1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 授業内容
手の洗い方についての学習をした。手を洗ったつもりでも、爪の中や手の甲には汚れが残りやすいことに気づき、正しい手の洗い方について学んでほしいと願った。
前の時間にのり遊びをした。算数で「1000までの数」の学習をしているので、それに合わせて人の顔を千人分、一枚の模造紙に張った。この時、手に十分ノリ(デンプン)がつくような作業をさせた。
さて授業が始まって、普段のでの洗い方について尋ねた。
「いつも給食を食べる前に手を洗っていますか?」(ハーイと半分くらい)
「時々洗っている人?」(ハイと残りの半分)
「いつもどうやって手を洗っていますか?手の洗い方を見せてください。」
手を洗うまねをしてもらうと、手のひらをこすり合わせて、ゴシゴシやっていた。
次に
「今の自分の手の汚れを見てみましょう。魔法の液(5%ヨウ素液)に手をつけると汚れているところが黒くなります。」
ヨウ素液はデンプンと反応して青紫色に変化する。目には汚れていないように見えても、デンプンが残っていると色が変わる仕組みである。前の時間にやったのりが手についていると青紫になる。
ヨウ素液に手をつけてみるとあちらこちらから
「どこが汚れていましたか?手形の絵で汚れているところに色をつけましょう」
手形に汚れた部分の印をつけた。
汚れていた場所を聞くと
・つめ ・手の甲 ・指の間
・手首 ・手のひら ・手の横
洗ったつもりでもよく見てみるといろんなところが汚れている。
ここで
「手の汚れをこのままにしておくとどうなると思いますか」
・病気 ・臭くなっちゃう ・キノコが生えちゃう
・腐る ・カビが生えちゃう ・お腹が痛くなっちゃう
・叱られる ・皮がむける ・お父さんやお母さんに嫌われちゃう
このようにたくさんの考えが出された。
ここで3~4日前に、手のひらで触った寒天を見せた。じつは寒天を培地として手についていた雑菌を繁殖させていたのである。シャーレには一人一人名前をつけてあったので、自分の手にどのくらい菌がついていったか目で見ることができた。寒天を作るときに、鰹でだしをとって栄養にした。
手が汚れたままでいると、どんなことになりやすいか保健の先生の話を聞こう。
手についたばい菌が結膜炎になったり、ぎょう虫が体の中に入ったりしやすいこと写真を使いながら説明した。
最後に
正しい手の洗い方を知ろう
【 手のひら → 手の甲 → 指の間 → つめ → 手の横 】を洗う五法順について教えた。五法順を歌にした曲があるので、手の洗い方を歌いながら覚えることにした。3~4回もやると歌もやり方も覚えたようできれいさっぱりの手になった。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
「魔法の液」でいつもは見ることのできない手の汚れを実際に目で見ることで、楽しみながら手の洗い方を学ぶことができるようになる実践です。「魔法の液」という言葉遣いや、手の洗い方を歌で覚えるといった工夫もなされている素晴らしい実践だと思いました。ぜひ活用してください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 吉田 明香音)
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