本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、教材文を読む活動を通して、文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えをまとめる力を身に付ける。また、文章を読んでまとめた意見や感想を共有する活動を通して、自分の考えを広げる力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 文章の構成や展開、文章の種類とその特徴について理解している。
思考・判断・表現
- 「読むこと」において、文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えをまとめている。
- 「読むこと」において、文章を読んでまとめた意見や感想を共有し、自分の考えを広げている。
主体的に学習に取り組む態度
- 文章を読んで理解したことに基づいて自分の考えをまとめ、学習の見通しをもってメディアとの関わり方について話し合おうとしている。
単元の展開【全3次(5時間)】
第1次(1時)学習の見通しをもつ
① 教材を読み、問いをもつ。
教師:「今日から『想像力のスイッチを入れよう』という文章を読んでいきます。さて、『想像力のスイッチ』とは、どんなものなのでしょうか。」
(教材文を読んだ後)
教師:「この文章を読んで、考えたことや思ったことを教えてください。」
児童:「マラソン大会の例で、同じ出来事でも、何を大事と思うかによって、発信する内容がずいぶん違ってくるという話について、なるほどと思いました。」
教師:「みなさんは、どんなときに『想像力のスイッチ』を入れたいと思いましたか。」
児童:「SNSで投稿を読んだときです。」
児童:「私は、インターネットで調べ学習をするときです。」
教師:「どうして、そう思いましたか。」
児童:「この情報は、事実なのか、それとも印象なのかと、見極める必要があると思ったからです。」
児童:「もしかすると、インターネットでは、偽の情報が発信されていることもあるのかと思ったからです。」
② 単元の目標を確かめる。
教師:「『想像力のスイッチ』についての理解を深め、メディアとの関わりについて、友だちと考えを伝え合いましょう。」
③ 教科書に、段落を書き込む。
※一字下がっているところが段落の始まり。全部で16段落。
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、文章全体を三つのまとまりに分けましょう。」
第2次(2時)文章全体を三つのまとまりに分け、述べられていることを簡単にまとめる
① 学習の見通しをもつ。
教師:「文章全体を三つのまとまりに分けましょう。」
② 個々で文章全体を三つのまとまりに分けてみる。
教師:「分けるのが難しいときは、文章の始まりの言葉に注目してみましょう。例えば、3段落の始まり『このように』や、4段落の始まり『これは』は、前の段落から話が続いていますね。逆に、新しい話題が始まったときは、どんな言葉で始まるのでしょうか。」
③ どのようなまとまりになったかを発表し、正答を確かめる。
教師:「どのようなまとまりになりましたか。」
※ 答えは、①②③④⑤⑥/⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭/⑮⑯
教師:「なぜ、そこで分かれたのですか。」
児童:「前の段落までは、サッカーの新監督の話をしていたけれど、この段落ではしていないからです。」
④ それぞれのまとまりで述べられていることを簡単にまとめる。
教師:「はじめのまとまりでは、どんなことが述べられていますか。」
- 一つ目のまとまり:マラソン大会の話、図形の話
- 二つ目のまとまり:サッカーの新しい監督の報道
- 三つ目のまとまり:メディアの側も、情報を受け取る側も、それぞれに努力が必要だということ
⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、筆者の考える「想像力のスイッチ」とは何か考えましょう。」
第2次(3時)筆者の考える「想像力のスイッチ」とは何か考える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「筆者の考える『想像力のスイッチ』とは何でしょうか。筆者の意見を整理しながら考えましょう。」
② 筆者が挙げた事例と、それに対する筆者の意見を整理する。
教師:「筆者は、どんな事例を挙げていましたか。」
- 事例①:学校のマラソン大会の話
- 事例②:図形の話
- 事例③:サッカーの新監督の話
教師:「学校のマラソン大会の話では、筆者はどんなことを述べていますか。」
- 同じ出来事でも、何を大事と思うかによって、発信する内容がずいぶんちがってくる。
教師:「図形の話では、筆者はどんなことを述べていますか。」
- 切り取られた情報だけから全体を判断したことによる思い込みがある。
- このような思い込みを減らすために、「想像力のスイッチ」を入れてみることが大切。
教師:「サッカーの新監督の話では、筆者はどんなことを述べていますか。」
- 結論を急がないこと。
- 一つ一つの言葉について、事実か印象かと考えてみること。
- 他の見方もないか想像すること。
- 伝えていないことについても想像力を働かせること。
教師:「筆者の言いたいことが中々見つからない時は、文章の始まり方や語尾に注目してみましょう。例えば、『さらに大切なのは、』や『~が大切だ。』という言葉が、文章中に隠れていますよ。」
③ 「想像力のスイッチ」とは何かを考える
教師:「筆者の言う『想像力のスイッチ』とは、何のことでしょうか。筆者が述べたことから探してみましょう。」
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、メディアとの関わりについて、自分の考えを書きましょう。」
【プリント例】

第3次(4時)メディアとの関わりについて、自分の考えを書く
① 学習の見通しをもつ。
教師:「メディアとの関わりについて、自分の考えを書きましょう。」
② 「もっと読もう」を読む。
教師:「メディアにはどのような特徴があるのか、ジャーナリストの池上彰さんのインタビューを読んで、自分の考えをまとめましょう。」
③ 自分の考えをまとめる。
教師:「『想像力のスイッチを入れよう』や『もっと読もう』を読み、これまでの経験を振り返って、メディアとの関わりについて、自分の考えを書きましょう。自分の考えを書くときは、次のような視点をもって書きましょう。」
- 共感したことや、疑問に思ったこと
- 自分の知識や経験などをもとにした考え
- 今後、メディアとどのように関わっていくか
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、自分の考えを友だちと読み合いましょう。」
第3次(5時)友だちと交流する
① 学習の見通しをもつ。
教師:「自分の考えを友だちと読み合いましょう。そして、お互いの考え方の似ているところや、違うところを見つけましょう。」
② 書いたものを読み合い、付箋でコメントを残す。
教師:「書いたものを読み合って、付箋でコメントを残しましょう。似ている考えには、青色の付箋、違う考えには、赤色の付箋でコメントを書きます。」
③ 交流を通して、考えが新しくなったり深まったりしたことを発表する。
教師:「お互いの考えを読み合って、考えが新しくなったり深まったりしたことはありましたか。」
児童:「筆者の下村さんの述べていた思い込みについて、これから自分も気をつけようと思う気持ちが生まれました。さらに、〇〇さんの考えを読んで、同じ文章だったとしても、受け手によっては違う受け止め方をすることがあることに気づきました。……」
授業をふりかえって
本授業の5時間目の交流活動では、お互いのコメントを付箋で残す形にしており、自分と似ている考えには青色の付箋、違う考えには赤色の付箋と色分けをしている。色を分けることで、コメントを読み返した時に、児童が多様な視点を認識する支援となると考えた。特に、赤色の付箋は、新しい視点に気づきやすくするもので、自分の考えを広げたり深めたりするきっかけになることを、児童たちに伝えてほしい。
参考・引用図書
光村図書『国語 五』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/9417/1031/3731/06s_k_nenkei5_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。
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