採用試験の「特別選考」は、どのような人を対象にしたどのような制度?

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そもそも、なぜ「特別選考」が導入されているのか?

今や、多くの自治体で行われている「特別選考」。これは多様な背景を持った受験者を促すため、一定の条件をクリアする応募者に、一般の選考とは別枠を設け、試験の一部を免除する特例制度のこと。この制度が取り入れられたのは、さまざまな課題を抱える学校現場に対応するために、教育現場に多様な教員が求められているからだ。

民間企業で働いた経験、あるいは教師として教育現場で働いた経験がある人が対象の選考

教職経験者
教職経験者や、講師経験者、ほかの自治体の現職教諭などが対象となる。以前は現職教諭が他の自治体で 勤務したい場合は 、いったん辞職し、志望自治体で行われる採用試験を一から受験し直さなければならなかった。しかし近年は学校現場での 即戦力となる教員の確保を目的にほかの自治体の正規教員について 、一部の試験科 目を論作文や面接に代替する、あるいは1次試験をすべて免除するなどの優遇措置を取る自治体が増えてきている。講師経験者については、当該自治体における講師経験に限定するなど、自治体によって条件が異なるので募集要項でよく確認しよう。

社会人経験者
専門知識や高度の技能を持った人材、一定の勤務経験を経てこその視点を持った人材を学校現場に迎え入れる目的で、社会人経験者に対して特別選考を行う自治体が増えている。民間企業や官公庁などに一定期間以上の在職経験があることを応募資格とし、勤務経 験は3~5年程度、その勤務経験が学校での教育活動に生かせること を要件としている場合がほとんどだ 。しかし「教育現場では得られない新しい視点」が求められているからか、塾や予備校などでの勤務経験は認められないことが多い。該当者は、教職・一般教養など試験科目の一部が免除されることが多い。

資格や特別なスキル・実績などがある人が対象の選考

資格保有者
規定の資格を保 有する受験者に対しては 、その教科を教えるのに必要な知識・技能がすでに十分あると見なし、筆記試験や実技などの免除措置を設けている自治体もある。特に多いのが中高の英語。ほかに高等学校の情報、工業、商業といった専門教科でも実施されている。学生時代や社会人としての勤務中に取得した資格が生か せることもあるので、該当する資格があるかどうか募集要項をチェックしてみよう 。

スポーツや芸術などで高い実績の保有者
スポーツや芸術の分野で顕著な成績を収めた人が対象。応募資格については、全国または国際レベルの競技会やコンクールで優秀な成績を収めていることが 条件とな る。またスポーツであれば種目を限定しているところもあり、実質的にはかなりの難関だ。特別選考として別枠で募集をする自治体が多いが、試験の全部または一 部を免除する形で選考を行うところもある。

それ以外にこんな特例制度も

資格や実績によっては「加点」がされることも
変化の激しい次代を担う子どもたちを育成する責務を負う教師として 、 さまざまな資格や特技を持つ受験者を積極的に評価しようとする動きが広がっている。該当する要件は「スポーツ・ 芸術特別選考」や「社 会人特別選考」と似通っているが、特例枠とするのではなく、1次試験などの合計点に加点されるのが特徴。事前申請が必要となるので、受験する自治体に 加点制度がないかチェックし、該当する資格などがあれば積極的に活用しよう。

合格後に大学院に進学した場合
より高いスキルや実践力を身に付けた人材を採用したいという考 えから、2次試験合格後に大学院や教職大学院へ進学する者に対し、名簿登載期間を延長したり、次年度の試験を一部免除するなどの措置を実施している自治体が増えつつある。今後こうした動きは広がってくると思われる。

大学からの推薦なども
新卒の学生にも、大学推薦制度などの特別選考枠が設けられるようになってきている。また、注目すべき取り組みとしては、各自治体が運営している「教師塾」などで学んでいる方を対象とした選考がある。これは自治体が教師への意欲が高い方を対象に実質上の「教育」「研修」を行って、質の高い教員志望者を養成しながら、一定の基準を満たした者を採用する仕組みだと言える。

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