1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
1、特徴
従来のマーブリングは、水と油の反発を利用しています。この方法だと、油の広がりが早く、模様も絶えず動いているので、作品はやってみないとその様子が分かりません。
このマーブリングは、糊と油の反発を利用しています。糊を使うことによって、自分の作りたい模様を自由にデザインすることができる良さがあります。糊の粘性が高いので、油が広がりません。そのため、爪楊枝を使い思い通りのデザインをすることができます。
2、準備するもの
マーブリングバット、灯油、洗濯用糊、絵の具皿、習字用細筆、油絵用絵の具、画用紙、きれいな雑巾、新聞紙、爪楊枝(櫛)、ピンセット
※糊は、「ホーライ糊」の他に「あいのりトーメイ」「マホーのり」など化学洗濯糊(液体ゼリー状)のものであればよい。
3、溶液の作り方
- マーブリングバットに、ホーライ糊を静かに流し込む。ホーライ糊はスーパーによく売っている洗濯用糊です。透明の筒型で、一本百数十円で買えます。成分はCMCです。
- バットの中に糊を入れて、水を少しだけ加える。水の量はホーライ糊の半分以下でゼリー状の状態を保つようにする。完全な液体にしてはダメです。
- ホーライ糊のめやす。
- 8つ切り版大のバットで、糊3~4本。
- 4つ切り版大のバットで、糊7~8本。
※6人班の場合、糊は各班1本でちょうどいい。(2時間の授業)
4、絵の具の作り方
- 油性絵の具(油絵用絵の具や謄写インクなど)を絵の具皿(ワンカップやプリンカップ)に入れる。絵の具は一本350円~各色一本で十分足ります。
- 灯油を少々入れる。灯油の量は、ほんの少しでよい。固体の絵の具が液体状になれば可。
- 筆で絵の具をよくかき混ぜる。
5、作品の作り方
- 色をとった細筆で、糊の上に絵の具を落とす。自分のほしい色の取り合わせになるように何色か使う。絵の具の落とし方は、縦または横の縞模様になるようにする。(つまり、色を変えながら何本も線を引くということ)感覚としては、糊の上に線を引く感じです。
- 爪楊枝などで、絵の具に変化を与える。これにより、いろいろな形状の大理石模様(マーブル)が作れる。
- 画用紙やケント紙をバットの大きさに合うように切る。この紙の端から静かに糊に浸していき、絵の具を転写する。
- 転写した紙をピンセットで持ち上げる。次に紙をバットの縁に擦るようにして引き上げる。こうすることで、余分な糊をバット内に戻す。
- 転写した紙を新聞紙の上に乗せる。
- 紙についている糊を湿った雑巾(スポンジたわしでも可)できれいにふき取る。このあとティッシュペーパーで拭き取ると早く乾く。
- バット内に絵の具が残っているときは、新聞紙や更紙で残りの絵の具を取り去る。
6、注意すること
- 濃い色を出そうと絵の具を多く落とすと、転写の紙が油じみることがある。また、転写してバットから紙をあげるとき、絵の具がつぶつぶになって糊の中に残ってしまうことがある。
- 筆が絵の具でもたついてきたら、灯油を使って筆をきれいに洗う。
7、授業をして気づいたこと
- 糊に水を加えるときや絵の具に灯油を加えるときは教師がおこなう。加える量が多すぎるとうまくできなくなるので少しずつ加えて様子を見ていく。
- 模様がぼやけてしまうのは、加えた水または灯油の量が多すぎたということ
- バットの底が隠れるよう十分の溶液(糊+水)を入れておく。溶液が足りないと、バットの底に絵の具がつくので、溶液が汚れやすくなる。
- 太筆を使うと模様がきれいにできないし、溶液が汚れやすくなる。習字の細筆を使うのが一番いい。
- 作品ができたあと、糊をよく拭き落としておくこと。糊が着いていると下に敷いた新聞紙にくっついてしまって剥がれなくなる。
- 青~緑~黄色系の色は、色の境目がきれいに出た。赤系は色の境目がぼけるような気がする。顔料による違いか?現在追究中。7 . バットを子どもに持ってこさると、おせんべいの缶や植木鉢の皿などが集まった。2人に1つくらいのバットがあるといい。版画用のインクを延ばす皿も使える。
- 黒は版画用の油性インクが使える。白い絵の具は黒の画用紙を使うと美しい模様が出る。
- ゴミがたくさん出る。約ゴミ袋2袋分。
- とってもとっても子どもが喜びます。はがきにやらせるとGOOD。
8、この作品をどう生かしていくか
- 箱にしたり、ノートカバーにする。
- はがきを作る。
- 6年生を送る会用の色紙。
- 半紙に模様を作り乾いたらその紙に習字をする。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
工夫されたマーブリングの図工の実践で、子どもも大人も楽しめる実践です。また、実践の内容も分かりやすく解説されているため、授業に取り入れやすいのではないかと思います。ぜひ、取り入れてみてください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 川原悠成)
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