植物の水の通り道<後半>(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

水は葉の裏から蒸散していく

茎を通って吸い込まれた水が、その後どこに行くかを学習しました。

発問1 根から茎を通って運ばれた水は、その後どこへいくと思いますか。
 
<どこにも行かない>

  • 吸った水は太陽の光と光合成をして全て使ってしまう。

<体の外に出ていく>

  • 人間もおしっこをするように、余分な水や残りかすが出ていくと思う。

の二つに意見が分かれました。そこで教科書を使って、葉の裏から水分が出ていくことを確認しました。そこで、「ちょっとひねった問題だよ」と、次のように訊ねました。
 
発問2 色水につけた植物にビニル袋をかぶせたとき、何色の水がビニル袋につくと思いますか。<透明><ちょっとだけ赤い><赤い>の中から選びましょう。
 
<透明> 10人

  • カップラーメンとかの水蒸気がふたにつくときは透明だから
  • 水に塩が溶けた時、水しか蒸発しないから
  • 入浴剤を入れたとき湯気の色は透明だから
  • 水蒸気になるとき水は余分な物を置いてくる。

 
<ちょっとだけ赤い><赤い> 26人

  • 色水をすいあげた実験では、茎のところまで色水がしみていたから、葉っぱのところまで色水はいくと思う。
  • 植物は与えられた植物で育つもの。普通の水は透明だから透明な蒸気だし、赤い水なら赤い蒸気が出る。

 
色がつくと予想した子どもが多くいました。ちょっとだけ理論にだいぶ引っかかったようでした。そこで、実験してみると水蒸気は<透明>でした。水蒸気になるときは、余分なものを置いてくることを補足説明します。気孔が主に葉の裏側にあることを説明した後。気孔を観察しました。
 
実験1 葉の裏に、水ばんそうこうをつけて乾いたらそれをはがしなさい。はがしたものを顕微鏡でのぞき、気孔を観察しよう。
 
葉の裏の部分をはがす方法は、作業が細かいため観察することが難しいです。そこで水ばんそうこうを薄く塗ります。ばんそうこうが乾いたらそれをはがして観察すると、気孔がはっきりと見えます。水ばんそうこうは薬局で数百円で売っています。気孔を観察した後に、数を問いました。
 
発問3 ひまわりの葉の裏には、気孔が何個ぐらいあると思いますか。
 
 子どもたちの予想した気孔の数は、
<0~ 100> 3人      
< ~1000> 5人
< ~5000> 5人      
< ~10000> 4人      
< ~50000> 11人      
< ~10万> 5人
< ~100万> 1人
<~1000万> 1人
                  
口々に予想を口にするので人数分布を調べた後に、右の表を見せました。「325個だ」と叫び声があがりますが、やがて1平方mm あたりの数であることに気づいて、一枚の葉ではいくつになるか計算をしてみることになりました。
                 

ひまわりの面積は、162平方cm だったので、
325×100×162 = 5265000こ
わずか一枚のひまわりの葉の中に約520万個(!)の気孔があることを知り、子どもたちは驚きました。

植物は昼に二酸化酸素をすって、夜は酸素をすう

植物の呼吸を理解するための授業を行いました。
 
発問1 植物が育つために必要な物は何ですか。
 
1年生のころから学習してきたことなので、元気よく答えが返ってきました。

  • 水  :水がないと、すぐに枯れてしまう。
  • 太陽 :太陽の光があたらないと、丈夫に育たない。
  • 肥料 :肥料がないと、大きく育たない。
  • 空気 :よくわからないけど、当たり前のようにあるからいると思う。

 
発問2 図のように密閉した容器の中に植物を入れたとき、植物は枯れてしまうだろうか。ただし、水と太陽の光は十分あるようにします。
 
<枯れる>を予想した子どもがほとんど。

<枯れる> 32人            

  • 人間は空気がないと死んでしまうのと同じで植物も空気がないと死んでしまう。
  • 植物が育つためには、光と水と空気と養分でどれかがかければ育たない。

 
<枯れない> 4人

  • インゲン豆の発芽の時、光と水で発芽して空気は必要なかった。それと同じで、空気はいらないと思う。
  • 空気がないのは、光でカバーすることができると思う。

 
すぐには結果が出ないので、1週間様子を見ることにしました。時々容器をのぞいては「先生、まだ枯れてないよ」と報告に来ます。期間は、1週間を一応の区切りとしました。
結果は、1週間たっても、植物(マリーゴールド)は青々としていました。
 
説明1 マリーゴールドは枯れませんでしたね。植物は昼間太陽の光を浴びて酸素と栄養を作ります。光のあたらない夜は、昼間作った酸素をすって、二酸化炭素を出しているのです。自分で作った酸素と二酸化炭素を交互にすっているので、閉じられた容器の中でも枯れないのですね。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

植物も、私たちと同じように呼吸をしていることを、実験を通して分かり易く学ぶことができたようです。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)

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