夏になると、多くの学校で水泳の授業が行われます。児童の中にはスイミングスクールに通い、低学年から様々な泳法を身に付けている子もいれば、水に顔をつけることもできない子もいます。そのように個人差が大きい中で、学校では全員一斉に水泳に取り組む授業も見られます。共通の目標設定が難しい中で、水に慣れ、楽しさを感じながら、一人ひとりが「できる」喜び、「わかる」喜びを感じる水泳学習を行うNaga先生の実践をご紹介します。
1 実践紹介
水泳の授業の中で多くの工夫をなさっているNaga先生の実践の中で、EDUPEDIA編集部では、全学年で行うことのできる【水中ゲーム】に注目しました。
楽しみながら、泳ぎにつながる動きが身に付く「水中ゲーム」
水泳の授業では、「け伸び、ばた足、手のかき…」と、みんなで一斉に泳ぎの練習をすることが多いのですが、そのような学習の前に、短い時間でも、2人組や少人数のグループで楽しめる「水中ゲーム」を取り入れると、水泳の授業の楽しさがさらに広がります。
水中ゲームを効果的に行うポイントは3点です。
①そのゲームで身に付けさせたい動きを明確にする。
児童にとっては遊びの意識でいいのですが、教師の側は「水の中で息を吐く」「よく進むけ伸びの姿勢を身に付ける」などのねらいを明確にし、その動きが身に付くようなゲームの行い方や言葉かけを意識します。
②わかりやすく、行いやすいゲームにする。
「2人組でジャンケンして、勝ったら○○する」等、説明も短時間で、すぐに楽しめるシンプルなゲームにします。プールサイドでは2列で並んでいることが多いので、2人組のペアや、ペアを2つ合わせた4人組でできるゲームにすると、グループ編成も簡単です。
③泳力の個人差に配慮する。
ゲームといっても、競争的なものばかりでは、泳ぎの得意な子ばかりが達成感を感じることになってしまいます。「ビート板どんちけた」のようにジャンケンの偶然性を取り入れたり、ハンデをつける工夫を助言するなど、泳ぎの苦手な子も楽しめるように配慮します。
今回の資料では、ねらいとする動きや行う学年の目安とともに、活動のイメージ(イラスト)とゲームの行い方も説明しています。1年生から6年生まで、児童の実態に合わせてご活用下さい。
水中ゲームタイトル一覧
- 「水中言葉あて」呼吸(1年~)
- 「ぶくぶくコンテスト」呼吸(1年~)
- 「うきうきコンテスト」浮く(2年~)
- 「伏し浮きロケット」けのびで進む(3年~)
- 「水中ロケット」けのびで進む(3年~)
- 「けのびでGO!」けのびで進む(3年~)
- 「水中輪くぐり」けのびで進む(3年~)
- 「イルカ輪くぐり」けのびで進む(3年~)
- 「ばた足フラッグス」ばた足(3年~)
- 「いっしょにゴー」ばた足(3年~)
- 「ビート板どんちけた」補助具を使って進む(3年~)
- 「ばた足・かえる足ずもう」足の動きで進む(3年~)
- 「手かき競争」手のかき(3年~)
- 「水中手かき競争」手のかき(3年~)
- 「背浮きにチャレンジ」浮く・泳ぐ(3年~)
最後に
水中ゲームの時間を「エンジョイタイム」、自分の目標に向けて泳ぎの練習をする時間を「チャレンジタイム」と名付けるなどして、楽しみ方のバラエティ豊かな水泳の授業をしてはどうでしょうか?
「浮く・泳ぐ運動~水泳」段階的な練習カード(児童用・教師用) | EDUPEDIA
水泳授業で子どもが喜ぶ活動の工夫①(リズム水泳) | EDUPEDIA
水泳授業で子どもが喜ぶ活動の工夫②(水中ゲーム) | EDUPEDIA
【提供資料のダウンロードはこちらから】
エンジョイタイム(全学年)添付ファイル)
2【講師プロフィール
Naga
東京都小学校教員。平成22年度の文部科学大臣優秀教員表彰者。また平成22年7月10日朝日新聞夕刊の連載記事「花まる先生」で紹介されている。東京小学校体育研究会水泳部に所属。東京都の小学校で体育指導、特に水泳の指導に力をいれている。水泳の授業では、児童に水に慣れてもらうことを第一目標に掲げて「ドーンじゃんけんぽん」など、遊びを取り入れながらも個々人の目標が自然と達成できるような指導を行なっている。
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