1 はじめに
本記事は元・小学校教諭で現在大学非常勤講師(教職課程)でいらっしゃる滋賀のタカブーさんの実践を許可を得て紹介しています。
実習生と言えど、学生ではなく学校の先生として子どもと関わる際に気をつけるポイントが書かれています。記事を読み、実習前の不安な気持ちが少しでも和らげばと思います。
2 心得
学級担任の先生方が毎日心がけておられること
- 子どもに担任の指示が入る(信頼関係をつくる)ための言葉のキャッチボールを大切にされています。担任の言葉は「直球」と「変化球」、「速い球」と「ゆるい球」を使い分けます。声の大きさも、ここぞ!という時は、小さいめの声のほうが効果的です。考えさせたいところでは、意識的に間(ま)をとります。
- 話を聞こうとする子どもに育てようと工夫しています。子どもが聞いてほしい時、担任にしゃべりかけてきたら、ノートの丸つけの手を止めて「言いに来てくれてありがとね」が基本です。子どもの目と目を合わせて聞いてあげるのが大事です。ぼく(私)の気持ちを聞いてくれる先生の話なら、だんだん聞けるようになります。
- とりわけ1~3年の子どもの話を聴いてあげる時は、ひざをついて、目線を子どもと同じ高さにします。4~6年も同じですけど。
子どもらが授業に集中できるよう意識されていること
- 子どもの気持ちを受けとめてあげたら、授業中はもちろん、いろいろな場面で、スモールステップを与えて、音読でも書く作業でも、友だちとの体験的学習でも、「がんばってるね」「やさしいね」「えらいね」「ありがとう」とほめることの積み上げを日々積み重ねます。
- 作業(朝自習も含めて)の課題が早くできた子が、次に何をしたらいいかの指示を、明確に板書しておくことも大切です。どの子も黒板を見ればわかるからです。例えば、「①をして②をして、できた人は③か④のどちらかをしよう。」と板書します。
3 先生として適切な話し方
子どもたちが待っている先生の、その「ひと言」
◎「○○くん、おはよう」「○○さん、おはよう」(笑顔で)→「先生、うれしいで」(笑顔で)
×「こら」(監視目線から入るのは×)(私は×をよくやっていました・・反省です)
◎「どうしたの?」(共感目線から入るのは◎)
◎「何かいやなことあったの?」→「つらかったんやね」「がまんしてたんやな」「くやしかったんやもんなぁ」
(子どもの心を育てようとする先生は◎)
◎「困ったねぇ」「ちょっと考えさせて」(即答できないときは、ほうれんそう=報告・連絡・相談)(問いかけるのが先生、答えを出すのは子ども、という先生は◎)
◎「○○くんの言いたいことの続き、うかんだ人?」
(子どもの力を頼りにしてあげます)
◎「手伝って」「力かして」「助けて」→「ありがとう、助かったわぁ」「上手やな」「うれしかったで」
(スモール・ステップ3日・1週間・1ヶ月と、ねばり強く続ける→尊敬)
◎「こっち向いてや」→「うれしいな、向いててや」
◎「本出してや」「○ページ開けてや」→「すばやいな、えらいぞ」
◎「書くんやで」「書いてみぃ」→「できたやん、すごいな」
(しなやかな先生も◎&段取り力のある先生も◎)
×「できた人?」(私はいつも、この×パターンでした・・反省です)
×「わかった人?」 (私はいつも、この×パターンでした・・反省です)
◎「困ってることないか?」→「よく言ってくれたね」「よいつまずきやね」「大事な失敗やね」
×「がんばれよ」(ありきたりです)
◎「いっしょにがんばろな」→「すごいやん、さすがや」「かしこいな」
◎「ごめんな、先生がわるかった」「言い過ぎて、ごめん」(お手本に)
(子どもに謝ることができる先生も◎)
子どもがイメージできる言葉で話しましょう
私たち大人は、よく次のような言い方を、子どもにしてしまいます。
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」
などです。これを言っている大人(親・保育士・教師)には、それなりにイメージできています。ところが、どちらの言い方も、子どもにはなかなかイメージしにくい言葉だと言えます。年令が小さいほど、どうしていいかわからない言葉です。あいまいな言葉なのです。
ですから、
「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」
と言うのをやめて、
「みんな、すわろうね・・・おっ、早くすわれたね」
「教科書の何ページを開けてね・・・うん、開けたね。エライ」
「シーッ!お話するのをやめようね・・・だんだん静かになったね。うれしいな」
「△君のお話を聞いてあげよ・・・こんなにしっかり聞いてもらえると、うれしいね」
「◎さんの言いたいこと、聞いてあげよ・・・◎さんの気持ち、わかってきたねぇ」
「先生のお話を聞いてね・・・聞いてくれてありがとう」
「みんな2列に並んでね・・・すごく早く並べたねぇ。気持ちいいな」
と、その場面に応じて、子どもにしてほしい具体的な言い方で、子どもたちがイメージしやすいように伝えてあげましょう。もちろん具体的なメッセージを伝えて、子どもたちが受けとめてくれたら、具体的にほめることもお忘れなく!
ほめる、で思い出したのですが、子どもに、
「ダメ」
と言ってしまう、否定的な指示語も、緊急を要する時以外は、
「こういう時は、△△すると、うまくいくよ」
「そういう時は、先に△△してみようね」
と言いましょう。ダメの中身を具体的に伝えるとっさの気転によって、子どもの気持ちを180°変える場合も多々あると思って接するといいのではないのでしょうか。
できるだけ増やしたい教師の言葉
(やわらかな声で、あまり大きくない声で、ゆっくりした声で)
「困っていることはないか?」(わかった人?できた人?より、子どもはうれしい)
「先生にも聞かせてほしいな」(子どもが発言しやすい聞き方です)
「みんなに聞いてほしいこと、ないか?」(子どもも言いたくなる聞き方です)
「グループで話し合って、気づいたこと、聞かせて」(個人の気づきを)
「わからない所は、隣の人に聞いてごらん」(「教えて」と言える子に)
「わかりにくかったら、周りの人と相談して」(聞かれたら親切に)
「○○君の意見は、みんなが考えつかなかったものやね」(的外れな発言でも)
4 「教育実習へ行く学生へ」シリーズについて
「教育実習へ行く学生へ」はシリーズ記事です。
教育実習へ行く学生へ 給食活動・教室掃除の手順 | EDUPEDIA
教育実習へ行く学生へ 挨拶例文・持ち物リスト | EDUPEDIA
5 ☆教育実習 まとめ記事
小学館が運営する教育Webメディア「みんなの教育技術」にて、EDUPEDIAの教育実習記事から、実習の挨拶や持ち物、心構えなど、内容を厳選して紹介していただきました。こちらからご覧ください
→【まとめ】小学校教育実習の挨拶・お礼状・心がけ
6 出典
下記のブログから転載しています。
滋賀の「子どもと向き合う」親・保育士・教師の「始めの1歩」ミニプチ・ステップのすすめ
ブログトップページ
http://sg2takaboo.exblog.jp/
本記事の元記事
http://sg2takaboo.exblog.jp/24898592/
滋賀のタカブーさんが運営されている、保育・教育・子育て支援情報のブログです。とくに子どもの荒れ、くずれ、イジメ対策として教室の雰囲気、クラスの空気を変えようとチャレンジされている具体的事例や、教材に活用できそうな内容を紹介されています。ぜひご覧ください。
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