『教育実習完璧ガイド: 実習生・受け入れ校必携』著者インタビュー!➁

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目次

1 はじめに

こちらは、『教育実習完璧ガイド』の著者の一人である、文京学院大学外国語学部教授、早稲田大学教育学部講師の小泉博明先生へインタビューをした記事です。教育実習を控えている学生の不安や疑問に答えた『教育実習完璧ガイド』について、その活用法や特徴などを詳しく伺いました!

「『教育実習完璧ガイド: 実習生・受け入れ校必携』著者インタビュー!①」はこちらから。

2 『教育実習完璧ガイド』の紹介

小学校・中学校・高校すべてに対応した、教育実習生に必須の一冊!実習中のマナー、授業のポイント、学習指導案や実習日誌の書き方など、実習生がよく悩むポイントをわかりやすく解説しています!

詳しくは『【おすすめ書籍】教育実習完璧ガイド(小中高完全対応)』から。

「教育実習完璧ガイド: 実習生・受け入れ校必携」(教育技術ムック)
編著/宮崎 猛、小泉 博明
定価:本体1,600円+税
発売日:2015/03/02
詳細:小学館BOOKSHOP

3 インタビュー

Q5.『教育実習完璧ガイド』は教育実習生だけではなく、「受け入れ校必携」とありますが、それはなぜでしょうか?

受け入れ校の先生は非常に忙しいなかで、報酬もなくボランティアとして、教育実習生の面倒を見てくださいます。先生方は嫌な顔をしていないように見えますが、相当大変だと思いますよ。授業や子どもとの関わり方がうまくいかない教育実習生もいるかもしれません。ところが、そういった学生がいたとしても、「もうちょっと指導してやれよ」「担当の先生がちゃんと指導しないからできないんだよ」というように担当の先生の責任になってしまう雰囲気も職員室にあるんです。本当はそうではないのに、ですね。

それに加えて、3週間の教育実習後の事後処理も大変です。うまくできなかった部分に関しては、フォローしなくてはいけないですし、指導してあげなければいけないところを、指導しきれなかったりする時もあるのです。学校のテストがその後に、控えていたりする時などは、もっと大変です。

受け入れ校の教育実習担当者の方にも読んでいただくことで、指導のポイントが分かり役立つのではないかと思います。『教育実習完璧ガイド』に基づいて、「ここはこういうふうにすると良いよ。」と言えますし、さらに言えば、実習生が来たら、「君これ読んでないの?」「分からないことがあったら、読むと良いよ。」と助言してあげてほしいですね。

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Q6.教育実習や教員採用試験までのイメージができていない、と言う学生が私の周りの教育実習に臨む学生の中でとても多かったです。教育実習や教員採用試験までのスケジュール感はどのようになるのでしょうか?また、「教育実習」に行く前にどのような準備、勉強をしておくべきか、教えてください。

6月に教育実習を終えて、教師への志望が堅固になったという話をよく聞きます。しかし、現実には7月に教員採用試験があり、その段階から準備をしても間に合いません。

教師になるための総仕上げが「教育実習」なのですから、そこから逆算して、1年生から教員採用試験までの見通しを立てる必要があります。しかし、大学で行う教職課程と教員採用試験は乖離していますね。大学の教職だけを学んでも、教員採用試験の問題は解けません。学習指導案の書き方については、教科教育法で学ぶので大丈夫だろうとは思いますが、そういったことに早くから気付いて、早めの準備が必要だと思います。
繰り返しになりますが、学力的な面だけでなく「挨拶・元気・笑顔」のない大学生は困りますので、メンタル面も含めて教育実習に向けて準備してもらいたいと思います。

また、「学校インターンシップ」などにも積極的に参加し、「教育実習」までに、教師の仕事を把握してほしいと思います。「学校インターンシップ」は以前はありませんでしたが、実際に学校に行って先生のサポートや授業をなどをできるのですから、これを利用しない手はありません。「学校インターンシップ」に行かないで実習に行く学生と、経験してから実習に行く学生とはだいぶ違うと思いますよ。同じように、企業でも企業インターンシップがありますし、実際に経験してみて見えてくるものがきっとあるはずです。

他にも、『新任の教師の仕事(中高版)』(小学館)など授業のやり方や先生が一人前になるための本を読み、教師の仕事を多角的に知ることも重要です。ただ、昔の職人さんではないですが、教員にしても授業のやり方などの技は盗むものだと思います。教えられずに、手に取って住み込みで働いている中で先輩がやっているのを見て、昔の職人さんは技を盗むわけじゃないですか。本来は教員もそういった面があると思いますよ。

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Q7.「学校インターンシップ」と、先生としてではなく先生や子どものサポートとして入る「学校ボランティア」では、何か違いはあるのでしょうか?

「学校インターンシップ」は先生の仕事のサポートであり、「学校ボランティア」は子どもたちのサポートが基本です。例えば、サッカーの専門家がいないからボランティアで教えに行くというのも学校ボランティアの一種です。「学校インターンシップ」と「学校ボランティア」では少し狙いが違うと思いますね。

ただ、どのような手段でも学校との関わりを持つことが大切なので、学校ボランティアでも参加した方が良いと思いますよ。

最近は、土曜日などに自分の地域の学校を自由に参観して良い公開授業というものもありますよ。こういう場にもやはり行った方が良いと思います。学生生活で授業を見る機会はないですよね。自分が授業をするのに、他の人の授業を見た経験がないというのは良くありません。私自身も豊島区在住なので、区報の小中学校の公開授業日一覧表を見て、授業見学に行ったことがありますよ。自由に行けるわけですから、ぜひ利用してください。

他にも学校と関わる場は、探せばいくらでもあると思います。例えば、プールの監視をする人がいなくて、先生が困っているという話をよく聞きます。多忙な先生方にも、そういった学生さんの手を借りたいという思いはあるはずなので、ぜひ積極的に学校と関わる場に参加してみてください。

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Q8.大学でも教育実習や教員になるために、例えば教科教育法での模擬授業などで、準備していくと思います。その中で、大学の授業と教育実習本番での1番のギャップは何でしょうか?

教育実習中は、学生ではなく先生になります。大学での模擬授業は学生気分でできますが、教育実習中は生徒から見れば先生なのです。従って、それだけ大きな責任があるということです。その点が1番の大きなギャップだと思いますね。自分は教育実習生だから駄目でもいい、という気持ちは絶対にいけません。生徒は、それを許してくれないと思った方が良いですよ。もちろん本当の先生とは違いますが、それぐらいの気概を持って教育実習に臨んでほしいと思います。

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Q9.最後に『教育実習完璧ガイド』を手に取ってほしい、教育実習に臨む学生や受け入れ校の先生に対して、メッセージをお願いします!

教育実習に臨む学生に対しては、緊張すると思うのですが、禅宗の言葉で言う「和顔愛語」を忘れずに子供と接し、先生の仕事を把握してください、と伝えたいです。優しい笑顔と優しい言葉で、子どもたちと接してほしいな、と思います。

受け入れ校の先生に対しては、私たち大学の担当教員からは「ありがとうございます」の感謝の一言に尽きますね。いつも学生の面倒を見ていただいて、ありがとうございます、という思いです。受け入れ校の先生方はとても大変だと思います。報酬ももらえないプラスアルファの仕事ですから、本当に感謝の一言です。

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これより前のQ1~4はこちらから。

4 小泉博明先生プロフィール

小泉博明

文京学院大学外国語学部教授 博士(総合社会文化)
 早稲田大学教育学部講師(非)

早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒業、日本大学大学院総合社会情報研究科博士後期課程修了、日本私学教育研究所委託研究員、早稲田大学教育学部非常勤講師、東京大学教養学部非常勤講師を経て現職。

~主な著書~

  • 『高等学校改訂生徒指導要録・調査書・推薦書 記入法と文例集—多忙をきわめるホームルーム担任必携! (教育技術MOOK) 』(小学館)
  • 『即効!教職教養 2016年度版 (教育技術MOOK 教員採用試験完全突破シリーズ) 』(小学館)など

「教育実習完璧ガイド: 実習生・受け入れ校必携」(教育技術ムック)

「高等学校改訂生徒指導要録・調査書・推薦書 記入法と文例集—多忙をきわめるホームルーム担任必携! (教育技術MOOK) 」(小学館)

「即効!教職教養 2016年度版 (教育技術MOOK 教員採用試験完全突破シリーズ) 」(小学館)

5 取材を終えて&編集後記➁

教育実習では、ボランティアやお手伝いとしてではなく、学生でも教師と同じように子どもと関わります。実習前には、授業や子どもとの関わり方など、不安がたくさんあると思います。

『教育実習完璧ガイド』には、指導案の書き方から、職員室での先生方との関わり方などが細かく書かれています。この本を読めば、教育実習へのイメージが鮮明になり、しっかりと準備をして教育実習に臨めるはずです。

また、小泉先生が教育実習生にとって最も大切だと考えるのは「人とのコミュニケーション」「挨拶、笑顔、元気!」という言葉が印象的でした。授業のやり方といった技術面よりも、人との関わりが教育の根本なのだと改めて感じました。

教育実習は一生に一度の大切な機会です。全力で子どもと関わり、自分の成長につながる有意義なものにできるようにしたいですね。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 大和信治 宇野元気)

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