【総論】高校の先生の仕事について

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高校の授業の特徴

高校も中学校と同じく、授業は教科担任制で行われる。ただし、高校では科目の数が多くなるため、必然的に一人の教師が教える科目数も多くなる。たとえば、中学校であれが各学年で「英語」が1科目あったに過ぎないのが、高校になると、同じ英語の中でも、「英語I」「英語II」「オーラル・コミュニケーション」「リーディング」「ライティング」など、複数の「科目」がある。そのため、中学校ではたとえ週の授業数が多くても、教える科目は2科目程度だったところが、高校では週の授業数が中学校ほど多くなくても、科目数が3~5科目程度にまで増えることがある。科目数が増えると、教師の立場からは「一度、あるクラスで行った授業を別のクラスでもう一度行う」ということが少なくなる。つまり、一から授業準備をする機会が中学校よりも増え、授業準備にかかる時間と手間は、格段に増える。その上、一つ一つの科目ではより専門的な内容を教えることになる。そのため、教師の中には、専門誌や論文を読んだり、日ごろから専門知識を継続的に獲得する工夫を行っている教師が少なくない。というのは、高校生になると、興味を持った内容についてはかなり深くまで知ろうとすることがあるからだ。授業で生徒の興味関心に応えるため、そして、生徒から「先生なのに知らないの?」と言われないためにも、教材研究を継続することは欠かせない。

同じ授業でも、赴任先の学校によって、求められるものは大きく異なる

ただ、高校の授業の特徴については、今述べたことはあくまで「原則」にすぎない。というのも、実際は、その学校が普通科か専門学科か、あるいは進学校か進路多様校かということなど、生徒の実態によって、同じ教科、同じ単元であっても、授業で求められるものが大きく異なってくるからだ。

実際、まずは生徒をきちんと席に着かせることから始めなければならないという学校がある一方で、授業では大学入試を強く意識した授業が求められる学校や、入試を意識すること加えて、知的好奇心が高い生徒に応えるために高度な内容を扱わなければならない学校など、同じ高校の授業といっても、学校が違えばその授業の様子は大きく変わる。公立学校の教師には、(高校教師に限らずだが)多くの場合、数年に一度人事異動があるので、赴任した学校に合わせて、授業のやり方や内容を大きく変えていかなければならない。そうした幅が求められるのが高校教師の大きな特徴だと言える。

高校教師は、授業中だけではなく、授業「外」でもさまざまなニーズに応じることもある。たとえば進学校では、大学入試に備えて正規の授業時間以外でも朝や放課後、長期休暇中に「補講」や「特別指導」として授業を行うことは珍しくない。このように目的が具体的な授業では、教える内容も志望校の出題傾向やレベルに合わせることなど、細分化されたニーズに応えていく必要が生じる。その際は、入試問題を研究したり、生徒の志望校に合わせたプリントを作ったりする必要がある。

個々の学校ならではのニーズに応えていくのは進学校だけでなく、進路多様校でも同様だ。進路多様校では、大学進学を希望する生徒と短大・専門学校への進学を希望する生徒、さらには就職を希望する生徒が同じ授業を受けるのだから、教師は「どこにねらいを置いた授業をするべきか」が非常に難しくなる。その分、進路対策としては、授業以外の時間でも個別に対応していくことがより求められる。

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