速く!美しく!(ハードル走)(体育 指導案)

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目次

1.1 運動のポイントを焦点化した言葉を生かして課題解決を図り,技能の向上を目指す事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。

添付ファイル

単元の目標(指導のねらい)

  • ハードルをリズミカルに走り越えることができるようにする。(技能)
  • ハードル走に進んで取り組み,約束を守り助け合って運動をしたり,場や用具の安全に 気を配ったりすることができるようにする。 (態度)
  • 自分の力に合った課題の解決の仕方,競走(争)や記録への挑戦の仕方を工夫すること ができるようにする。(思考・判断)

教材

本単元の学習においては,ハードルをリズミカルに走り越すことを単元の目標とし、そのためのポイントとして「振り上げ足→着地→次の一歩」の動きを高めることを中核とな る課題に据えた。そこで、児童が課題解決に向けての意欲を高め、持続させるために、自 己の記録の伸びや目標とする記録の到達を目指したり、自分の力に応じたインターバルの 設定ができるようにしたり、50 mフラット走と 50m ハードル走(ハードル5台)とのタ イム差から自己を評価したりする活動を取り入れた。また、「振り上げ足→着地→次の一 歩」の動きを高めるための活動を学級全体で学習していく場と、それを生かして個の課題 を解決する場(課題別グループ)を設けて取り組むようにした。また、全体で学習したことを生かしてグループ内で互いに見合い、友達の課題にあった助言や賞賛の言葉かけなど の言語活動を活発にすることで、技能のコツ等を理解し、よい動きの共有や確実な技能の 習得を目指した。

学習活動の実際

◇単元の展開(全12時間)

【指導事例と学習指導要領との関連】

本単元の内容は、小学校学習指導要領・体育の第5学年及び第6学年において「C 陸 上運動 ウ ハードル走」として、位置付けられている。技能の内容としては「ハードル をリズミカルに走り越えること。」と示されている。

本単元では、ハードル走の技能を高めるための方策として、十分な運動量を確保しつつ、 技能の向上を図るために「動きの言語化」「動きのポイントの焦点化」「情報の発信と共 有化」等の言語活動を充実させることが重要であると考えた。これらの活動を充実するこ とにより、適切な情報を元に動きや技能のコツを言語で表現するとともに、自己の動きを 振り返る論理的な思考力が育つと考えた。ただし、運動を通して学ぶ体育(運動領域)に おいては、言語活動の時間的な増加により、運動量が十分確保できなくなることは避けなければならない。そのための手だてを以下のように位置づけた。

  • 50mフラット走及びハードル走の記録をもとに自己評価を 行うようにする。
  • 動きのポイントが焦点化される教具の工夫をする。 ○動きや技能のコツを言語化する。
  • 適切な情報を蓄積する。
  • 魔法の言葉(自分で気づいたコツ友だちや教師からの言葉がけ)の蓄積
  • 手首に巻いたテーピングテープにメモする(時間をかけず、すぐに記録(写真1)
  • 情報の発信と情報の共有をする。
  • 掲示板に個々の魔法の言葉を貼り紹介する。
  • 互いの動きを見合い友達の課題にあった助言や賞賛、励ましの言葉を伝える。
  • 運動を観察する場と役割のローテーションをする。(写真2)

【言語活動の充実の工夫例】

児童が互いを見合い、助言や賞賛、励ましの言葉を伝えなが ら学習が深まるための手だてとして、動きのポイントを焦点化させる教具(下記例III) の工夫、運動を観察する場所の工夫をした。

ポイントを焦点化する教具を使用することにより、動きを見てもらった児童は「今のど うだった?」から「今の足の向きはどうだった?」と尋ねるようになり、動きを見ていた 児童は、「OK」「よかったよ。」から「足の向きはよかったよ。」「次の一歩を意識してみ たら?」とより具体的なアドバイスや賞賛の言葉をかけることができるようになった。自分の言葉に自信を持ち、漠然と友達の動きを見ているのではなく、友達の動きを高めたい という視点で的確に動きを観察できるようになった。その結果、一人一人が動きのコツ等 である魔法の言葉を蓄積することができ、技能の高まりにつながっていった。このことか ら児童が適切な情報を得て、それを伝えやすい言葉に置き換え伝え合うことで、自己の活 動を振り返り、論理的に練習方法などを修正していくことができたと考えられる。 なお、本単元の学習の中で有効であった動きのポイントを焦点化する教具は、以下の通りである。

【I振り上げ足スコープと振り上げ足シール】写真3

ゴール付近からスタート地点に向かって振り上げ足スコー プを覗き、走り越してくる友達の振り上げ足(シール)だけ を観察する。振り上げ足スコープを覗くことで、他の動きを 気にすることなく振り上げ足だけに集中できるようになり、 「○台目と○台目違う足が上がっていたよ。」「ハードルの外 写真3 側(内側)から足が回って出ていたよ。」「走る動作に近い足 の上がり方ができていたよ。」「振り上げ足の足裏が見えた よ。」などの言葉が出るようになった。

【II牛乳パックと「トン♪1(トンイチ)ロープ」】写真4

振り上げ足を下ろす地点に牛乳パックを置く。抜き足を下 ろす地点にトン1ロープ(トトントントンのリズムの一番目 のトン)に設置する。振り上げ足をまっすぐに素早く下ろす 動作は、牛乳パックを踏みつぶす感覚とよく似ており、児童 にとっても理解しやすくなった。この教具では、牛乳 パック がつぶれる音や牛乳パックのつぶれ方等で動きのよさが観察 写真4 できる。児童が見逃してしまうハードル走のポイントとなる一瞬の動きを、分かりやすく評価し合うことがきる教具である。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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