1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
この単元では水の変化について学びます。水は蒸発して空気の中に混じること、水は100℃で沸騰することが主な学習内容です。
導入では、教科書の2枚の写真(同じ場所で撮影された雨の日と晴れの日との写真)を比べることから始めました。
教科書の2枚の写真(雨の時・晴れの時)を見て、間違い探し(違い見つけ)をしよう。
“間違い探し”と聞くと、子どもたちはやる気になります。たくさんの違いを見つけることができました。
- 「雨が降っている」と「晴れている」
- 雲がたくさんあるとたくさんない。
- 地面がぬれているとぬれていない。
- 「山が見えない」と「山が見える」
- 山のところに霧があると霧がない。
- 水たまりがあると水たまりがない
写真の1番の違いは、雨が降っている・降っていないであることを確認してから
雨が降ってもしばらくたてば地面が乾いていますね。水たまりの水はどこへ行ったのでしょう?
〈太陽の光に押される〉3人
- 水たまりが太陽の光を浴びて、光に押されて土の中に入っていく。
- 水たまりが光に押されて土の中に水が入っていく。
〈地面の中へしみ込む〉
- 地面から土の中に水たまりの水が入っていくかもしれない。
- 土を掘ったりすると土の中はしめっているから。
- 花壇に水をまくとだんだん吸収していくから。
- 土に吸収されてしめっていくから。
〈空気に行く〉
- ペットボトルを動かさないでおいておくと、上の方にたくさん水が付いているから空へ行った。
- 水は蒸発して空気の中に混じっている。
- 雨が降った後、水は上に入って雲になるとお母さんに聞いた。
- 雨の水は空に入って蒸発する。
考えを整理すると〈地面にしみ込む〉と〈蒸発する〉の2つに分かれました。
- でも土とかなら地面にしみ込んだり、蒸発したりの両方があると思う。
という声もありました。そこで、石に降った水について話した意見を取り上げ
大きな石に水が降ったとき、水たまりができることがありますね。ここにたまった水も石の中にしみ込むのですか?
- しみ込んだりしないよ
- もししみ込んだら石が柔らかくなってしまう。
「石のようなものには、地面のように水はしみ込まないで蒸発すると思いますか?」と聞くと「そうだ」との返事がありました。そこで本当に水たまりの水は蒸発するのかの実験方法を考えてみました。
本当に水は空気の中へ行くのだろうか?実験の方法を考えよう。
教科書を見てもよいし、持ってきた道具(透明コップ、乾燥剤)を使ってもいいことにしました。
- 透明コップに土を入れて水を少しかけてると、透明のコップの横から吸収しているように見る。横から見て湯気が上がっていればいい。
- 皿にほんの少し水を入れて何かで温めてその水がなくなればいいんじゃないか。
- コップの中に水を入れて、水をそのあとに入れてラップをしてラップに水滴がついたら蒸発した。
- カプセルみたいなものを作って、上の方に乾燥剤を入れてしばらく見る。水の量が初めより減ればいい。
- コップの中に土を入れて、土をその後入れてラップをして、ラップに水滴がついたら蒸発した。
このほかにもてんびんを使って水の量が減れば重さが減るというやり方で調べる方法もあります。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
身近な現象を題材に、子どもたちに様々なことを考えさせることができる実践です。最後に、実験の方法を考えることも、子どもたちにとってワクワクする経験なのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮嶋隼司)
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