音楽会の合奏を盛り上げるために(1) ~「楽器選び」と「詰める」こと

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1 盛り上がる行事

音楽会を毎年催している学校もあれば、隔年などで催している学校もあるでしょう。小学校での音楽会は、運営がなかなか難しいものがあります。本稿は、音楽会での合奏についての私見を書いてみます。ピアノが弾けるなど、家庭での音楽の素養がある子供が学年に複数人いる学校がある一方で、素養のある子供に乏しい学校もあります。指揮者の技量にも大きく左右されますし、学年スタッフの指導力も問われます。成功すれば大いに盛り上がりますし、イマイチな時は残念感が漂います。いずれにしても、どの子供にどの楽器を任せるかを決める所から悩ましいものがあります。中学校になると合唱コンクールが中心になるところが多く、多様な楽器で合奏をする経験は小学校までで終わってしまう場合もあるので、子供たちに合奏によって得られる一体感を小学生のうちに味合わせたいものです。

2 楽器決め

子供の楽器を決めるときに、「オーディション」と表現している学校があるかもしれませんが、この表現はあまりよろしくないように思います。「楽器決め」や「楽器選び」でいいのではないでしょうか。「オーディション」ではあまりに仰々しく、「1番上手な子供が楽器を選べる」ように聞こえ、家庭にもそのように伝わってしまいます。ベストメンバーで音楽会に望めば、よい演奏ができるかもしれませんが、選びたい楽器を選べる力がある子供たちがいつも好きな楽器を選んでしまうことになります。そうすると、選べなかった子供たちはいつも「その他大勢のリコーダや鍵盤ハーモニカ」を担当することになって、諦め根性、ひがみ根性が身についてしまいます。これでは「勝ち組」と「負け組」が混ざった演奏となり、一体感が失われてしまいます
 学校は教育の場なので、音楽会をベストメンバーで臨むように楽器を決めるのはあまり好ましくないと思います。かといって全く素養のない子供に難しい楽器、軸になる楽器を任せるのも悲惨な結果になるので避けた方がいいでしょう。楽器の難易度と子供たちの伸びしろを考えて、ある程度のレベル以上の子供であれば選んであげるといいと思います。
 楽器決めのルールの例を以下の様に考えてみました。

①できればみんなに色々な楽器に挑戦してほしいので、基本的に、前年にやった楽器は選べません。
②しかし、楽器の数には制限があるので、必ずしも自分がやりたい楽器を選ぶことができるわけではありません。
③(楽譜の一部、32小節程度分を提示しておいて)自分でできそうな楽器を選びます。
④(3年生以上なら)リコーダが吹けるのが楽器選びに参加できる最低条件です。・・・リコーダは全員が吹けるように教師が指導しておきましょう。
⑤2週間の練習期間をあげるので、その練習期間でやりたい楽器の練習をして、「楽器決めの日」に先生たちに聞かせてください。1番上手な人に決めるわけではありません。ある程度のレベル以上の人を選びます。
⑥後で、選ばれた中から、「くじ引きの日」にくじ引きで決めます。
⑦くじ引きで外れる場合もあるので、2つの楽器まで「楽器決めの日」に挑戦してもいいです。

等とするのがいいと思います。

3 楽譜には階名を書いてあげる

たいへんな作業になるとは思いますが、パートごとの楽譜には階名を書いてあげるようにしましょう。6年生になっても、譜面を見て演奏ができる子供ばかりではありません。

4 個別に詰める

7割程度の子供たちが上手に演奏できるようになると、各パートからの音が聞こえてくるようになり、何となく出来上がったような気持ちになります。そこから通し練習を続けるとだんだんと飽きてきて、演奏が惰性になってきます。残り数割のできていない子供たちの音がずれたままではそれがノイズとなり、演奏に一体感が失われたままで、聞く者の胸を打つことができません。
特にリコーダとピアニカは、「その他大勢扱い」にされている感じになるので、気持ちが乗らない状態で完全にできていないまま適当に演奏しているのが観客に伝わってしまいます。リコーダとピアニカをはじめとして、まだ完全に演奏ができていない子供たちをケアする必要があります。リコーダや鍵盤ハーモニカを見捨てないというメッセージを教師側が発していなければいけないと思います。
学年スタッフは手分けをして、必ず一人一人がきちんと演奏ができるところまで、指導をしなければなりません。壁を乗り越えさせ、一人一人がきちんと演奏を出来るようにすることが大切です。全員が壁を乗り越えた経験と、全員ができてノイズが混ざっていない状況は、不思議と音楽の神様が下りてきて、一体感が生まれてきて「パッション」を感じられるようになってきます。詰めることは大事なのです。
楽譜の一小節ごとに番号をふっておいて区切りのいいところで、分けて、1~32まで、33~72までといった表を作ってあげて、教師が一人一人を聞いて合格のサインを書くようにすると、漏れがなくなります。
※「子供先生」を作って合格を出させると甘くなるので良くないです。

5 教室で演奏

教室に楽器を置いておくと、休み時間などに子供たちが自主的に演奏を始めることがあります。一人が演奏をしはじめるとどんどん他の子供たちが参加し始めて、大盛り上がりになりました。指揮者がいた本番の音楽会より、クラスで盛り上がった休み時間の演奏がベストテイクだったなんてこともありました。本来、子供たちの力は素晴らしいし、音楽の力の素晴らしいのです。

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