ヨウ素液でたくさんのものを調べてみよう ~楽しい理科実験 vol.1

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ヨウ素液について

ヨウ素液は小学校5年で「発芽に使われる種子の養分」、6年で「だ液によるでんぷんの消化」「光合成」等を調べるために用いられます。かなり地味な実験で、どちらかと言うと「確認のための実験」になります。教科書では「青むらさき色」に変化したらデンプンが存在すると教えることになっていますが、ヨウ素液の濃さによっては黒色や群青色に近いように見えます。

ビールの色ぐらいの濃さに調整するように書かれていることが多いですが、何のデンプンを確かめるのかによって、濃さは調整した方がいいと思います。つまり、予備実験が必要です。ちょっと面倒くさいですね。
「発芽に使われる種子の養分」「光合成」を調べるのであれば、少し濃いめの方が分かりやすいかもしれません。ヨウ素液は傷薬として昔は広く使われていたのですが、粘膜(目や口内)には良くない薬品らしいので、本当は加工して毒性をうすめた「ポビドンヨード」(イソジンうがい薬)で代用した方がいいみたいです(ポビドンヨードも目に入るとよくないようです)。

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現任校ではまだ2本(前任校でも1.5本)のヨウ素液が保管庫に残っているので、薄めて使うとあと5年分以上ありそうです。安全に気を付けながら、贅沢に使い切っていこうかと思います。

発芽実験で使う前に

5年生の発芽実験でインゲン豆の発芽前と発芽後で、デンプンが消費されているかどうかを調べる際に使われ、それが「ヨウ素液」の初登場です。でも、いきなりこの実験をするには、子供たちにとってヨウ素液があまりにも唐突な存在として登場することになるので、その前に、たくさんの物を実験しておくと

「なるほど、デンプンがあるとヨウ素液は青むらさき色に変色するんだ」

と、デンプンの存在を意識づけることができます。
12種類の物を用意して、デンプンのあるなしを調べてみました。さて、この記事を読んでおられる方は、下の写真のうちどれが「青むらさき色」になるか、お分かりですか?私は、「油」「牛乳」「ガーゼ」の答えに少し自信がなかったです。

上写真の用紙と個人用記録用紙のエクセルファイルはこちら↓↓↓

ヨウ素液で青むらさき色になるものは.xlsx

実験の進め方

実験は順番によく観察させながら進めないと、競争みたいになって「遊び」で終わってしまいます。楽しいだけに滅茶苦茶になりがちなので、しっかり観察させるために、次のように進めました。12種類を用意すると4人班なら1人3実験になります。スポイトも1つずつ持たせて、「参加感」を持たせましょう。

ヨウ素液はプリンカップに半分ぐらいの量で十分だと思います。あまり多いと悪ノリしてかけまくる子供が出てきます

1. ヨウ素液について説明する。・・・「でんぷんが含まれていると青むらさき色になる」「目や口に入らないように注意する」「3~4滴たらす程度でよい」

2. 12種類の試してみるものを教師側(教師用の机)に並べて紹介する。・・・この中に、でんぷんが含まれているかどうかを調べます。でんぷんは人間にとって大事な栄養になります。

3. カードを12枚配るので、班でトランプを配るように順番に配る。

4. 配られたカードの物にデンプンが含まれているかどうか、1から「順番」に調べていく。

5. まず、「①かたくり粉」を調べます。・・・かたくり粉は、大人にとってはでんぷんの代表です。

6. 「①かたくり粉」のカードを持っている人、かたくり粉を薬さじすり切り分程度を取りに来なさい。

7. (机に戻ったら)必ず机の真ん中で、カードをビーカー(シャーレ)の下において、みんなで、観察しながら3~4滴たらします。

8. プリントに変化した(〇)か、しなかった(×)かを書きなさい。

9. 薬さじにはデンプンがついているかもしれません。薬さじをを洗って、「②塩」の人に渡しなさい。

10. 「②塩」の人から後は、「⑫ガーゼ」の人まで、同じことを繰り返します。

11. 粉ではなく、塊の物(ラーメン・パン・綿棒・紙・ガーゼ)はそのまま1つ取ります。ラーメンは手で一つまみ取ります。

12. 競争ではないので、しっかり観察しながら進めましょう。では、②のカードを持っている人から順番に取りに来ます。

13. 各机を回って、「ヨウ素液をたらしたら1番から順番にビーカー(シャーレ)並べましょう」と言って整理をさせに回ると、とても「実験っぽい」ムードになりました。結果の整理は大事です。

14. (ほとんどの班が実験を終えた時点で)では、青むらさき色に染まったものに余ったヨウ素液をたらしてもかまいません。仲良くヨウ素液を分けながらもう少しやっていいです。

15. (子供が落ち着いていればオプションとして悪ノリ)「ちょっと見てみて」と、ゆがいたラーメンの残りをビーカーにたっぷりと入れて、ドバドバとヨウ素液を注ぎます。「デンプンで青むらさき色に変化」が印象に残ることと思いますが、荒れたクラスでこれをやるとほかの実験中にも悪ノリをやりだす子供が出てくるので要注意です。

実験が終わって

綿棒をラインナップに入れたのは、棒の部分が紙でできている綿棒では、先の部分(綿)が染まらず、棒の部分(紙)が染まります。よく観察している子供は「えー、先生、何か変だよ」と言い出します。

他にも鳥のささ身をゆがいたもの(タンパク質)もラインナップに加えたかったですが、12種類をそろえるだけでかなりの労力を割いたので割愛しました。木材や白い石やアルミニウム、プラスチック等、他にもたくさんどうかなと思うものがありましたが、小学生には12種類ぐらいが適切な数かも知れないです。個人的には、6年生で消化の学習をした後で「便」にデンプンが含まれているかどうか(未消化なデンプンは便の中に存在するのか)を調べたら面白いだろうなあと思いますが、無理ですね。私も勇気というか、機会がなくてやってみたことがないです。どうなんでしょう??

子供たちは、とても楽しく実験に取り組んでいました。本来なら、自分で用意したものや自分たちでピックアップさせたものにヨウ素液をかけるのが一番面白いかなと思います。ただ、時間がないのと、色が濃いものやデンプンの含有率が低いものを選んだ場合に色の変化がよくわからない場合があります。染まらないものは、面白くないので、用意したものの半数以上にはデンプンが含まれているようにした方が良いと思いました。デンプンは植物由来のものに含まれることが多いのですが、それについてはまた6年生の光合成の実験でヨウ素液を使う機会があるので、あまり詳しいことには触れずに割愛しました。

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