【小1道徳】「もうすぐはるです」の授業アイディア

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目次

1 はじめに 

本教材「もうすぐはるです」は、小学校学習指導要領解説「特別の教科 道徳(平成29年7月)」の内容項目D「自然愛護」に該当する教材です。

自然愛護の授業づくりは、子どもたちが自然に親しみ、自然を大切にしようとする心を育てる視点が重要です。  

以下の4つのポイントを心掛けて授業づくりをしていきましょう。

子どもたちの体験と結びつける 

子どもたちにとって身近な自然を取り入れると、自然愛護を自分事として考えられます。
学校の周りの木や草花、公園の生き物など、子どもたちが日常的に接している自然を題材にすると良いでしょう。

また、子どもたちの実体験を取り入れた話し合いも自然愛護の授業に効果的です。
校庭の落ち葉掃き、花壇の手入れ、ゴミ拾いなどでの体験を授業に組み込むと、「自然を大切にしたい」「自然を守りたい」といった実感を伴った学びができます。

「なぜ自然を大切にするのか?」を考える

自然と人間の関わりに着目した話し合いも自然愛護の授業に有効です。
自然(空気・水・食料など)が私たちの生活にどう役立っているかを考える場面を設定し、「なぜ自然を大切にするのか?」と、子どもたちに投げかけてみましょう。
中学年以降の社会科や総合の学習と関連させても良いですね。
自然のありがたみに気付き、子どもたちが自然を大切にしようという心を育てる授業づくりを心掛けます。

自分にできることを考える

「ゴミを捨てない」「生き物を大切にする」「節水・節電する」などの小さな行動の積み重ねが、自然を守ることにつながります。

環境保護の視点で自分ができることを考えるのも、自然愛護では重要なテーマです。  
学年の実態に応じて考えさせていきたいですね。

感性を育む

自然の美しさやすばらしさは理屈抜きに感動します。
絵本や写真、映像を活用して、自然の美しさや不思議、魅力を子どもたちに感じとらせていきましょう。

4つのポイントを押さえた授業づくりで、子どもたちの「自然を大切にしよう」という気持ちを育みましょう。

2 教材、あらすじ、授業のねらいについて

  • 小学校1学年 道徳科 主題名「しぜんと なかよく」
  • 教科書 東京書籍 『新しい道徳』「もう すぐ はるです」
  • 内容項目 D-(18)自然愛護

あらすじ

「もうすぐはるです」には5枚の写真が掲載されています。

①雪が溶けて地面が見える様子
②ふきのとうが地面から出てくる様子
③梅の花が咲く様子
④ウグイスが鳴く様子
⑤満開の花の様子

5枚の写真は少しずつ春が近づいていることに気付かせる順序で掲載されています。

ねらい

身近な自然に親しみ、自然を大切にする心情を育てる。

3 授業の工夫

ここからは「もうすぐはるです」でできる授業の工夫を紹介します。

自然の美しさ・すばらしさを話し合う

自然愛護の心を育むには、自然の美しさやすばらしさを実感し、自然に親しむ態度を育てる視点が大切です。

教材の5枚の写真には、子どもたちが春の自然を想起しやすいものが掲載されています。
そこで、以下の発問で授業を始め、自然愛護への興味関心を高め、春の自然を思い巡らすようにしてみましょう。

T「どんなときに春が来たと思いましたか?」

C「桜が咲いたときに春が来たと感じました」
C「チョウチョが飛んでいたとき」
C「暖かくなったとき」

T「春が来たと感じたとき、どんな気持ちになりましたか?」

C「きれいなお花を見てワクワクしました」
C「うれしい気持ちになりました」

また、春が来たときの子どもたちの感情を問うことで、自然のよさへの気付きを促せます。

以下の発問は、自然の美しさやすばらしさに気付かせる発問です。

  • 「これまでに自然って『美しいな』と感じたことはありますか?どんなときでしたか?」
  • 「空や雲を見て『きれいだな』と思ったことはありますか?その時の空の様子を教えてください。」 
  • 「春・夏・秋・冬の中で、一番美しいと感じる季節はいつですか?その理由は?」  
  • 「花や木を見て感動したことはありますか?どんな花や木でしたか?」
  • 「海や川、湖などの水のある風景を見て感動したことはありますか?どんな景色でしたか?」
  • 「山や森に行ったとき、どんな風景が美しいと感じましたか?」  
  • 「朝日や夕日を見て感動したことはありますか?そのときの気持ちを教えてください。」
  • 「夜空の星や月を見て『すごい!』と思ったことはありますか?どんな空でしたか?」 
  • 「自然の中で見た動物や虫で『きれいだな』と思ったものはありますか?それはどんな生き物でしたか?」
  • 「自然の美しさを大切にするために、自分にできることは何だと思いますか?」  

これらの発問で、子どもたちが自分の体験を思い出し、多面的・多角的に自然の美しさについて考えるきっかけを作れます。

クラスの実態に応じて使い分けてみてください。

生活科と関連させる

家族旅行で美しい自然に触れた子、昨夜見た星空に感動した子、生き物や植物の自然に無関心な子など、1年生の自然体験は子どもによってバラバラです。

そこで、生活科での学びを授業に取り入れましょう。
1年間の生活科の学習を振り返り、それを本授業に生かしていきます。

生活科と結びつけるよさは、子どもたちが同じ体験をしているので意見を共感的に受け止めやすく、お互いに感じた自然の美しさやすばらしさを共有しやすくなります。

T「生活科の学習を思い出してみてください。きれいだな、すごいなと思ったことはありませんでしたか?」

C「アサガオの花が咲いたとき、とてもうれしかった」
C「春探しのときに桜がきれいだった」

T「秋探しをしたときはどうだったかな?」

C「モミジやイチョウがきれいだった」
C「松ぼっくりや栗がたくさん落ちていたよ」
C「秋は食べられるものが多かった」

生活科の学習で、子どもたちは自然への興味関心を高めています。
また、生活科の観察シートなどに感想や考えたことを書いてきているかと思いますので、今回の授業に活用しても良いですね。

子どもたちの感性を大切にした授業を

1年生の柔軟な感性を大切にした授業を心掛けましょう。

ポイントは以下の3点です

①「正解」を求めず、子ども一人ひとりの感じ方を尊重する
美しさやすばらしさの感じ方は人それぞれです。
感じ方の違いに配慮しながら授業を展開していきましょう。

②視覚・聴覚・触覚などの五感を活かした発問を心掛ける
自然体験を思い出させると同時に、「どんな景色だった?」「どんな匂いがした?」など、五感がどのように働いたかを聞いてみましょう。
自然へのよさに実感を伴って気付き、自然への尊重を深められるでしょう。

③「心が動いた瞬間」を大切にし、それを言葉にする場をつくる
「きれい!」「美しい!」だけではなく、「満開の桜を見たとき、どんな気持ちだったかな?」など、心がどのように変化したかを問う発問も効果的です。
「自然に力をもらったから自然を大切にしたい!」
そんな気持ちに子どもたちがなれると良いですね。

執筆者プロフィール

マー

小学校教員を15年務めた後、フリーのWEBライターに転身。教員時代は安全主任、体育主任、生徒指導主任、学年主任を担当。現在は「物事のよさをより多くの人に」をモットーに教育系記事、金融系記事を主に執筆。趣味は野球観戦とランニングで、野球やマラソン・駅伝を応援するブログを運営している。

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この記事を書いた人

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