国語・物語文「なまえつけてよ」の教材研究案です。
2人の関係の変化を中心に読み、自分と作品を重ねながら読みやすい教材です。
授業を通して、身近な人の新しい一面を知ることや、自分の思いを伝える方法について考えが広げられたらと思います。
教材分析
◯登場人物
春花
勇太
陸
◯場面分け・注目する語句
(いつ、どこで、だれが、何をして、どうなった、なぜそうなった、キーワード、場面の特徴)
場面1「名前つけてよ」
学校からの帰り道:見なれない子馬、美しい目に吸い込まれそうな気がした
おばさんに「名前、つけてよ」と言われる、「名前をつけてと任されるなんて、初めてのことだ。」
歩き慣れた通学路が、まるで知らない道のような気がする、子馬のまぶしいすがたを思いえがきながら歩いた
→気持ちと世界の見え方の違い
場面2「勇太と陸」
勇太:すぐに目をそらした、ぷいっと向きを変えて歩きだす、
陸:目をかがやかせた、「今、教えてよ。今、知りたい」と早口で聞く
春花:「なによ、その態度」ぐっと言葉を飲み込んだ
→二人の関係を捉える
場面3「名前を考える」
近所のおばさんに「ぽんすけ」の由来を聞く
布団で名前を考え、思いつく、「今はまだ子どもだけれど、大きくなったら風のように走る馬になってほしい。そんな願いがわいてくる」、名前がうかぶ、安心してねむりに落ちた、
→一生懸命に名前を考える春花
場面4「次の火の放課後」
もしかして、勇太は来ないかもしれないな、
時間がいつもよりゆっくりと流れていく、
「名前、なんてつけるんだ」
「いいんですーー。それなら、しかたないですね。」
明るい声で答える
勇太と陸は、こまったような顔をして、春花の方をじっと見ていた。
→春花が気になる勇太、二人の関係の変化が始まる予感
場面5「次の日の昼休み」
手作りの小さな馬、「なまえつけてよ」
らんぼうなくらいに元気のいい字がおどっている
勇太って、こんなところがあるんだ。
窓から明るい校庭、サッカーをしている子たち
ありがとう。春花は、心の中でつぶやいた。
→二人の関係の変化、勇太の成長
◯人物像
・性格言葉や人物イメージを出す:性格は?どんな人?
・根拠となる叙述を確認する:どこからそう思った?本文を書き出す。サイドライン。
・想像をふくらませる:自分だったら?どう思う?似た経験は?なんでそうした?
・人物同士の関係は?変化は?
◯勇太の人物像
・勇太ってどんな人?
・なんでそう思った?
・自分だったらどう?
性格
①ぶっきらぼう、他人に無関心
②春花がきらい
③春花が気になってる
本文
ふらりと勇太が現れた。弟の陸を連れている。
ひと月前に、遠くの町から引っこしてきた。
①話しかけても、勇太はあまりしゃべらない。
①②勇太は目を合わせない。ただ、足元を見ている。
①②勇太は顔を上げて、ちらっと春花の方を見た。でも、すぐに目をそらした。
「もう行こう。」
勇太はぷいっと向きを変えて、歩き出した。
③勇太は聞いた。「名前、なんてつけるんだ。」
③勇太と陸は、何も言わない。
二人とも、こまったような顔をして、春花の方をじっと見ていた。
③春花はそっと何かをわたされた。
わたすと、勇太は急いで行ってしまった。
*授業例:①②→③へと変化。人物の変化を考える学習へ。
「物語の最後で勇太の性格が変わってるよね、、、なんぜ?」
「あれ、初めは春花がきらいだったのに、最後は好きに、、、!?」
「実は最初から好きだったんじゃ?てことは、違う読み方ができるぞ、、、」
勇太の人物像 ワークシート記入例
右クリック別ウィンドウで拡大できます
◯人物の関係の変化
◯特徴的な表現
・春花が子馬に惹かれている様子、一生懸命に名前を考える春花の様子
→春花のショックを大きくさせる
・勇太と陸の春花への関わりの対比
→勇太の素っ気なさを強め、最後の優しさを強調する
◯題名
主題と関係
・「名前つけてよ」と「なまえつけてよ」題名との関係
→勇太の字に込められた思いを考えさせる
◯主題
(二人の関係の変化から勇太の成長)
勇気を出して思いを伝えること
不器用でも優しく
隠された相手の良さ
男女の友情
人の気持ちと向き合い、自分にできることを思い切ってやってみる
◯その他メモ
行動に示された思いを考える、知る
人の見えない一面
自分の思いの伝え方→言葉で、物で、いろんな表現がある
ものに込められた思い→わらぐつ、カレーライス
自分と人物を比べる→自分を知る
勇気を出した。だから名前に勇の字がある。
授業案はこちら
・「なまえつけてよ」国語 ~人物関係の変化を考える~
ワークシートがダウンロードできますので、編集・ご活用ください。
コメント
コメント一覧 (1件)
高学年になると、場面を分けたり人物像を考えたりする際の問いかけを用意していれば、子ども自身で自分なりの教材解釈ができそうですね。
単元初めの数時間でそれをして、人物像や主題など視点を決めて話し合うのも楽しそうな展開だと思いました。