「じしゃくのふしぎを探ろう」(はなまるサポート)

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目次

1 概要

この記事は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導のポイント一覧より転載しています。

実践の続き(無料)はこちらのURLからご覧ください。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2013/2/3/6.php

2 学習指導のポイント「じしゃくのふしぎを探ろう」

事象提示から問題をつくる。

繰り返し、同じ事象を観察できます。そこで、ひとりひとりが自分でできるような身近な素材を使った事象提示をしてみましょう。

単元の構成とねらい

  1. 磁石につく物・・・磁石につくものは磁石になる
  2. 磁石の強さ・・・・磁石の力は空間に働く
  3. 磁石の極・・・・・磁石の極(同極は反発し異極は引き合う

※繰り返し何度でも、一人一人実験できるので、ノートを丁寧に書いていくように指導することが大切です。体験したことをまとめる力を仕上げていきましょう。

1(磁石につく物)と2(磁石の強さ)の事象提示

A:磁石が引き付ける缶(スチール)
B:磁石が引き付けない缶(アルミ)
 
という二種類の缶を用意します。塗料の部分は紙やすりで一部分を削っておいてもいいですね。これならば、二人に一組は用意できます。

繰り返し磁石を近づけさせ、問題意識を深めたいですね。また、2種類(アルニコ磁石と普通の鉄の磁石)を用意して、磁石の強さを問題に加えていくと要因が増え、広がりが出ます。

《問題》

①磁石はどのようなものを引き付けるのだろうか。

②磁石の強さによって付くものが違うのだろうか。

③磁石についたクリップは、磁石を外してもクリップ同士でついている。クリップは「磁石」になってしまったのだろうか。

①からは、教室で引きつけられる物をたくさん見つけ、その結果の整理の過程で「分類と統合」という科学的思考能力を鍛えます。そして、「引き付けるものは金属だと思う。でも、アルミや窓枠はつかないね。」ということは、「引きつける物は鉄だ。」という共通点を見出して、結論を導いていきます。

②からは、磁石の力に着目して「磁石によってひきつける力の強さはどのように違うのだろう。」という問題をもちます。これは、すなわち「力」をエネルギーとして捉える見方になっていきます。

この検証過程では、引きつける力の強さを「磁石から離れているクリップがどのくらいの距離で磁石につくか」という引き付ける距離を調べる児童もいます。これが、「磁石の力は物を動かす力に変わる」というエネルギー変換の概念に結びついていくのです。

つまり、写真のように空間に磁力が働いているのです。

これは、アルニコの強力磁石ですが、普通の鉄の磁石でも机の上にクリップを置いて、磁石を遠くから少しづつ近づけると離れていたクリップが動いて磁石に付きます。そこで、「遠いところから付くほど磁石の力が強い」ということになります。

また、磁石の強さは、くっつくクリップの量(重さ)で示すこともできます。重さを図るのは電子天秤が正確で良いと思います。

③「磁石につくものは磁石になる」については「磁石に付いた物は、磁石になるのではないか。」という問題を設定します。これも、クリップやくぎが磁化されて、磁石についたままになる現象から見つけることができます。

3(磁石の極)の事象提示

 
3つの方位磁針を机の上に離して置き、針の動きを観察します。徐々に、方位磁針を近づけていくと、磁力が影響し合って針が動きます。また、机の真ん中あたりにアルニコ磁石を置くと、一斉に針が動きます。
 
「これらの事象から何が言えるのか」、「はっきりさせたいことは何か」を提案させて、問題としてみましょう。

※方位磁針です、方位磁石ではありません。

《問題》

  • 方位磁針は、磁石と同じ性質を持っているのだろうか。
  • 方位磁針のS極とN極は、棒磁石のNとSに関係があるのだろうか。
  • 棒磁石は、方位磁針と同じ働きをするのだろうか。

 
このように本単元では、子ども達が設定した問題を、子どもたち自身で何回も実験できるので、情報も豊かになり、話し合いを深めることができます。

3 実践者紹介

太田 由紀夫(初等教育研究所)
 
元東京都小学校理科教育研究会副会長、現全国構造学習研究会常任講師。
小学校のときから理科大好き人間。部活は中高大と生物部で蝶を追いかけていました。それがきっかけで山登りも好きになりました。
理科教育の楽しさを子供たちや先生方に知ってもらいたくて、この仕事をさせていただいています。また、地域のボランティアとして鮎も遡上するきれいに復活した多摩川で地域の方々と共に「多摩川で泳ぐ会・探鳥会」を続け、子供たちに自然の中で遊ぶ楽しさを味わわせてています。

4 サービス紹介

同社の「はなまるサポート」は、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説したり、不明点や疑問点などに関する無料相談を受け付けたりしています。
http://www.djn.co.jp/support/

5 編集後記

本事例では繰り返し、同じ事象を観察できます。身近な素材を使った事象提示をしてみることで、科学をより生活と結びつけて考えることができるのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤あかり)

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