自然のつくりを考える理科(はなまるサポート)

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目次

1 概要

この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧の実践を転載しています。
実践の続き(無料)をご覧になりたい方は最下部のURLからお願いします。
また、記事最下部から実践がPDFでダウンロードできます。

2 はじめに

本記事は、小学校3年生「太陽と地面の動き」 ・ 4年生「月や星」・5年生「流水の働き」・6年生「大地の作りと変化」の学びを深めるための事象提示や実験の様子を載せています。

3 3年「太陽と地面の動き」

概要

扱う単元:B区分 地球(地球の表面)
太陽の運行・日陰の位置と太陽の動き
[B区分 地球の表面」です。この単元を「天文学の初歩」という位置づけで実践してもいいでしょう。子供たちの宇宙への夢を広げる第一歩です。

この学習では、観察が主体です。・・・天文学では、観察ではなく、観測です。
県立群馬天文台の濱根先生の言葉を紹介します。
~「観察とは、観て推察すること。」これには主観が入る。そして、「観測は、観て測ることである。」これは、普遍的で客観的なことである。~
そこで、観測器具の正確な使い方を指導しましょう。
この単元では、 方位磁石と温度計、ものさしの正しい使い方をしっかりと指導しましょう。

(1) 事象提示

  • 日陰は太陽の光が遮られる時にできる。
  • 時間によって陰の出来方が違う。

という内容を指導します。そこで、校庭などの木の陰をよく観測しましょう。
 観測ですので、影のできる時間、影の長さ、太陽の位置(記入する図を用意します。)
*ここで、「陰の出来方が変化する。」ということを詳しく観測してみよう。ということから、棒を立てて時間ごとに長さをしらべます。
そして、その時の太陽の動きと時間を関係付けてまとめていきましょう。

日陰→日光を遮るとできる(影)→棒を立てて、時間を決め、影の長さを測る
これは日時計です。この観測が終わったあと(場合によっては始め)に提示するといいでしょう。

ここで日時計の基本的な仕組みを簡単にお話ししたいと思います。 日時計の形式には二種類あります。まず太陽の方位を見て時刻を知るという形式、先ほどいいましたように東から昇って西に沈む、180度あるわけですが、それを12で割ると1時間で、太陽は15度ずつ動くことになります。

(2) 観測のまとめ

3年生でも、時間の横軸に対して、影の長さが変わっていくことがわかるグラフをつくらせましょう。結果の整理の仕方を教えるいい機会です。
このことで、太陽の位置が変わり、その時の太陽の高さで影の長さがきまるということを実感します。

4 4年「月や星」

扱う単元:B区分地球の周辺(月の形と動き、星の明るさ、星の動き)

観察の手順とポイント

  • 方角は必ず記録(方位磁針は購入させましょう。)
  • 目印になる木や建物をカードに記入する
  • 高度は、両手を水平に前に出し、こぶしにして、順番にこぶしを重ねて、月が目の高さで見える位置まで、いくつあるか、数えます。

*(太陽・月・星の暦(月光天文台製作)より
6日(火)の月の出は13:59、以降はだんだん遅くはなりますが、満月を見ることができます。月の動きを中心に、そして、星空も合わせて観察させてみましょう。

5 5年「流水の働き」

扱う単元:B区分地球(地球の内部)
実際に川にいけない学校では、映像教材や模型、立体地図などの情報から問題を持てるような提示がされることと思います。
そして、≪川の水の流れの勢い、力≫の大きさというに視点で問題意識を共有します。

ここから、水の流れの勢いについて要因を分析していくと、
・流れる水の量 ・川自体の傾き(斜度)の二つが大きな要因でしょう。
そこで、検証の場ですが、5年生の能力育成目標である「条件制御」の力を育てる指導の展開を考えてみましょう。上の二つの条件で水勢による地形の変化をモデル実験として設定します。同じにすることは、水を流す表面の地形と流される物(砂と土を粘土を混ぜ、板や箱に敷く)です。

(1) 事象から問題意識を持つ

川原へ行って石を観察しましょう。(あるいは、映像で(中流~下流)川原の石と渓流の石の様子)
「違いからその要因をさぐる」ということで、石の形状を十分観察させましょう。これは日置光久先生の著書「日本型理科教育」にある「状況に入る学び」です。石に秘められたたくさんの情報を丁寧な観察によって、推論して行くわけです。それらを総合して、要因を「水の勢い」であると結論付けます。
では「水の勢い」とは「水の量と流れを作るときの地面(川)の傾き」と分析を進めます。

(2) 要因を抽出して実験条件を考え、実験する

  • 侵食、運搬,堆積という流水の働きを実感させましょう。

6 6年「大地の作りと変化」

扱う単元:B区分地球(地球の内部)
土地の構成物と地層の広がり・地層のでき方と化石・火山の噴火や地震による土地の変化

(1) 事象提示・・・標本の観察

自然の少ない環境にある学校でも可能な授業の工夫を紹介しましょう。ポイントは多分どの学校にもある標本です。
標本とは、産地が明確なものをいいます。よく、お土産やさんなどで、(~の石)とか化石を売っていることがありますが、産地不明がほとんどです。だから、子供たちが自由研究などで集めてきた石は、産地も採集者も明確なので、立派な標本なのです。

この石(堆積岩標本)から何がわかるか、それぞれの児童に手に取って見せてあげてください。

  • 粒がたくさん入っている、色はその粒の色が作り出している
  • きらきら光っている粒が見える
  • ざらざらしている、つるつるしている
  • 縞模様がある
  • 重さも少しずつ違う
  • つめで、けずることができるのもあれば、とてもかたいものもある

など、いくつもの観察事実が集めることができます。
次に、火成岩標本を同じように扱ってみましょう。ただし、火山の活動については、教科書などで予備知識を与えておきましょう。実際に体験できないB区分の内容は、全体をつかむための映像や教科書の絵など十分に活用することが必要と考えます。
この事実と地殻変動や火山活動の映像や5年の流水の働きの知識、堆積や浸食作用の知識を総動員して、これらの岩石の成り立ちを推論させていくのはどうでしょうか。
「この石はどのようにできたか」・・・推論

(2) 実際の川原にある石の観察

下の写真は、川原に堆積した石の様子です。それぞれの石がどのようにできたのかを考えさせるのも良いでしょう。
標本の石とよく比べさせましょう。

よく見るといろいろな模様があります。模様から推論させてみましょう。
模様は、石を構成しているつぶが集まってできたもの。
そして、石が出来る前に積み重なっていた。それが長い間に固くなり、やがて岩になった。その岩が何かの働きで、崩れ、川を下る間に、だんだん小さくなり、角が取れて丸くなりました。
とにかく、十分な観察から岩石のでき方を考えさせたいですね。

実践の続き

続きははなまるサポート本サイトでご覧下さい。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/10/3/5.php
実践全体のダウンロードもできます。
添付ファイル

7 実践者紹介

初等教育研究所:太田 由紀夫
元東京都小学校理科教育研究会副会長、現全国構造学習研究会常任講師。
小学校のときから理科大好き人間。部活は中高大と生物部で蝶を追いかけていました。それがきっかけで山登りも好きになりました。
理科教育の楽しさを子供たちや先生方に知ってもらいたくて、この仕事をさせていただいています。また、地域のボランティアとして鮎も遡上するきれいに復活した多摩川で地域の方々と共に「多摩川で泳ぐ会・探鳥会」を続け、子供たちに自然の中で遊ぶ楽しさを味わわせてています。

8 サービス紹介

同社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしたり、不明点や疑問点などを無料で相談できたりします。
http://www.djn.co.jp/support/

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 水島淳)

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