「こどな」「ことな」~思春期の自分の状態を客観的に考えさせる

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ショートバージョン

小学校高学年から中学校にかけて、児童・生徒は思春期に差し掛かります。この思春期の状況を子供たちにわかりやすく理解をさせる取り組みです。20年ほど前、ある医師を講師に招いて性教育に関する講話をしていただいた内容を私なりに改編してみたものです。保健の授業はもちろんのこと、二分の一成人式や卒業式という節目を機会にして、この話をしてみてもいいと思います。
まずは一気に語りかけるショートバージョンです。

君たちは、もう「こどな」です(黒板等に大きく書く)。何の事かわかりますか?そうです、こどもとおとなを足した言葉です。先生の知り合いのお医者さんから聞いた言葉です。10(11・12)歳は、大人とも言えず、子供とも言えないある意味中途半端な時期です。おうちの人から「子供のくせに、何を生意気な口をきいているの」と言われたかと思ったら、「もう大人でしょ。いつまでそんな幼稚なことをしているの?」と怒られたことはないですか。「どっちなのさ!!」と思うよねえ。(多くの子供が頷きます)
 でも、どっちでもあるのです。10(12)歳は大人でもあるし、子供でもあります。朝起きたら急に大人になっていたということはなく、卒業式(1/2成人式)が終わったら急に大人になるわけでもありません。だんだん、たくましく変わっていくし、そのぶん自分で判断できなければならない事が増えてくるし、そういう意味では少しずつ、自由になります。「大人」と言われたり「子供」と言われたりすることに戸惑ったり、怒ったりしてしまわずに、大事な、すごく大きく成長する大事な時期として「こどな時代」を大切に過ごしてください。

ロングバージョン

上の説明をもう少し分解して、次のように子供とやり取りしながら説明していくとわかりやすいと思います。

① みんなは子供なんでしょうか、もう大人なんでしょうか。
② 親から、「まだ子供のくせに」「もう大人なのに」の両方を言われたおぼえはありませんかと聞いてあげましょう。何人かはふんふんとうなずくと思います。
③ 子供でも大人でもない状態を「こどな」もしくは「ことな」と呼んでみましょう。
④ 「こども」→「こどな」→「ことな」→「おとな」と、板書します。子供から大人へと近づいていきます。
⑤ 子供たちにも聞いてみましょう。「自分は大人に近づいたと思いますか、まだ子供だと思いますか」
⑥ 大人への階段を上り始めている今の時期を「思春期」と言うのです。
⑦ 大人と子供の中間の状態で、みなそれぞれに「子供度」「大人度」が違うのです。
⑧ 人それぞれに成長の度合いが違い、心の成長と体の成長の違いがあることにも触れておきましょう。体が大きくても子供っぽい人もいるし、逆に体が小さいけど考え方が大人っぽい人もいます。
⑨ 人それぞれの成長の仕方があり、その違いを認め合う仲間でありたい。
⑩ 思春期はまさに大人への階段をのぼっている時期だから、大人と言われても、子供と言われても仕方がありません。
⑪ 学校に行かせてもらって働いておらず、税金も払っていないという意味ではまだまだ子供ですし、だんだんと自分の行動に責任を持たなければならない年齢になっているという意味では大人と言ってもよい時期です。つまり、どっちでもあると言えると思います。
⑫ 大人になることは、自立することです。字の通り、自分で立つこと、つまり自分の力で生きていくことができるようになることです。

こうしたことを順序立てて説明した後に、
⑬ 子供として決まりを守らなければならないこと」があることと、「大人として責任を果たさなければならないこと」もあることもしっかりと教えましょう。
⑭ 「素敵な大人になってほしい」という期待を必ず付け忘れることのないように。

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