【総論】小学校の先生の仕事について

「全教科を教える」点が、中学校・高校との大きな違い

小学校では、担任の教師がすべての教科を教えるのが基本。いずれの学年にも道徳や総合的な学習の時間があり、高学年になるとさらに外国語活動も。このことは、教科担任制の中学校・高校との大きな違いだ。教師にも、教えるのが得意な教科と苦手な教科があるのが普通なので、自分が得意な教科だけを教えることができる中学校・高校と比べた場合、小学校の教師にはさまざまな教科を一人で教えることの大変さがあるのは否めない。
 とはいえ、もちろんそのことにはメリットも多くある。例えば各教科のつながりを意識して教えることができたり、担任でもあるので、それぞれの子どもたちについて多面的に理解したうえで授業の進め方や個別の支援の仕方を工夫したりすることができる点は、小学校の教師ならではだ。

教師にとっての小学校の授業

「小学校で教える内容は中学校や高校と比べると簡単だから、教えるのも中学校や高校よりも簡単だろう」と考える人がいるが、事実はむしろその逆であることも。というのは、簡単な内容だからこそ、かえって教えるのが難しい部分もあるからだ。実際、教師が本質的なところを理解していないと、子どもたちからの素朴な質問に答えられなかったりするし、その単元の面白さを伝えられなかったりもする。
 また、「受験」や「定期テスト」がない分、なぜこれを学ぶのかや、学ぶことの面白さを子どもにとってわかりやすいかたちで伝えることも重要だ。それだけに、授業には十分な教材研究と事前の授業準備が必要となる。もちろん教材研究や授業準備は校種を問わずすべての教師に必要とされることだが、教科担任制の中学校や高校の場合は、例えば1組で行った授業を2組でも3組でやることもあるわけで、1度授業準備を行えば、複数の授業分の準備になっているということが少なくない。
 ところが、小学校の場合は、一度の授業準備は自分の学級での授業1回分にしかならない。そのため、誤解を恐れず表現すると、授業の「使い回し」ができないということになる。これが意味するのは、実は、単にその分授業準備が多くなって大変だということだけではない。1組で授業をやって、その反省を生かして翌日の2組の授業では少し別のことを取り入れる、ということができず、「同じ単元の授業」ができるのは、数年後になってしまう。この点は、小学校の教師が自分の授業を改善していく上での難しさともなっている。そのため、教師同士で授業実践について情報を共有し合うことは、小学校ではとりわけ重要になってくる。

1年生から6年生までの違いは大きく、 さまざまな意味で「幅」が求められる

教える「小学生」にも、1年生から6年生では発達段階にかなり幅がある。同じ小学校の教師といっても、授業をする上で教師が意識するべきことには、かなりの違いがある。
 それだけに、小学校教師の中では、「1年生に教える時と、6年生を教える時とでは、別の仕事をしているのかと思うくらい違う」「まるで転職したみたいに感じる」とさえ話す人もいる。もちろん教師の仕事そのものは同じなのだが、それだけに人間としても授業のやり方についても、さまざまな意味で「幅」が求められるのが小学校の教師だ。

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