「ビリギャル」坪田信貴先生 講演『人生を変える勉強法』(徹底反復研究会冬季セミナーin名進研小学校)

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目次

1 はじめに

本記事は、2017年1月9日に名進研小学校(名古屋市)で開催された『徹底反復研究会冬季セミナーin名進研小学校』内で行われた、坪田信貴先生の講演を編集・記事化したものです。なお、記事中の坪田先生の発言には編集上の関係から一部記者が手を加えています。

坪田先生はベストセラーとなり映画化もされた『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者で、名古屋と東京で塾講師をされています。
 講演では坪田先生の教育観や塾での勉強法などについてお話していただきました。

2 講演録

「科学と情熱の融合」

初めに語られた坪田先生の人生のテーマ。それは「科学と情熱の融合」
情熱というのは、子どものことを考えて一生懸命やっている、すごく熱い先生のこと。本や映画の『ビリギャル』に登場する坪田先生は、まさに「熱い先生」のイメージでしょう。

一方で、先生は実は徹底的にデータ派で、科学というものを非常に重視しています。「たまたまこの子・この先生だから上手くいった」ということではなく、「ある条件下においてこういうメソッドを使い、こういう目的でこういう手法を取りました。そうするとこういう結果が生まれます」ということを確立したいと考えているのです。しかし、どれだけデータやエビデンスを揃えても、人はなかなか動きません。

「だからこそ私は科学だけじゃなくて情熱、想いの部分で引っ張るのも重要だと思っているし、想いはあるけど何のデータもなく勘でやります、というのもちょっと困るかなと思います。科学と情熱がうまく融合すれば良いなと思って日々を生きています。」

「科学と情熱」のバランスを取ることで、子どもたちのやる気を喚起することができるのです。

「地頭がいい子」「素直な子」のウソ

塾で、いわゆる「勉強の出来ない子」もいわゆる「勉強の出来る」状態にできるということを話すと必ず言われるのは、「もともと地頭がよかったんじゃないの?才能はあるけど勉強していなかった、特殊な事例なんじゃないの?」ということだそうです。

こう言われたとき、先生は必ず次のように返します。

「その通りです。もう、地頭めちゃくちゃ良かったし、才能もめちゃくちゃあったし、出会った瞬間からあふれんばかりのオーラが見えました」

すると親御さんは「そうですよね」とおっしゃる。そこで先生はこう続けます。

「でも、あなたの息子さん、娘さんもそうですよ。僕には地頭の塊、才能の塊にしか見えないし、オーラがめちゃくちゃあるじゃないですか」

また、「素直だから伸びたんでしょ」と考える親御さんには次のように言います。

「素直だから伸びた、その通り。しかし、素直というのは人の特性ではありません。子どもが素直かどうかは、『相手』によるんです。子どもが、自分のことをよく理解しようとしてくれている人、あるいは理解してくれている人に対しては素直になって、理解しようとしない人に対しては反発するのです。

坪田先生は、「○○だからうちの子はできない」というネガティブな理由を探すのではなく、「どうすれば出来るようになるのか」というポジティブな目で子どもをみているのです。

勉強に才能は要らない

坪田先生は、勉強が大変だと思っている人は、「勉強のやり方を知らないだけだ」と考えます。そして、学習塾をする理由について次のように言います。

「僕がなぜ学習塾をやっているかという根本的な部分に、高校までの5教科の学習には必ず答えがあって、人生には答えがないということがあります。
 答えが必ずあるということは、絶対に解法があって、その解法を学習すれば答えが導き出せるので、僕は勉強を一番才能の要らないものだと思っています。」

勉強ができることで将来の選択肢が広がる。それはすごくお得な事だと、子どもたちの「考え方」を変えたいという思いが、坪田先生の塾経営の根底にあるようです。

人生を変える勉強法

保護者の方はよく「長時間勉強するほどえらい」と考えがちですが、坪田先生は「それは勘違い」だと言い、次のように続けます。

「社会に出てからも、同じ仕事にかかる時間は短い方が当然評価されます。授業や宿題をやっているときは出来るのにテストでは点数が伸びないというのは、普段から時間制限を意識して勉強していないことに問題があるのです。
 百ます計算がなぜ有効かというと、簡単なものを少しずつでも速く解けるように訓練することと、自分の処理能力を実際に知ることが重要だからです。

このように、漢字や計算練習で回数を多くこなすのではなく、普段から時間を意識して集中する処理スピードを上げた状態での学習が提案されました。

人生は楽しい

坪田先生が子どもと関わる上で大切にしていることは何か。

子どものことを信じるってよく言いますが、僕は信じてはいないんです。当たり前だと思っています。

最後に、自分は才能がないんじゃないかと思って自信を無くしている子どもたちには「人生って超楽しいんだよ。人生は大変だ、社会に出たらつらいことばかりだと言う人は多いけれど、僕に言わせれば人生なんて楽しいことしかないよ」と、人生を変える勉強法が楽しい人生に繋がることが強調されました。

(取材・編集 EDUPEDIA編集部 中澤歩、大和信治)

3 講演者紹介

坪田信貴(つぼたのぶたか)

坪田塾塾長、学校法人大浦学園理事長。
これまでに1000人以上を指導し、心理学を用いて目の前の生徒に合った「個別指導」により偏差値を短期間で急激に上げる。どんな学力レベルの子でも成績を圧倒的に伸ばすカリスマ塾講師。

「意志あるところに道は開ける」
「ダメな人間なんていないんです。ただ、ダメな指導者がいるだけなんです」
『私がやりたいのは、「受験を通じて仲間になり、そこで信頼関係を築いた上で、教え子達の一生を応援したい」ということです』

4 著書紹介

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