読書週間に本が好きになる取り組みを ~ブックトークのすすめ~

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目次

はじめに

10月(10月27日~11月9日)には読書週間があります。読書週間では、どの学校でも司書教諭や図書委員会などが中心になって、学校全体で読書への興味関心を高め、読書生活を向上させるための取り組みを行っていると思います。子どもたちの読書への興味関心を養い、さらに読書の幅を広げるためにはどのような取り組みをしたらいいのか、毎年頭を悩ませている先生方も多いでしょう。この記事では、おもに小学校高学年向けに、読書への動機づけとなる活動の一環としてブックトークを紹介します。

ブックトークとは

ブックトークとは、ひとつのテーマにそって、複数の本を選び、順序だてて関連づけながら紹介していく活動のことです。

単なる本の紹介とは異なり、紹介する本と本のあいだにつながりをもたせ、ひとつのストーリーのように組み立てます。そして、本のあらすじを紹介したり、挿絵や写真を見せながら説明したりするなどさまざまな方法で、聞き手に本の魅力を伝え、読みたいという気持ちを起こさせることを目的としています。

ブックトークのやりかた

ブックトークは以下のような手順で行います。

1 テーマを決める

テーマを決めてから本を選ぶ場合とこの本を紹介したいという核となる本を選んでからテーマを決める方法があります。

テーマは、運動会などの身近な行事や季節の行事などを取り上げると、生活に密着していてとりかかりやすいでしょう。小学校高学年であれば、社会性など心身が発達してきているので、友情や思いやりといった抽象的なテーマをあつかうこともできます。

2 本を選ぶ

決めたテーマにそって本を選んでいきます。15分程度の短いものなら2~3冊、30分程度であれば、4冊~5冊を目安に選ぶとよいでしょう。本を選ぶときには、対象となる子どもの実態を考えながら、絵本や読み物だけでなく、ノンフィクションや小説など読みごたえのある本を選ぶなど幅広く取り上げるようにします。

3 シナリオを考える

本を選んだら、ブックトークのシナリオを考えます。選んだ本と本がつながるように、紹介する順序を考えていきます。本のどの部分を紹介するか、どこに興味をもたせるかなどを考え、うまく絡み合うように組み立てていきます。

また、ひとつひとつの本を紹介するときは、あらすじを紹介する本、興味を引くような場面を朗読する本、著者を紹介する本など、取り上げた本の魅力が伝わるように、紹介のしかたも工夫すると効果的です。

4 実践する

実践するときはしっかりと本を見せて紹介します。クイズをしたり、パネルシアターなどの小道具を使ったりしてブックトークを行うとよりメリハリがついて興味関心をひきつけることができます。

また、原稿は作らずに、必要な手順などはメモを用意したり付箋を貼ったりして行います。なぜなら原稿を見ながらだとただ読んでいるだけに感じてしまい、せっかくの本の魅力が伝わりにくくなってしまうからです。

ブックトークが終了したら、子どもたちが興味をもった本を手に取って読む時間をとるようにします。もし時間がとれない場合でも、ブックリストを作成して配布する、紹介した本は教室に展示しておくなど、子どもたちが興味をもった本を手に取れる環境を用意しておきましょう。

小学校高学年には子ども同士で行うブックトークがおすすめ

小学校高学年であれば子ども同士でブックトークを行うこともおすすめです。子どもたち同士でブックトークを行うことで、さまざまな力を養うことができます。

やりかたはさまざまな方法があります。例えばグループにわかれてテーマを決め、(またはテーマを決めてからグループを決めてもよい)各自1冊ずつ発表する方法や、一人の児童がテーマを決めて何冊か紹介する方法があります。
また、発表するときには、同学年に向けて行ってもよいですし、6年生が5年生に向けてブックトークを行うなど、対象を変えることも可能です。

ブックトークを子どもたちが行うときには、準備から実践に至るまでの過程で、さまざまな力を身につけることができます。
まずは、聞き手に効果的に伝えるにはどうすればいいか考えるため、本を読まずに原稿を作ることはできません。どこを紹介すれば選んだ本の魅力が伝わるか考え、何度も本を読み込む必要があります。そこで本を読む力が身につきます。
そして、読み込んだ本を紹介するためにブックトークのシナリオ原稿を書く作業があるので、書く力も鍛えることができます。(子どもたちが行う場合は、ワークシートを用意し、事前に話すことをまとめるようにしましょう。)
最後に、発表を行うにあたり、話し方や発表のしかたを工夫することで表現する力も養われます。

上記のようなさまざまな力を身につけるには、先生自身がブックトークの実演を行い、魅力的な発表のしかたに気づかせたり、テーマや本選びに悩んでいる子どもには、個別に相談に乗ったりするなどのきめ細やかな支援が欠かせません。

ブックトークの効果

ブックトークでは、あるテーマにそって多様な本を選ぶので、テーマについて多面的にとらえることができます。また、子どもは、自分にとって読みやすい本や同じような本を選んで読みがちです。そのような子どもたちでもブックトークをきっかけにして、新しいジャンルの本や少し難しい本にも興味をもつことがあります。そうやって新しい本と出会い読書の幅を広げることができるのがブックトークの魅力といえます。

ブックトークはさまざまな学習場面で取り入れられる

ブックトークは、読書週間だけでなく、各教科の中でも取り入れることができます。

国語や社会などはもちろん、総合的な学習の時間や道徳などすべての教科で取り入れることが可能です。

また、図書室の新着図書をブックトークで紹介するなど、普段の読書指導の中でも行うとより本への関心が高まり、さまざまな本を読むきっかけとなります。

さいごに

ブックトークは、読書週間以外でもさまざまな機会で取り入れることができます。またシナリオは、一度作ってしまえばアレンジを加えるなどして何度も使うことができるので重宝します。時間がなければ、2,3冊程度の本を紹介するミニブックトークでもかまいません。ぜひ、読書週間をきっかけに、ブックトークに挑戦し、子どもたちの興味関心を広げ、豊かな本の世界を楽しむきっかけづくりに役立ててほしいと思います。

執筆者

咲野めぐみ
小学校の支援員を経験したことをきっかけに教師を志し、教員免許を取得するため通信制大学に入学。小学校の教員免許を取得し、小学校や特別支援学校に勤務。現在は教員業務支援員として小学校に勤務している。

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この記事を書いた人

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