1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載
されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
「ひとの体」の単元第2回です。関節のしくみと働きについて考えます。肘が曲がらない状態で、アメをなめることができるかどうか挑戦しました
発問1「腕には、骨がどのようについていますか。絵を描いてみて下さい。」
体の中を描くという機会はほとんどなかったのでしょう。「どうやって描くの?」と悩んでいました。「自分の体なんだからわかるでしょ」とからかうと、下のような図をかきました。子どもたちはそれぞれ思い思いに絵を描きます。見ていてとてもおもしろいです。
- 縦にも横にもある
- たくさんある
- 1本だけある
話しているうちに「体の中に本当に骨はあるんだろうか?」という話になってきました。すると、子どもたちはいろいろと証拠を見つけます。思い思いのことを言っています。
- 手がポキポキ鳴るのは、骨があるからじゃないか?
- そっと触ると柔らかいけど、ぎゅっとつかむと固いからこれが骨だよ
骨があることはわかるのだが、それが何本あるのかは見当がつかないようです。
発問2「腕の中の骨は1本だけなんでしょうか?」
- 1本だと曲がらないと思う
- 1本だとまっすぐのままじゃないの?
みんなで確かめることにしました。
指示1「これからみなさんにアメをあげます。アメはチュッパチャップスです。ジャーン!(とアメを見せる)どうぞこのアメをあげますから、食べて下さい。ただし1つだけ条件があります。腕に棒をつけて下さい。ではどうぞ!」
こう言って、肘が曲がらないように、軽くタオルでしばりました。アメを持った子は、困ってしまいます。何とかアメを口へ持っていこうとするのですが、どうしても口に運ぶことができません。私はここぞとばかりに見せびらかして、アメを食べました。「ずるーい」「ずるーい」の大合唱がおこります。この声に負けずに「あー、おいしい」とさらに見せつけます。
半分涙目になってしまったので、「では使える方の腕を使って食べて下さい」と言いました。やっとの事でアメをなめることができて大満足です。
発問3「アメを食べることができたのはどうしてですか?」
- ここの(肘の)ぼっこんのところで曲がるから
- 肘で腕が曲がるから
どうやら腕が曲がることに気づいたようです。そこで、関節の働きや体の中で曲がるところは必ず2本の骨が組み合わさっていることを説明しました。
発問4「手にはいくつ曲がるところがあるでしょうか?図に書き入れましょう。」
手首も含めて手には15ヶ所曲がるところがあるそうです。子どもたちは自分のてのひらとにらめっこしながら数えていました。指の真ん中が曲がることを忘れている子が多かったです。手はいくつ曲がるところがあるか確かめたあと、
指示2「手には何本の骨があるか数えてみましょう。」
実際に自分の手を曲げながら数えていきます。子どもたちの予想は11~15本でした。骨のプリントを配り数えてみると何と27本もの骨が集まっていました。複雑に動く手首にはたくさんの骨があるのがわかりました。
3 プロフィール
静岡県教育サークル
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない
」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」
という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってよ
り価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
複雑な体のしくみを、体験を通して楽しく理解することができる実践です。教科書通りに「これはこうです」と教えてもわかったようでわからないと思います。
この実践なら自然と理解できて頭にも残るでしょう。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 田中真奈)
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