最先端の授業、「生きぬく科」での防災教育~コミュニティスクール平山小学校の実践~

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、平成27年2月21日に、コミュニティスクールである東京都日野市立平山小学校の研究発表会を取材させていただいたものです。研究発表会の午前の部では、児童たちの学習発表会を見学させていただき、午後の部では平山小学校で実践している「生きぬく科」についてお話を伺いました。防災教育やICT教育といった、まさに時代の最先端を行く教育実践です。

2 「生きぬく科」とは

東日本大震災の影響を受け、防災教育への関心が高まる中、平山小学校では昨年度、全学年に「生きぬく科」を新設しました。「生きぬく科」とは自然災害の多い我が国の将来を担う子どもたちが、自立した人間として、他者と協働しながら、未来を切り開いていく実践力を身に付ける教科で、以下の身に付けたい6つの実践力と3つの目標を掲げています。

身に付けたい6つの実践力

  1. 自然の恵みを大切にする。
  2. 命を大切にする。
  3. 人を助ける。
  4. 共に生きる。
  5. 防災に努める。
  6. 安全な社会を作る。

生きぬく科の目標

  • 自然災害や防災(減災)に関する基礎的・基本的な知識・技能を身に付ける。
  • 危険を予測して、回避する能力を身に付ける。
  • 命を大事にして、他者や社会の安全に貢献できる態度を育てる。

3 5年生の学習発表「安全な避難経路を探そう」

生きぬく科を通して学んだことを、学年ごとに児童たちが発表する学習発表会を見学させていただきました。ここでは、5年生のテーマ、「安全な避難経路を探そう」の発表を紹介します。

5年生は地震や大雨、雷とった様々な災害が起こった時に、どのように判断し行動すれば自分の命や周りの人を守れるのかを学んできました。「スタディネット」というタブレット学習システムを用い、ストローク再生によってスクリーンに示しながら、自分たちが考えた避難経路について発表していました。

危険な場所を緑、安全な場所を黄色で分け、そこから考えた避難経路を赤で示しました。それぞれ色分けした理由を述べ、根拠を持って避難経路を考えていました。

子どもたちの感想

発表後、子どもたちは「外で災害が起こった時にどう行動すればいいか学んだ」、「身近なところにも危険があることが分かった」、「自分たちの街のどこが危険でどこが安全か分かった」、「生きぬく科で学んだことを活かして避難しようと思う」、「自分の身は自分で守れるようになりたい」などといったコメントをしていました。

中には「どのような状況においても自分で行動しなければ生きていけないと思った」と、小学生とは思えないほどの頼もしいコメントを言っていた児童もいました。

4 編集後記

平山小学校の「生きぬく科」は、単なる防災教育という孤立した教科ではなく、理科や社会、保健体育、家庭科、道徳といった他の様々な教科と関連した授業内容になっています。したがって、この「生きぬく科」が中心となって、児童たちの学力、自己指導能力、他者との共同性を伸ばしているのではないかと思いました。「自分の命を守る」ということは生涯に渡って最も重要なことです。平山小学校の児童たちにとって「生きぬく科」で学んだことは今後大きな力になると思います。

また、取材をしている中で、児童たちがパソコンやタブレットなどのICTを使いこなして発表したり準備をしたりしている姿が大変印象的でした。情報機器が大きく発展するのに伴って、学校教育もどんどんと進化しているのだと実感しました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 岡本佳菜子)

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