協同的な授業研究(保護者懇談会・体育)~ティーチャーズ・イニシアティブ~

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目次

1 はじめに

一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブの「21世紀ティーチャーズプログラム」に参加された、山下揺介先生(埼玉県小学校教諭)にお話を伺いました。

山下先生は東京学芸大学を卒業され現職。“人としてどうあるべきか”、“何を学ばせるのか”に注目し、特に保健の授業においては子供の実生活と関連付けた授業を実践しています。

*『一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブ』とは、「先生こそが真に未来をつくることができる」という考えの元、米倉誠一郎先生(一橋大学名誉教授 )鈴木寛先生(文部大臣補佐官)らを理事に迎え、産学官が協同して立ち上げたプロジェクトです。「主体的かつ創発的に学び、成長する教師を支援する」をミッションに掲げ、21世紀型の学びを探求する先生向けのプログラム、21世紀ティーチャーズプログラムを全国の先生にむけて提供しています。→詳しくは、こちらをご覧ください。

2 インタビュー

〇「21世紀ティーチャーズプログラム」

プログラム参加のきっかけは、友人のひとこと

——どのような経緯で「21世紀ティーチャーズプログラム」に参加したのですか。

山下先生:もともとクエストカップ未来教育会議など、教育と探求社が主催するイベントに参加しており、(小学校でも何か探究的な学びが活かせるのではないか。)と考えていました。

本題である「21世紀ティーチャーズプログラム 1期生」への応募は、2016年7月23日に開催されたティーチャーズ・イニシアティブのシンポジウム「シフトする教育~未来をつくる教師」に参加してから判断するつもりでした。しかし私用のため急遽シンポジウムに参加できなくなり、プログラム応募の決断に二の足を踏んでいたのですが、教育と探求社を紹介してくれた高校時代の友人が

(友人)「きっとお前には、社会のつながりや“同じ思いを持っている人たちがいるんだ”と知ることが絶対に必要だから、ティーチャーズ・イニシアティブに参加してそれを感じてほしい。」

と後押ししてくれたので、それがきっかけでプログラムへの参加を決めました。
ティーチャーズ・イニシアティブ宛てに申込書を送ったのは、申込み締め切り日の前日でした。

〇山下先生の授業実践−保護者懇談会編−

保護者の方々に、何か1つでも“お土産”を

山下先生:「21世紀ティーチャーズ・プログラム」の活動の中で、「どんな学校を作りたいか」という自分のアクションプランを作りました。そのプログラムの経験を顕著に活かせたのは、保護者懇談会です。今まで私が行ってきた懇談会は、面白い話を織り交ぜながら子供たちの学習や生活の様子を保護者の方々に共有するという、保護者が教員の話を一方的に聴く受動的なものでした。しかしプログラムを受けて、①保護者の方々が周りの参加者と話し合う時間、②自分の考えを書き出す時間、③グループや全体での交流の時間などを設け、「お父さん,お母さんみんなで“家庭教育”とは何か考えましょう。」という参加者が能動的になれる内容に変えました

また、今までは工夫や趣向を凝らした授業案を作成しても、(自分が受け持つクラスのみ実践すればよい)と考えて行動していました。しかし今回の懇談会では「私は懇談会でこのような取り組みをしたいと思っているのですが、どうでしょうか。」と隣のクラスの担任教諭にも相談し、2つの学級で同じ内容の懇談会を開きました。自分のクラスのみで取り組んでいた自分が、他のクラスや周りの人を巻き込んで取り組んでいこうという意識に変わったのも「21世紀ティーチャーズプログラム」の活動の中で身についたことだと思います。

懇談会に来ていただいたからには(資料だけではなく、何か1つでも“お土産”を持って帰っていただきたい。)と思い、懇談会の内容を工夫するようにしています。

山下先生の「保護者懇談会」__その具体的な流れとは?

【 山下先生の「保護者懇談会」 】__その具体的な流れとは?

⓪グループは児童の生活班と一緒(4人ずつ)

①対象の本質を問う (各グループ会話5分+カード記入5分)

→「何のため?」=今回のテーマは「家庭での教育は何のため?」

* 児童の実態(アンケート統計結果)から家庭学習の現状を伝える。

* 文部科学省生涯学習政策で推進している事業『子供たちの未来をはぐくむ家庭教育』の紹介

②カードづくり

→対象(家庭教育)について考えるための論点をできるだけ沢山出す。(自己開放)

③グループで人数×3枚に絞る。(5分)

→1人に3枚ランダムに配る。

④グループ内共有(13分)

→各自が話したいor話せるカードを選んで話す、もしくは意味のわからないカードについてグループに質問を投げかけてもOK。

※制限時間まで繰り返す。

※グループで意見を1つにする必要はない。

※教師は、熟議が深まるように参加者の思考を揺さぶり、固定観念を崩す。

(教員の指示は明確に、かつ自分の考えは押し付けない。挙げられた意見を整理し、予定している全体の流れを確認する。これらを意識しながら話し合いが時間内に終わるように場をコントロールする。)

⑤一番盛り上がった論点を1つ選ぶ。(2分)

⑥共創ワーク(10分)

→⑤について全体で発表。

※発表したいグループから始める。

※ある論点について発表した最初のグループに対してフロアから付け足しをしていく。

※ここでの発表の主な内容を板書していく。

⑦いくつかの論点に関する情報を提供する。(5分)

* 文部科学省「家庭教育手帳」

* 千葉県教育委員会「家庭学習のすすめ」

* 森信三「子供の躾」

⑧リフレクション(5分)

* 自分の変化

* さらなる変化を起こすための具体的な行動

懇談会を終えてのレポート

山下先生:⑤(一番盛り上がった論点を1つ選ぶ)では、全6グループのうち、

  • 『会話を大切にする』
  • 『相手の気持ちを考えて発言する』
  • 『お手伝い×3グループ』
  • 『早寝早起き』

という論点が挙がりました。そこで、全体で多く挙がった『お手伝い』について、「お手伝いは何のためにやるのか」という視点で発表していただくと、

  • 「子供の自立のため」
  • 「将来のため」
  • 「相手を思いやり行動できるようにするため」
  • 「お手伝いすることは当たり前だけど教えてあげなければできない」

という意見が出ました。(どんなお手伝いをしているのか。)(いつ頃からやってるのか。)等を共有できたことは、保護者の方々にとっても参考になったようです。

最後は、『会話』について話が盛り上がりました。「子供と会話する中で、あいさつや相手のための行動を教えることができる」という話から、最後に各グループで家庭での会話を大切にしているか、今後どうしていくかについて話し合いました。

実際に懇談会に出席した保護者の感想(一部紹介)

  • 大人、子供、それぞれに世界があり、お互いが感じる事も違ったり。全ては会話から始まる。もっと、たくさん子供としゃべろう。
  • 普段特にあまり深く考えずにしていることも教育の一つなんだと気づかされました。会話は1番したいですが、1番難しくあきらめていることのような…。子供は望んでいないのかなとも思っていましたが、もう少しやり方を変えていこうかなと思いました。
  • 今まで、改めて家庭教育について考える機会はなかったので、他のお母さんたちのお話も聞けてもう一度考えるいい時間でした。子供ともっと会話する時間を増やしていけたらいいと思います。
  • 「会話を大切にする」にもいろいろな角度から話を聞くことができました。私はついつい話の途中で横やりを入れてしまいがちでした。まずは、話を最後まで聞くこと、その対応の仕方に改めて感心しました。私もきっちりと話を聞く努力をして、子供の考えを知っていこうと思いました。会話、コミュニケーションはとっても大切ですね。
  • 他の家族の大事にしていることを知ることができました。自分の家でも真似できる内容もありました。いいなと思うお手伝いの方法など勉強になりました。自分で話していても家族の笑顔が大事だなあと思いました。

山下先生:親御さん同士が自分事として主体的に話し合う姿が見られた懇談会でした。参考になれば幸いです。

〇山下先生の授業実践−体育編(小5)−

体育では“何を学ばせるのか”に原点回帰

山下先生:私は小学校5年生の保健の授業を全学級でやらせていただいたのですが、プログラム参加前は「主体的・対話的で深い学び」を意識して、子供たちの活動をメインに授業を行っていました。しかし“活動あって学びなし”と言われるように、(子供たちは活動を楽しんでいた様子だけれど、学びは深まっていたのだろうか。)と疑問に感じるようになったのです。(このままではいけない。)と思い、まず「“深い学び”とは何だろう」というところに焦点を当てました。改めて保健の授業案を作成する際に意識したことは“活動あって学びもある”という、子供にとって楽しい授業にすることでした。

これが実際に自分の授業を作る時のノートです。


(写真1)授業案等を記したノートの説明をしてくださる山下揺介先生

  • そもそも保健学習とは何なのか
  • 保健学習と保健指導の違いはなにか
  • 学習指導要領にはどう書いてあるのか

ということを自分なりにまとめています。
学習指導要領のなかで私が注目したキーワードは、「身近な生活」「実践的な理解」という部分です。この2つは保健学習で言われている文言と、保健学習の学習展開の基本的な方向として大切なポイントです。

小学校保健の学習指導要領には、

「基礎的な身体能力を身に付け、実生活において運動を豊かに実践していくための資質や能力の基礎を培うとともに、身近な生活における健康・安全に関する内容を実践的に理解できるようにすることを重視して、次のような改善を図る。」

(出典)文部科学省『小学校学習指導要領解説 体育編』

と記載されています。

「身近な生活」というのは本人が自分で見える生活の一部であること,現象として起こることなので、「実践的な理解」というところで、特に子供の実生活と関連付けながら身近な事柄を取り上げて考えさせることを意識しました。

私が学習指導要領を参考にする際に注意しているのは、学習指導要領に書いてある文言を深く読むということです。学習指導要領は「理解できるようにする」,「必要に応じて」,「取り上げる」,「適宜取り入れる」など語尾が繊細に使い分けられているのです。私は学習指導要領の語尾に赤線を引き、「ここは絶対に押さえなければいけない」,「ここは選択して扱う内容なのか」,「ここは主たる学習内容を伝えたうえで扱うんだ」というように、ぶれない軸として教える内容を分類しています。

基礎基本は当たり前ですが、「活動を楽しんでいる」というところに目が行きがちです。授業を組むうえで、(これは絶対にぶれてはいけない)という軸ができたので、活動でただ楽しいのではなくここはしっかり教えるとか、ここは押さえるとか触れる、というようにそもそも何を学ばせるのかということに戻りました。

——軸が決まっていると授業も“やりやすい”ですよね。

山下先生:そうですね。例えば、授業時間が全部で5時間ですと、(今日はこれ、明日はこれ……)いうようにその時間における学びのゴールが定まるので、(この1時間はこれだ。)という見通しが明確になり、授業が“やりやすく”なるのではないかと思います。

山下先生の「体育」授業 大切にしていることとは?

①1時間ごとの学習内容と指導の重点が明確になっている
 ②子供たちの動きから考えさせ、子供と一緒に創っている。

【体育の「跳び箱」指導】

①その時間における学びのゴール(=技能ポイント)を子供たちから引き出す。(課題発見)

教員:「前回は3段から4段に段数が上がって体を反ることを意識したね。そのときに、どんな課題が出た?」

子供:「着地が安定しなかったです。」

教員:「そうだね。高さが出ると着地が難しくなるよね。今日のポイントは着地だよ。」

②動きのコツや運動に有効な声かけの共有化によって、技能ポイントを理解する。

教員:「○○さんがとても上手だがらみんなで見てみよう。」

子供:モデリング①

教員:「○○さんのどこが上手だった?」

子供:「着地が上手でした。」

教員「そうだね。着地が上手だよね。じゃあもう一度跳んでもらうから今度は○○さんの膝をを見てね。」

子供:モデリング②

教員「○○さんの膝どうだった?」

子供:「膝がくの字になっていました。」

教員:「膝がくの字みたいに曲がっていたね。じゃあ、最後に○○さんの膝が曲がって安定した着地になっているところを見てみよう。」

子供:モデリング③

教員:「○○さんの着地は膝が曲がって安定していたね。す ばらしい。じゃあ、学び合いのポイントを膝が曲がっているかに絞って見てみよう。」

③運動の特性がわかると、グループでの声かけが活発になり、学び合いが深まる。⇒できるようになる。

子供:「○〇さん、着地のとき膝が伸びているから曲げてみよう。」

子供:「〇〇さん、跳ぶ前にもう一度膝を意識してみようね。」

子供:「みんな、私の課題は膝が伸びてしまうところだから、上手くできるか見ていてね。」

子供:「膝がくの字になっていて、すっとした感じで着地できていたよ。」

“周りと協同した授業研究”

——子供たちや保護者の方も含め、先生方など周りの反応は得られましたか。

山下先生:そうですね、保護者の反応でいうと、保健の授業のワークシートを、保護者を巻き込む形で作りました。


(写真2)「けがの防止」ワークシート外面(三つ折にできる)


(写真2)「けがの防止」ワークシート内面(三つ折にできる)

山下先生:このように折り畳むと、左側には「学習前の何も勉強していない段階の考え」、右側には「授業後の段階の考え」が、この1枚で見通せるようになっています。そうすると明らかに自分の知識が増えたことを自覚できるのです。

「分かったこと」「“どのくらい理解できたか”ということ」、そして保健の授業での学びは実生活で活用してほしいので、「どのように活用させていきたいか」を振り返らせています。

授業が終わった後に授業を通しての子供たちの感想と、保護者にコメントをいただきます。これは保護者にとって、「こんなことを勉強しているんだ」「この授業って本当に大切ですね」と分かっていただける、とても重要な場になっています。これで学校が何をしているか分かり、自分の子供がどれだけ理解しているかが分かり、子供との『会話』も生まれます。実際に保護者からはコメントをたくさん書いていただくことができたので、とてもよかったですね。

——この教材は「21世紀ティーチャーズプログラム」参加後に作ったのですか?

山下先生:元々は市内の小学校体育連盟に所属している体育主任の中で作られたものなのですが、小学校体育連盟での学びとティーチャーズ・イニシアティブの学びを複合させてより良いものを作ろうと思いました。素地は先輩方が作ってくれたものを参考にして自分なりのアレンジを加えました。

その際、自分一人で取り組むのではなく、同じ小学校の養護教諭や同じ市内で体育の指導を勉強している先生に、「一緒にやろうよ!」と声を掛けました。そういった姿勢もティーチャーズ・イニシアティブを通して学んだことの一つでもあります。今までの私は、1人狭い範囲で授業研究をしていました。しかし全国各地から集まった方々と出会って、

(自分と同じ思いを持っている人がいるんだ、やろうと思えば色んなことができるんだ。)

と実感したことで、(1人でやるのはもったいないな。)と感じるようになったのです。1人だと限界がありますが、2人,3人になると視点が増えて、お互いに学び合えるのでプラスになりました。

———そのように周りの方々を巻き込むうえで、大変だと感じたことはありましたか。

山下先生:そうですね。各自所属する学校があり忙しいので、ある程度の“思い”がないと一緒にできないことですね。私は市内の理事長をやらせて頂いていることもあり、意識的に組織運営に取り組んできました。その中で私は(周りの先生方と比べて自分の体育の専門知識が少ない。)と感じているので、周りを巻き込む力を使ってみんなで何かをしようと考えていました。実際に周りの先生方に声を掛けたときに先生方が「山下先生が言うなら!」と快く協力してくれたことはとても嬉しかったですね。

授業実践後に指導内容を報告する際、先生方にこのノートを共有しました。

山下先生:ノートの中に、実際の授業で子供たちが自分の考えを書いた付箋を貼っています。そうすると、「なるほど、この実践はいいよね。」というように他の先生方とも共有できているので、それは大事なことだと思いました。「やって終わり。」ではなく、「やってこうだった。」、「子供はこういう風に変化していた。」、「こんな表情だった。」と共有できるのは意義のあることだと思いました。

———プログラム後のご自身の実践を振り返り、改めて「21世紀ティーチャーズプログラム」に参加してどのように感じていますか。

山下先生:「21世紀ティーチャーズプログラム」の活動を振り返ると、(知識を貰いに来る場所。)や、(ここにくれば何か教えてもらえる。)というプログラムではなかったように感じます。要するに、(自分達からいろんなことをしていくんだな。)という考えに変化したのです。「21世紀スキルを学びます」という名目に魅力を感じて取り込みにいくのではなく、「自分達で見つけていこう。」ということですね。「必要な知識はもらうが、それで自分は何がしたいの?」ということを考えられたことが楽しかったです。途中で壁に行き当たり葛藤もありましたが、仲間と乗り越えられた経験は貴重で、大きな達成感を得ることが出来ました。教育は学校だけ行われるものではなく社会みんなで作っていく意識が当たり前になれば良いなと思いました。

———山下先生も参加された「21世紀ティーチャーズプログラム」の2期生が募集されていますが、参加を検討している先生方にひとことお願いします。

山下先生:自分の学校の中で頑張っているんだけど悩んでいる人や、学校の中だけでいっぱいいっぱいの方学校の中では頑張っているけど外には出ていない方々がいると思います。そういう方たちにはぜひ出てほしいと思います。合宿はとてもリーズナブルな額にもかかわらず、大学の先生や、企業の方などのスペシャリストから教えていただくことができます。

しかし実際のところ、この「21世紀ティーチャーズプログラム」が自分の興味・関心を満たすものになるかどうかは、プログラムに参加してみなければ計り知れません。私は普段、子供たちに「何もやらないことは“失敗”ではなく“失態”だ。」と教えています。まず足を踏み出すチャレンジが大切です。

私は「21世紀ティーチャーズプログラム」に参加して、企業や大学にお勤めの方など高い志を持った方と出会ったことで、(こんなに近くに仲間がいたんだ。)と、自分の“ふるさと”のような自分の居場所に近いものを感じました。ぜひ全国の先生方に参加していただきたいと思います。

〇【最後に】山下先生の教育観

キーワードは“人間力”

山下先生:これから社会で活躍する30代に向けて言いたいことは、

“人間力”をつけた方がいいということです。

学校現場だけではなく企業でも必要な能力としてコミュニケーション能力の重要性が謳われていますが、「傾聴」の姿勢など“人としてどうあるべきか”という日本の文化・歴史を重んじる気持ち—そのような“人としての振る舞い”ができるようにならなければ頭でっかちになってしまうように思います。もちろん、知識・技能も身に付ける必要はありますが、特に“人間力”が、これからの時代に求められるのではないかと思うのです。

クラスの掲示板の“名言集”(道徳の授業の最後に出た言葉)にも掲示しているのですが、「いつでも世のため人のため」「聴く」は「見る」(→「聴くときは人の方を見る」ということ)、「自分もよくて皆もいい」というのが学級活動とか、そういう意識や姿勢が“人間力”に表れてくるのではないかと思います。

——山下先生は、クラスの子供たちの“人間力”も伸ばそうと心掛けているのですね。

山下先生:私にはそこまで大層なことはできません。ただ、私が(人としてこれが必要だ。)と思うことは、子供たちに等身大の立場で伝えます「よいものはよい。」「悪いものは悪い。」といったスタンスなので、「先生はこう思うんだよね、みんなはどう思う?」とか「こういう風にやっていったほうがいいよね?」とか、普段の生活や道徳などの授業でバランスを保ちながら考えさせるようにしています。

3 編集後記

取材の際、山下先生が担当しているクラスを実際に見させていただきました。クラスの隅々まで工夫が施されており、山下先生がティーチャーズ・イニシアティブを通して学んだように、児童が毎日楽しいだけではなく学びもあるクラスづくりがなされていたのがとても印象的でした。ティーチャーズ・イニシアティブは単に学びや意見を共有できるだけでなく学校現場に戻った時に「実践できる」ようなプログラムであると分かりました。教員はプログラムや研修に参加する機会は多々あると思いますが、「活動あって学びなし」ではなく児童と同じように教員自身も学び、行動に移すことが大切だと思いました。
(取材・編集 EDUPEDIA編集部 勘田真由)

4 関連情報

【第2期生募集】21世紀ティーチャーズプログラム

山下先生も参加された「21世紀ティーチャーズプログラム」では、現在第2期生を募集しております。プログラムでは豪華講師陣によって設計されたプログラムのなかで、能動的かつ実践的な学びを、講師や仲間とともに約半年間かけて探究していきます。

  • 21世紀型スキルに関心がある!
  • 志を同じくする仲間を見つけたい!などなど、どなたでも参加いただける内容になっておりますので、ふるってご応募ください。

【応募締め切り】2017年7月24日(月)24:00

→プログラムの詳細はこちらをご覧ください!

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