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五月と十二月のカニの親子 五月と十二月はどちらが明るい世界かを検討している。
今回はカニの親子の会話を検討した。
五月と十二月で、カニはどんなことを話していますか。気持ちを表している会話の文を書き出してみよう。
〈五月〉
- 何か悪いことをしているんだよ
- どうしたい。ぶるぶるふるえているじゃないか。
- だいじょうぶだ、安心しろ。
- 魚かい。魚がこわい所へ行った。
- こわいよ、お父さん。
〈十二月〉
- あれはやまなしだ。ああいいにおいだな。
- よく熟している。いいにおいだろう。
- おいしそうだね、お父さん。
- 待て待て。もう二日ばかり待つとね〜ひとりでにおいしいお酒ができるから。
五月と十二月の会話を比べてみると、会話の内容に違いがあるのがわかる。気持ちの明るさ、暗さという視点で見ると、違いがより一層鮮明になってきた。次に、会話以外の視点で五月や十二月と比べることができないか検討した。いくつか比べる視点をまず示した。
さらに五月と十二月を比べる
そのほかの視点で、五月と十二月を比べてみよう。
(1) しぐさ
五月
ぶるぶるふるえている
十二月
おどるようにやまなしを追いかけた
(2) 父の話
五月
どうしたいぶるぶるふるえているじゃないか
十二月
ああ、いいにおいだな
(3) 代表的な色
五月
黒いカワセミのかげ
十二月
金剛石の粉
このように提示した三つの視点について比べることができた。まだほかにもこうした対比がないかとか探しながら、学習問題である「五月と十二月の明るさ」について考えてみた。
五月と十二月は、どちらが明るい世界だろうか。
〈十二月〉16人
- まずは色です。五月は黒や鉄など暗い色ばかりでした。でも十二月は、金剛石や水晶や金雲母なんど美しい色ばかりでした。だから色では十二月です。
- 次は光です。五月は“鉄色に変に黒光りして”“黄金の光をまるっきりくちゃくちゃにして”など悪い方に変化しているけれど、十二月は“月光の虹”などいい方に変化しています。だから光は十二月です。次は大きな出来事です。五月はカワセミが来てから暗いイメージになって、十二月はやまなしが落ちてきて明るいイメージになったから。カニはやまなしで元気になった。
- 次はカニの会話です。五月はカワセミの話で、みんなが暗くなっていたけど、十二月はやまなしが落ちてきて、みんなでついていって楽しくなっていったから、これを全部見て十二月の方が明るいと思いました。五月は文の中に“クラムボンは死んだよ”とか“殺されたよ”とかが書いてあるし、実際カワセミが飛び込んできて餌として殺して食べているから、五月は暗いと思うし、十二月はやまなしが落ちてきて、三匹のカニがやまなしを追っているんだけれど、追っているときの文に悲しい暗い文はないし、五月はカワセミが来て“二匹は声も出せず、いすくまっていた”と書いてあるけれど、十二月は月明かりがきれいで、しばらく泡をはいていたと書いてあるから、十二月の方が明るいと思います。五月はカワセミが来て魚を食べてしまったから、カニたちが「こわいよ、お父さん」と言っているけれど、十二月はやまなしが落ちてきて「おいしそうだね、お父さん」と言っているから十二月の方が明るい。
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