れる先生方にとって、予約方法や施設内での過ごし方など、来場へのハードルを高く感じていらっしゃる方も多いと思われます。そうした不安に対して、どのようなサポート体制を整えられているのでしょうか?

やはりキッザニアに来られたことがない先生方の中には、「施設内でこども達はどう過ごしているの?」「お仕事の予約ってどう取るの?」といったいろいろな疑問を持たれている方や、「ただ遊びに来るだけじゃないの?」と思われている方も多いです。

私たちはそうした疑問や不安を解消するために、定期的なオンラインでの説明会や、施設内を実際に先生方と一緒に歩いて、それぞれの体験の特徴をご説明する見学会のような機会を設けています。

そのような機会に加えて、不定期ではあるのですが、先生方に向けたイベントも実施しています。キッザニアでは年間で「大人のキッザニア」というイベントを何回か実施しているのですが、それの先生向けという形で、教職員の関係者の皆さまにお越しいただき、見たり聞いたりするだけではなく「まずは体験してみてください」というイベントにしています。実際に体験いただくことで、こども達の気づきや学びというところを先生方も感じていただける内容になっています。もしこの体験イベントにお越しになれなくても、オンラインでの施設見学などでご説明しています。

また、キッザニアでは特別なプログラム変更を行わなくても、特別支援学校の皆さまに安心してお越しいただけるサポート体制を整えております。施設内のスタッフがお手伝いを必要とされるお子さまをスムーズに把握できるよう「アシストカード」をご活用いただいているほか、安全・安心な活動環境は特に重視されるポイントですので、下見や施設見学の際には当日のイメージをしっかりとお持ちいただけるよう、詳細にご案内しております。

先生方にはこうした機会を活用していただき、安心してご来場いただきたいと思っております。

Q. 実際にその教職員向けイベントや説明会に参加された先生方からは、どのような感想や反応がありますか?

皆さま「聞くだけだとイメージが湧かなかった」とおっしゃいます。普段の校外学習などでは先生方は外から見ることしかできないので、こども達が何を感じているかについて想像しづらいですが、実際に体験していただくことで、先生方自身もそのお仕事について知ったり、こども達の学びを感じていただいたりしています。

また、キャリア教育実践プログラムをはじめとする教材もご紹介しながら、キッザニアを校外学習で取り入れていただいた場合の話をしています。単発のイベントで終わるだけではなく、事前と事後というサポートをきちんと行っていることをお伝えすると、ぜひ授業に取り入れたいとおっしゃってくださる先生方も多いです。そういった先生方にまず知っていただくというところを目指して、私たちはいろいろなイベント企画などを行っています。

日々現場で奮闘されている先生方、edupedia読者にメッセージをお願いします。

キッザニアではさまざまなサポート体制をとっておりますので、まずはぜひお気軽にお問い合わせいただきたいと思っております。最近では先生方向けのイベントや「大人のキッザニア」といった、実際に体験できる機会も増えたため、見たり聞いたりするだけでなく、先生方ご自身にも一度キッザニアの仕事を体験して、その価値を見ていただけたら嬉しいです。

キッザニアの強みは、施設内での体験だけにとどまらず、来場前後の事前・事後学習のサポート体制もしっかりと構築されていることです。そのため、単に「私たちの施設に来てほしい」という思いだけでなく、「授業のサポートをしたい」という意味で、キッザニアを活用していただきたいと考えています。

私たちがこのように、先生方の授業をサポートする活動の根底には、「みんなでこどもの未来を作っていきたい」という、私たちの最終ゴールとしての強い思いがあります。だからこそ、手厚い教材や事前のサポート体制も含めて、日々の校外学習や修学旅行にぜひキッザニアを取り入れていただきたいと思っております。

皆さまのご来場を、心よりお待ちしております。

編集後記

今回の取材を通して、キャリア教育における五感を通したリアルな体験の重要性を実感しました。机の上での学びだけでなく、実際にこども達が「働く」ことで、自分の個性や働く喜びといったキャリアを考える上での本質的な気づきを得られると学んだからです。

キッザニアはまさにそれを体現しており、対話を中心とした活動や、多様な仲間との協力、丁寧な事前・事後学習によって、自分の可能性と働くやりがいを引き出していました。そして、そういった根本的な仕組みは変わらないものの、日本上陸20周年を迎えてもなお「キッザニア白書」などの研究を重ね、学び続ける姿勢があるからこそ、時代に合わせた最適な学びを提供しているのだと考えました。

近年、学校教育では自ら課題を見つけて考察する「探究学習」が重視されていますが、キッザニアが提供する学びは、まさにその先駆けといえます。だからこそ、学校行事としてキッザニアを訪れることで、こども達が社会の仕組みや多様な職業を学ぶことに加えて、「生きる力」を実践的に育む貴重な機会になると強く感じました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 南さくら)

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