はじめに
本記事は、2026年1月発売の『教師の仕事の盲点 重要なのに意識にのぼらない41のこと』(明治図書出版社)について、著者の大前暁政が皆さまに紹介する記事となっております。
書籍について
◎概要
本書は、「教師の仕事」に関して生じやすい「盲点」を示し、解説したものです。どんな仕事にも、必ず「盲点」は発生しています。盲点だけに、自分で気づくことは大変困難です。そこで、重要にもかかわらず意識にのぼりにくい、教師の仕事の盲点を事例で示し、どうして盲点が生じるのか、留意点は何かを解説しました。
◎類書との違い
重要にもかかわらず意識にのぼりにくい「盲点」は、教師の仕事全般で発生しています。つまり、多岐にわたる「盲点」を抱えたまま、仕事をしている状態なのです。
類書との最大の違いは、「盲点」の事例を示し、留意点を解説しただけでなく、以下の点を盛り込んだところです。
①「仕事上の盲点」が発生するメカニズム
②「仕事上の盲点」をなくすための、理論と手順
このことを知るだけで、自分でも盲点を無くすことが可能になります。是非、本書をお読みいただき、この2つだけでも知ってほしいと願っています。
◎こんな先生に読んでほしい
「教師の仕事」に関して、網羅的に、多岐にわたって「盲点」の事例を紹介しました。
困ったことに「盲点」は、経験年数に関係なく発生しています。
若い先生もベテランの先生にも、分け隔て無く発生しているのです。
教師の仕事に、穴を発生させず、効果的な教育を行いたいという全ての教員に、必読の1冊となります。
特に重要なのは、「具体例」とともに、「理論」をも学ぶことです。本書は、学校関係者だけでなく、「教育に携わっている」全ての人に読んでほしいと願っています。

一部を紹介!
本書の骨格部分を紹介します。
①「教師の仕事の盲点」とは何でしょうか。また、どのように盲点が生まれるのでしょうか?
教室で授業をしていると、様々な子どもの行為が目につきます。
挙手したい子は、指が動きます。
意見を言いたい子は、口が動きます。
相談したい子は、隣の子を見て、「ちょっと」と声をかけます。
それぞれの子の動きを目でとらえられるかは、教師によって異なります。
子どもの動きが見える教師と、見えない教師がいるのです。
その行為に意味があると感じられないと、目に入っても意識にのぼらないからです。
このように、子どもの行為に意味があると知っている場合は、子どものちょっとした動きの見落としが少なくなるのです。
他の例も挙げます。
教室には、「余計な情報を隠して、今意識を集中したい情報だけに限定している行為」をしている子が必ずいます。
これも、見えている教師と、見えていない教師に分かれます。
見えていない教師は、目の前で子どもが「情報を隠す」行為をしていても、見えません。「余計な情報を隠す」行為は、その行為に意味があると感じないと、目に映っていても、意識にのぼらず、見逃してしまっているのです。
このように、私達は誰でも、何らかの盲点をもっています。この場合、知っているものや、何らかの概念として理解している物事以外は、見落としてしまっています。
これは1つの例ですが、「盲点」は、他にも様々な理由で発生します。
車のパーツに詳しくない人が、パーツを山ほど置いてある販売店に行ったとして、パーツを見ても何のことかわからないはずです。
目には映っているのですが、どういう意味があるのかわからないので、まったく違った物として理解したり、勘違いをしたりしてしまうのです。
これも、知らないものは認識できないという盲点の働きが生じている事例です。
本書では、教師の仕事に関して、盲点が生じている事例を41挙げました。
そして、盲点が生じるメカニズムも、詳しく解説しています。
②教師なら誰にとっても盲点は生まれるのでしょうか。ベテラン教師にも盲点は生まれるのでしょうか。
盲点は心理的なものです。心の働きから盲点が生まれます。このような盲点は、教師に限らず、誰にとっても生まれます。
各国の国家安全保障に関する機関では、仕事上の盲点が生じることの危険性を認知しており、盲点をできるだけなくすための取り組みを行っているのは有名な話です。
また、宇宙開発など、たった1つの不備が重大な事故につながる現場では、盲点をなくす工夫を取り入れているのも有名な話です。(本書にも事例や解説を載せています。)

誰しも、心理的な盲点は生まれています。もちろん教師も、それぞれに、心理的な盲点をもっています。
そして、ここで重要なのは、ベテランほど、盲点が多くなる傾向がある点です。若い先生ほど、「学校の非常識」に気付きやすいのは、盲点が少ないからとも言えるのです。ベテランになるほど、偏った知識で物事を見てしまい、それ以外の情報が見えなくなってしまう傾向があるのです。
とはいえ、若い教師にも、若い教師ならではの様々な心理的な盲点は生じています。
盲点は、自分では気付きにくいものになります。普段は意識することすらなく、頭で思考することもしていないからです。
よって、盲点をなくすための一番手っ取り早い方法は、誰かに「こんな盲点があるよ」と教えてもらうことです。
そのため、本書では、教師の仕事の様々な場面での盲点の事例を、数多く紹介しました。
盲点をなくすために必要なのは、次のことです。
①心理的な盲点の様々な事例を知ること
②盲点が生じるメカニズムを知ること
③盲点をなくすための方法論を知ること
本書では、①から③の全てを解説しています。
①の、盲点の様々な事例を知ることだけでも、きっと多くの学びを得られるはずです。
③本書の内容の意義とは何でしょうか。また、教師の仕事を進める上での留意点を教えてください。
本書では、まず「心理的な盲点が生じる事例」を紹介しています。そして、盲点に気を付けながら、仕事を進めていくためのポイントを解説しています。
次のように、様々な場面において、解説を行いました。
第1章 「授業デザイン」の6つの盲点
第2章 「学級経営」の6つの盲点
第3章 「子供対応」の7つの盲点
第4章 「特別支援教育」の5つの盲点
第5章 「ICT活用」の5つの盲点
第6章 「学校づくり」の7つの盲点
第7章 「教師の姿勢」の5つの盲点
このような教師の仕事に関する様々なカテゴリーで、盲点を紹介した本は、皆無に等しいのが現状です。よって、盲点の事例を知るだけでも、意義があると考えています。
私達教師は、学校全体の教育を効果的に進めていく必要があります。そのためには、教職員集団による協働が欠かせません。
例えば、「学校づくり」、「学校マネジメント」、「カリキュラム・マネジメント」が、計画的・組織的にできなくてはなりません。
このとき、多くの教師集団で協働すれば盲点がなくなるのかと言えば、それだけでは不十分です。「学校づくり」上の盲点をなくすためには、他にも留意点があります。その留意点を、本書では細かく解説しています。
上手くいった事例や、上手くいかなかった事例も紹介しています。盲点の事例を知り、そして盲点をなくすための取り組みを知れば、一生の財産になるはずです。
もちろん、教師の仕事の盲点に示したような知識を、私達教師がみんな知っていたら何の問題もありません。
また、教師の仕事に関して、「盲点が生じていないだろうか」と、振り返る方法論が、教師の世界で共有されていれば、何の問題もありません。
しかし、そのような知識は共有されていないのが現状です。「教師の仕事」に関して、メタ認知的に振り返ることは、教育研修会や研究会でも、ほとんど行われていないからです。
だからこそ、自分で学び、自分の仕事を振り返ることができるようにしなくてはなりません。
本シリーズは、新しい「教師の仕事の盲点」に関するシリーズになります。是非、多くの読者にこの本の存在を知ってほしいと願っています。
なお、前シリーズの「本当は大切だけど、誰も教えてくれないシリーズ」も、一緒にお読みいただくと、より内容の理解が深まると思います。是非、既刊書にも触れてほしいと思います。

既刊書についてのご紹介はこちら



プロフィール

大前暁政(おおまえあきまさ)
京都文教大学こども教育学部こども教育学科 教授
岡山大学大学院教育学研究科(理科教育)修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月より京都文教大学に着任。教員養成課程において、教育方法や理科教育に関する教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、学校現場と連携し新しい教育を生み出す研究を進めている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」や「日本初等理科教育研究会優秀論文賞」に入賞。研究分野は、教育方法、理科教育、学級経営、生徒指導、特別支援教育、科学教材、教授法開発、教師教育など多岐に渡る。
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読者へのメッセージ
学校関係者はもちろんのこと、日々子ども対応を行っている全ての人に、是非本書を贈りたいと思っています。

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