水泳指導【子どもがイメージしやすい教師の助言】

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目次

平泳ぎの場合

遠泳の指定校もそうですが、小学校高学年の2年間で、どの子も1000m泳げるようにするには、やはりクロールよりも平泳ぎのほうが向いていると、改めて思います。新任の小学校が、そういう取り組みをしていたからかも知れません。

水泳の基本は、「脱力できるかどうか」で決まります。うまく脱力できない子は、伏し浮き・バタ足・クロールよりも、伏し浮き・平泳ぎの方が、「首の脱力」を楽しく習得できるケースが多いように、結果として思いました。

まず、「蹴伸び」で、首の力を抜いて、フワーッと「伏し浮き」ができるようになれたら、第1関門突破です。「首の脱力」ができたら、体のこわばりがなくなり、うまく浮けるようになるからです。クラゲみたいに、水に浮いているという感覚が楽しくなります。

次は、「ひとかき・ひとけり」のワンストローク、ワンキックのリズムを体で覚えるまで、くり返し練習します(1回だけやって、後は伏し浮きです)。そのまま「ひとかき・ひとけり」「伏し浮き」を1回して数m進めたら、第2関門突破です。魚みたいに、水に浮いて進んでいる感覚が楽しくなります。

ここまで来たら、第3関門は「息つぎ」です。手で水を押さえながら、そうっとゆっくり顔を水面ぎりぎりに上げて「息つぎ」をするのが、足腰が沈まないコツ(体が沈まないコツ)です。                                                      はやく息つぎがしたくて、勢いよく顔を水面から上げると失敗します。体が立って、上半身がブレーキになるし、足腰も沈んでしまいます。                                                こうして、ゆったりした「息つぎ」「ひとかき・ひとけり」の後、フワ~と「蹴伸び・伏し浮き」をして数m進んで、2回目の「息つぎ」をするイメージで、落ち着いて、すーっと立ちます

あせらず、これをマスターすることが大切です。この「息つぎ」と「ひとかき・ひとけり」のタイミングがわかってくると、プールの横が泳げるようになり、25mも泳げるようになります。水に浮いて泳いでいる感覚が楽しくなります。

息つぎ」「ひとかき・ひとけり」の後の「伸び」の姿勢が「ゆったり」とできるようになれば、無駄な「りきみ」が消え、さらにターンして、50m、100m、200mぐらいまで泳げるようになります。泳げる距離が伸びるのが楽しくなります。

これも、低学年から学年ごとの目標を積み上げる学校ぐるみの取り組みがあればこそ、だと思います。低学年・中学年で、「脱力した蹴伸び・伏し浮き」をしておいてくださったことに、感謝です。

まとめて、

平泳ぎのポイント」①~⑥(教師の助言)

①「壁をけって、伏し浮きのように十分のびをとろう

首、肩、手首、ひざ、足首の力をぬくと(脱力すると)、体がプカ~と浮いてくるよ。特に、首の力をぬこうね。

②「プカ~と浮いてきたら、腕をななめ下へ丸く、水を押さえるようにゆっくりかきながら、静かにあごを突き出してみよう

水中にかくれている忍者が、そうっと顔をあげていき、水面ぎりぎりに、口を出す感じだよ。ガバッと勢いよく顔を水面に出さないほうがいいよ。だけど、息つぎは、強く、短く、一気にしよう

③「その時、脱力したまま、両足のかかと同士を近づけるように、ひざをまげよう。つま先は外側に向けて、かかとをお尻の近くにもってくるんだよ

これは、あおり足(ドルフィンキック)にならないためです。しかも、ひざを曲げすぎないためのコツなんだよ

④「手足のタイミングは、腕をかき始めるのが先で、それから足をまげ始めよう

息つぎは、腕をかき始めた時にするんだよ。丸くかいた両腕を胸の前(真下)にそろえた時に、足もひきつけていたらOKで、息つぎが終わる時だよ

⑤「足をける時は、かかとから押し出すように、足の裏で水を後ろへけろう

力強くけりながら顔をおでこから水につける感じで、腕も顔の前(真下)で前方へ伸ばそう。手のひらを合わせながら、という感じだよ

⑥「手を前方へ伸ばす時が足を後方へける時だよ。両足で水をはさむ感じで、両ひざをグッと閉じて、足首を伸ばそう

前方の手から後方の足まで、体が一直線(首の力をぬいて)になるとグイッと進みます。そして、体が浮いてきた時が、次の息つぎをするタイミングになるんだよ

これだけの助言ですが、5年生の最初、25m泳げなかった子が、夏休みには200m泳げるようになり、6年生では1000m泳げるようになりました。ただし、見学しなかった子の話です。見学する割合で、25~200mという結果でした。

クロールの場合

水泳は、いかに脱力できるかが浮力につながりますから、自分の泳ぎ方をイメージできるようにしてあげることです。クロールを泳ぐためにも、まず大事なのは、け伸び&伏し浮きにおける脱力です。そのことは、平泳ぎのところで書きましたから省略します。

クロール:うでの動作のポイント(教師の助言)

親指から水に入れよう。4本の指は軽くつけて、親指は離してもいいよ

遠くの水をつかんで、おなかの下まで引っぱってきて、太ももの方へ速く押すイメージで。前半は、あわ(空気)をかかないように、後半は速く、力強く

体(顔~胸)の下の水を、うで全体で後ろへ押すイメージで、かこう

前の方の遠くから、後ろの方の遠くまでを、しっかりとかく、大きな泳ぎをしよう

水着の下の太ももの外側に、親指がさわるぐらいまで、かき切ってから、手をぬこう。かき終わった時、手のひらは上を向いていて、手のひらと、ひじを、いっしょに水からぬこう

うでを前へ運ぶ時は、ひじを高く上げて、ひじから先は力をぬこう。そうすると、水面近くでダラ~ンとなり、手のひらは後ろを向いていて疲れないよ

クロール:息つぎのポイント(教師の助言)

うでをかき終わって、手のひらと、ひじを、水からぬいた時に、肩が上がります。その瞬間に、顔も斜め後ろを向いて、息つぎを、素早く、力強くしよう

肩が上がる動きと同時に頭(顔)も回したら、あごを引く息つぎができるよ。 そうすると、足腰がしずみません。息つぎをするのが一瞬遅れると、あごが上がって、足腰がしずみ、体が立ってしまうよ

息つぎの瞬間、、自分の顔より後ろのほうに、ひじが見えたらOK。息つぎで、ひじが顔の上(横)に見えたら、息つぎのタイミングがワンテンポ遅すぎるんだよ。このタイミングが遅すぎると、誰でも、あごが上がってしまいます

クロール:足の動作のポイント(教師の助言:長いきょりの場合)

バタ足は、自然に動く程度で、足首で水を打つつもりでやろう

ひざをピーンと伸ばしたままだと、すぐ疲れます。ひざを曲げすぎると、空気をけって進みません。足のかかとが、わずかに水面に出るぐらいでいいよ

太もも動かしながら、ひざをやわらかく使うイメージです。ピンセットみたいキックは進まないよ。両足の親指同士がこすれるか、こすれないか、という感じでキックしよう

手の動き、足の動き、手と息つぎのタイミングなどを、陸上(プールサイド)でイメージさせて、やらせてみるのも効果的です。

おまけ【背泳ぎの場合】(教師の助言)

クロールの反対で、小指から水に入れよう。頭の上のほうへ、ひじを伸ばして入水しよう。手が入水しないうちに、かき始めないこと。入水の時、ひじは伸ばすけど、りきまないこと

初めはゆっくりとかき、おなかの横から太もものほうへ強く一気にかこう。最後のひと押しは、プールの底のほうへ、というイメージで

体は、かいている腕のほうへ傾きます。すると、反対側の肩が水面に上がるので、かき終わった腕は体の真上に運びやすいから、腕はリラックスして体の真上をとおして、運んでいこう

キックは、ひざが大きく水面に出ないようにしよう。足の甲で蹴り上げる(サッカーでシュートする)イメージです

あごは、ほんのちょっと引いて、へそを水面に出すイメージで、腰を伸ばそう。腰が下がると、体が沈んでしまいます

息つぎを短く、強くするのは、クロールや平泳ぎと同じですよ

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