君はマエストロ!-指揮者になって音楽表現をつくり出そう-(音楽 指導案)

27
目次

1 音楽を形づくっている要素をよりどころに,楽曲のよさや表現の工夫を説明する事例

 この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。添付ファイル

題材の目標

  • 楽曲の魅力を生み出している音楽を形づくっている要素を聴き取り,それらの働きが生み出すよさ や面白さなどを感じ取るようにする。
  • 音楽から感じ取ったことを言葉で表し伝え合い,楽曲の特徴や演奏のよさを理解して聴いたり,歌詞の内容,曲想を生かした表現を工夫し,自分たちの願いや考え,意図をもって歌うようにする。

題材

これまで児童が学習してきた「音楽を形づくっている要素」に関する言葉を,常に音楽の言葉として提示することで,児童がそれらを様々な学習の場面で活用できるようにしている。本題材は,合唱曲の鑑賞と歌唱において,音楽を形づくっている要素をよりどころとして,楽曲のよさや表現の工夫 について,音楽の言葉を用いて説明したり提案したりする活動を行う。鑑賞では,混声合唱曲「翼 (WINGS)」(武満徹作詞作曲),歌唱では,「広い空の下で」(高木あきこ作詞,黒沢吉徳作曲)を教材として用いる。これらの楽曲は,音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすい作品である。

主な学習活動

(1) 題材の展開(全5時間)

【指導事例と学習指導要領との関連】

小学校学習指導要領 第 2 章 第 6 節 音楽 〔第5学年及び第6学年〕の「B 鑑賞」の(1)のウでは, 「楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさを理 解すること。」と示している。また「A 表現」の(1)のイでは,「歌詞の内容,曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと。」と示している。
楽曲を聴いて,想像したり感じ取ったりしたことを適切な言葉で表すことは,楽曲の特徴や演奏のよさなどを考え,自分なりの意味を見いだすことにつながる。また,合唱や合奏,グループによる音 楽づくりなど集団で表現を工夫する学習では,自分の思いや意図を「自分たち」の思いや意図に高め ていくことが必要である。そのためには,言語等を通して音楽表現への思いや意図を共有し,深めて いくことが不可欠となる。
このような学習の基盤となるのが,〔共通事項〕の学習である。〔共通事項〕は,音色,リズム,速 度,反復,問いと答えなどの音楽を形づくっている要素に関する指導内容である。これらの要素が効果的に働くことで,楽曲のよさや面白さなどが生み出されるのである。
本事例では,これまで児童が学習してきた音楽を形づくっている要素に関する指導内容を必要に応じて具体化し,児童が共通に活用できる音楽の言葉として,分かりやすく提示するようにしている。 音楽の言葉は,感じ取った音楽のよさや面白さを説明したり,それを基に表現の工夫を提案したりす る際に大切な役割を果たす。

【言語活動の充実の工夫】

1. 感じ取った楽曲のよさと音楽を形づくっている要素を結び付けて,音楽の言葉を用いて自分の聴き方を友達に説明している場面

混声合唱曲「翼(WINGS)」の歌詞の書いてある学習カードを配付し,自分の気に入った部分に印を付けながら1回聴く。2回目は,自分が気に入ったのは, どの要素が働いたからなのかを見付け出しながら詳しく聴 く。その際,ホワイトボードに音楽の言葉を掲示し,それを手がかりにしながら聴くことができるようにする。鑑賞後, 自分の聴き取った要素の働きを,音楽の言葉を基にクラス全 体に伝え合うことで,友達の聴き方を知り,それらの要素の働きを共有化することができる。

2. 美しい日本語でつくられた歌詞を読み込み,旋律にのせて, 美しい発音で歌っている場面

歌唱教材「広い空の下で」は,美しい日本語による歌詞をもち,それが美しい旋律にのせられてい る楽曲である。美しい日本語の歌詞をもつ楽曲を,言葉と音楽の関係を大切にしながら歌で表現する ことは,音楽科ならではの言語活動である。

3. 楽曲の魅力を生かしつつ,学級全体でどのような表現を目指すのかについて話し合う場面

どんな合唱にしていくか,表現の工夫を話し合い,学級の表現の方向性を決める重要な話し合い活動である。児童からは,「友情のすばらしさを表現したい」,「卒業をイメージして歌いたい」,「強弱の変化をはっきり付けてダイナミックな歌い方をしたい」,「ハーモニーの美しい合唱にしたい」など, 表現する際に歌に込めたい気持ちや歌唱表現の意図が混在して提案される。教師は「気持ち」と「方法」に分けて意見を整理する。また,この段階までに楽曲の魅力を引き出すように歌ってきているの で,楽曲固有の表情や味わいを大切にすることが前提となる。歌詞をはじめ,楽譜からの情報をそのまま根拠にして提案できるように導くことも大切である。

4. 学級全体で目指す表現を基にさらに表現を工夫し,どのように歌ったらよいかについて自分の考え や願い,意図を提案する場面

前時までの学習を踏まえて表現の工夫を提案し合う場面である。音楽を形づくっている要素をより どころに,音楽の言葉を用いて提案するようにする。
児童からは「今日明日そして今日・・・・のところをクレシェンドしながら歌う」,「2 番の最後の『ともにうたおう』のところは,終わる感じが出るように,速さを少しゆっくり,一つ一つの音符の音をしっかりとのばして歌う」などと,具体的な提案がされる。


引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

添付ファイル

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次