【教員採用試験 面接】大切なのは、教師になったつもりで考えること

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「あなたの売りは何ですか」。この質問に、一言で答えられるように

採用試験の自己PRは、大きく分けて2つあります。1つ目は、志願書類や面接で、「あなたの自己PRをしてください」といった質問などで直接的に問われるもの。2つ目は、志願書類や面接の全体を通して、間接的に問われているものです。

1つ目については、「自分の売りが何か」ということに、一言で答えられるようにする必要があります。では、何が「売り」になるのか。これは、志望動機と関わるべきです。まず、自分がどのような教師になりたいと思っているかという「未来」があり、そのために、ある時期から「現在」に至るまで必要なことを積み重ねてきたかということが、自己PRの中心であるべきです。つまり、自己PRの内容は、「未来」を見据えた「過去」になっているかどうかです。

たとえば、教師になって「明るい学級をつくっていきたい」と言うのなら、過去に「自分自身が明るく振舞ってきた」「周囲を明るくできるように働きかけてきた」ということを述べないと、面接官にはあなたが「どのような人なのか」「何をしたいのか」が伝わりづらく、十分な自己PRになりえません。ですから、ここに一貫性が必要になります。その意味で、あなた自身の「未来」「過去」「現在」の関係については、きちんと整理をしてください。

合格の決め手になるのは、教師の仕事や学校現場について、リアルにイメージができているか。

次に、2つ目です。近年の採用試験でしばしば用いられる「人物評価」という言葉は、まさにこれ。受験者が「教師になるのにふさわしい資質の持ち主かどううか」が見られているわけです。

では、「資質」とは何か。「児童生徒や保護者とうまく信頼関係を結べるかどうか」「同僚ときちんとコミュニケーションをとれるか」といったことはもちろんです。しかしこれらは、「これができていないとなると、不合格の理由になってしまう」ようなもの。「合格の理由になる」ようなものではありません。合格の理由になるのは、受験者が教師の仕事や学校現場について、リアルにイメージができ、心構えや準備ができているかどうかです。

「いじめに対して、あなたはどのように指導しますか」と問われたら・・・

例を挙げて説明しましょう。たとえば、「いじめに対して、あなたはどのように指導しますか」という質問があったとします。これに対し、「子どもたちに毅然とした指導をしていきます」と回答したとしましょう。

これは、回答の入り口としては悪くありません。それどころか、「毅然とした指導をすること」というのは、さまざまな通知などで示されている通りであって、そうした「知識」があることを示していると言えます。その意味では、この回答は一つの自己PRになっています。

しかし、重要なのはここから。「では、毅然とした指導」とは具体的にどのようなものか。このことをきちんと説明できるでしょうか。面接官は、学校現場での経験がある人がほとんどですから、借り物の言葉をなぞっただけの底の浅い回
答については、内心で首をかしげてしまうことでしょう。

今の例でいえば、自分が行おうとする「毅然とした指導」とはどのようなものかについて、イメージを具体的に持っておくこと。また、「毅然とした指導」と口で言うのは簡単でも、現実の学校現場でそれを行うのがいかに難しいことかも知っていてほしいと思います。

その上で「自分ならこうする」ということを、自分の言葉で話してください。このように、表面的な言葉だけ語るのではない、「地に足の着いた印象」が、面接官の「この人なら教師になってもやっていけるだろう」という印象につながり、これこそが最大の自己PRになります。

PRすべき本質は、表現する「あなた自身」であり、「あなたがこれまでしてきたこと」。

教師を目指す人の目的が何かといえば、今は目の前の教員採用試験の合格することかもしれませんが、本来の目的は、優れた教師になることだと思います。そのように考えれば、採用試験はそのための通過点。そうだとすると、採用試験の合格だけを考えて、あらかじめ用意した自己PRをすらすらと話せる(書ける)ようにしたり、1問1答的な知識を詰め込んだりするのは、その目的を矮小化してしまっています。

「優れた教師になる」という目的のために、教壇に立つ前から教師になったつもりで物事を考えていく姿勢を持つこと。この積み重ねこそが、自己PRのためにすべき、最も重要なことだと思います。

その意味で、自己PRのためにすべきことは、たとえば直前の模擬面接のように、比較的短期間の訓練で身に付けられるものだけではありません。もちろんそれらも重要ですが、それは、より分かりやすい表現や、相手に与える印象をより良くするためのもの。PRすべき本質は、表現する「あなた自身」であり、「あなたがこれまでしてきたこと」です。

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